《快適なエルフ生活の過ごし方》25:だまりにかげりなく

し甘めにお送りしております。次回は本格的なデート回です。

「まだかなー?」

抜けるような青空。やや高めの気溫。それに合わせるようなキャミワンピとノースリーブシャツの涼しげコーデ。脇がし甘いけど同士で出かけるならまあそんな悪い選択じゃない。先輩の格好はそんな格好だった。なんで分かるのかって? だって、認識阻害しながら見てるんだもん!

「うーん、ひとみっちって私より早く來る子だよね。なんかあったかなあ?」

よくお分かりで。一応三十分前からここにおりまする。そうこうしてると向こうから楓ちゃん。隣にいるのはポロシャツを著た男。顔は……うん、まあ普通だね。なんというか特徴とかないんだけど。

「あっ」

先輩から聲がれる。気づいたらしい、彼に。その聲で彼も気づいたようだ。

「あれ? あなたはこの間の……こんにちは」

「こっ、こんにちはっ」

「お兄、知り合い?」

「ああ、ちょっとな」

そろそろ良いだろう。先輩の電話を鳴らす。

「ちょっと失禮します。あ、ひとみっち?」

「げーほ、げほげほ、もしもし先輩? ごめんなさい。ちょっと風邪ひいちゃって」

「そうなん? じゃあ殘念だけど今日は……」

そのタイミングで楓ちゃんの電話も鳴る。これは澪ちゃんにやらせた。そう、今も隣に居るんだ、これが。

「えー? それって大変じゃん! 分かった、すぐ行くよ!」

ガチャリ。

「ごめーん、お兄。ちょっと友だちがトラブっててさ。今日はそっち行かなきゃ」

「そうか? まあ僕はどっちでもいいんだけど」

「ごめんねー!」とダッシュしていく楓ちゃん。この後合流予定なんだけど。そして取り殘される二人。さあ、先輩、レッツゴー!

「いやあ、お見苦しいところをお見せしました」

「あ、いえ、妹さんですか?」

「ええ、遊園地に連れてけとせがまれましてね。ご覧の通りすっぽかされたんで帰ります」

「そ、そうなんですか。わ、私も友だちと約束してたんですが風邪をひいたらしくて暇になってしまったんです」

「そうですか。奇遇ですね。ははははは……」

んー? 笑顔がぎこちない。彼の方も張してるのかな?

「いい天気なので楽しみにしてたんですけどね、遊園地」

あ、なんかちょっと罪悪……でも私は心を鬼にするよ! 隠して忍ぶと書いて隠忍(ONI)!

「私も遊園地自は久しぶりなので懐かしいなと思ってたんですけどね。小學生の頃は名札でれたんでよく來たんですが最近は全然」

そこだー、やれー、おせー! 沈黙が辺りを包む。ダメかな?

「あ、そろそろ私は……」

そう言って足早に去ろうとする先輩。させるか、やれ、土の霊! 地面をし不安定にさせてさんの方へ倒れるようにバランスを崩させる。

「危ない!」

狙い違わずさんは先輩を抱きとめてくれた。ゆるふわウェーブの髪がふわりと鼻腔をくすぐってる事だろう。先輩の髪っていつもいい匂いするんだよね……って話を企畫段階でしたらなんか凄い眼で澪ちゃんから睨まれたんだけど。……考えないようにしよう(逃避)

「大丈夫ですか?」

優しく聲をかけるさん。染まる先輩の頬。うん、ここからでも分かるくらい真っ赤だよ。

「お、お様で……ありがとうございます」

あー、うるうる上目遣い。あれ、破壊力高いよね。多分無意識でやってんだろうな。

「い、いえ、お怪我がないならそれで……」

顔を背けるさん。確かにDTっぽい反応だ。いや、私も処だから人のことは言えないんだけど。

「お禮……させてもらえませんか?」

絞り出すような聲で先輩が言った。

「いえ、大したことは……」

「お願いします!」

「……わかりました。では、お晝まででもいいので遊園地、付き合っていただけませんか?」

おっ、さん、いい選択!

「え?」

「先程遊園地を楽しみにしてたと仰ってたので一緒に暇つぶしでもと……嫌ですよね、こんな冴えないおと……」

「全然! 全然OKです! むしろラッキーです。嬉しいです!」

食い気味に先輩が言った。……あれ、もうバレてない? まあともかくデートの形にはなりそうだ。とりあえず楓ちゃんを拾ってデートを監視するとしましょうか。

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