《快適なエルフ生活の過ごし方》06:そして私は途方に暮れる

支店長命令が出たので大人しく帰る事にした。

「あなたはどうする?」ってドライアドに聞いたんだけど、「あまり本から離れられないのー」との事で置いて帰る事になった。々教えて貰えると思ったのに殘念。

「お先に失禮しまーす」

15時前なのでまだシャッターは閉めてない。なので早退の挨拶も小聲だ。いや、お客さん誰もいないんだけど。それでもみんなが仕事してるのに一人だけ先に帰るということに罪悪はあるので自然と小聲にはなるんです。

外に出るとまだ14時過ぎ。日差しはそれなりに強かった。とりあえず魔法の練習というか把握はしておきたい。そう思ってると話しかけるものがある。

「よー、ねーちゃん、約束の魔力くれやー」

火の霊だった。そういえば約束してたな。

「いいよ。でも……」

さすがに街中はまずいよね。あげて発火とかしたら大騒ぎになっちゃう。

「じゃあちょっとついてきてよ。向こうの公園であげるから」

半ばシャッター通りと化した商店街を通り抜ける。

50年も前はこの辺りが一番の繁華街で駅から延びるアーケード街は人で溢れていたらしい。

今はその姿は見る影もなく晝間でも暗い不気味なシャッター通りとして全國ネットのテレビに取り上げられていた。

様で人に會わなくて好都合なんだけど。平日の午後のシャッター通りなど誰も通らないから夕方までお店を閉めている所も多い。

個人的にはそういう店が多くなれば余計に過疎化が早まると思うんだけど……

「はい、到著」

公園に著いた。元々商店街に買いに來た客や近所の子供たちの遊び場として作られたため、やたらと広い。通りを隔てて四つあるのだ。例によって人居ないけど。

「へぇー、なんか燃やしやすそうな所じゃねえか」

いや、確かに藤棚とか手れしてないからカラカラになったツタが巻つきっぱなしだけど燃やすのはダメ!

「じゃあ、そこのテーブルであげるね」

その藤棚の下にはランチ休憩用の大きめのテーブルがあった。なんか無駄に石でイスとかも彫刻になってる。おで燃える心配はなさそう。

「じゃあ出すね」

えーと、火薬火薬……カップ麺にれるのは漢字で書くと「加薬」だから違うんだよねー、じゃなくて想像しやすいのはマッチかなあ。タバコは吸わないけど仏壇とかお墓參りで使うからわかる。よし、マッチだ。木の部分は植だからドライアド?

「細い木材? 大きさは……わかったー」

頭の中でドライアドが言った。ちょっと聲が違うじなので別の子だろう。後は著火部分。リンって確か発掘されるんだよね……じゃあ土の霊かな?

「おおー!」

手元がって山盛りのマッチが現れた。

「ふう、なんとか功かあ」

ほっとする。まあ出來そうな気はしてたんだけど。でないと約束してないし。

「ひゃっほー」

火の霊が遠慮なく飛び込んでいく。石のテーブルの上で炎が踴った。うん、上までは飛び火してないね。パチパチメラメラと音を立てて燃えていた。うん、傍から見たら単なる放火魔だよ、これ……

「おっけー。満足したぜ。ありがとな!」

ひとしきり燃やして満足したのか満面の笑みを浮かべて消えていった。

さて、私的には本番はこれからだ。まずは日常生活に支障をきたさない様にしたい。その為には耳を隠さないといけない。幻覚で隠すか普通の人間みたいに形を変えるか……というかやり方分からない。どうしようかなあ……

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