《【書籍化】探索魔法は最強です~追放されたおっさん冒険者は探査と知の魔法でり上がる~》6.ダンジョン探索(2)―流石に……厳しい戦いを強いられました
「元々オーガは舊文明の守り手として生産されていた魔法生のようなものらしい。ダンジョンを徘徊しながら外敵を排除するように作られているので、外にれ出てくることは基本的にないと思う」
ダンジョンを進みながらロノムはアイリスとメルティラに説明をしていた。
「舊文明が滅んだ後も、オーガはこのダンジョン……つまり、舊文明の施設を守り続けている。既に何度か攻略されているはずの層にもオーガが現れているあたり、下層の方にまだまだすごい數のオーガがいるか、このダンジョンのどこかでオーガが生産され続けているのかもしれない」
「なるほど……。魔法生のようなものだからこそ、倒した後は砂のように砕けて消えてしまうのですね」
メルティラが歩きながら言う。
先程倒したオーガ三は、しばらくすると水分が蒸発し砂のように崩れ、ダンジョンの地面に還っていってしまった。
メルティラ自も他のダンジョンでオーガは何度も倒したことがあるが、そんな話を聞いたのは初めてである。
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「へええー、どーりでダンジョン以外でオーガを見たこと無いわけだー。でも、ゴブリンとかはたまにダンジョンの外で活してたりしますよね?」
「ああ。同じ魔法生でも、ゴブリンとかコボルトはどうやらオーガとは用途が違ったみたいだ。だからダンジョンかられ出てきたりしているし、時折小さな村とかを襲撃している個もあるらしいね」
ロノムが歩きながら説明した。
「ふつーの冒険者の人達は、そう言ったことから村を守る自警団みたいなことも仕事にするんでしたっけ」
「そうだね。その辺りが我々のようにアンサスランに常駐する冒険者とは違うところだね」
アンサスランの冒険者は村に悪さをするゴブリンの駆除や盜賊の殲滅と言ったことを殆どしない。
と言うよりも、そう言った依頼がほぼ來ない。
なのでアンサスランにいるほぼ全ての冒険者が、ダンジョン探索を生業にしている。
故にダンジョンの出口を管理しているアンサスランの冒険者ギルドは絶対的であり、この地方における権力をしいままにしているのであった。
「それはそうと、ここを下れば三層だ。ここからは未踏の領域だから、心してかかろう」
ロノムは冒険者ギルドから貸與された地図を片手に持ちながら二人に注意を告げると、階下へと向かう通路の扉を開いた。
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「おらぁ!!」
ロノムの斬撃が最後に殘ったオーガの急所を捉え、とどめを刺した。
「ぐ、ぐぇー……。これで……終わりですかね……」
アイリスが地面にへたり込み息を切らしながら言う。
「流石に……厳しい戦いを強いられました……五無事でいるのが不思議なくらいです……」
メルティラも大盾にを支えられながら、何とか立っていると言った有様だ。
「アイリスさん……メルティラさん……、二人ともよく頑張った……。パーティメンバーが二人じゃなかったら、間違いなく死んでた……」
三層へと下った矢先にオーガとの連戦が続いた。
先に倒したオーガは既に砂と化し正確な數は分からないが、十五以上は確実に砂へと返しただろう。
ロノムのみならず、Bランクの二人も息を切らしながら疲れを取る。
戦闘に夢中になっていて気付かなかったが、辺りを見渡してみると周囲にはかつて冒険者だったもののれの果てが數転がっていた。
「三層は全エリア未踏だから、彼等の品を回収した者はまだいないだろう。無事戻れたら冒険者ギルドに引き渡そう」
「覚悟していることとは言え、しんみりしちゃいますね」
ロノムは彼等の中から元が特定できそうなものを回収し、鞄の中にれる。
冒険者のれの果てに対する品回収は強制ではないが禮儀として推奨されているし、ロノムもそれが先行者に対する敬意だと思っている。
逆に前のパーティリーダーであるボルマンのように、品の屆出をせず目ぼしいものを勝手に接収していくような冒険者が多いことも事実ではあった。
ただ、その辺りは冒険者個々人それぞれ思想であるし、どちらが優れているとか偉いとかそう言ったことではないとロノム自も知っている。
「うん、この周辺にはもうオーガはいないみたいだ。トラップもないみたいだし、先を急ごう」
疲れも取れてきたところでロノムは戦闘中は解除していた知の魔法を再び展開して、索敵とトラップ知を同時に行った。
「「はい!」」
ロノムの言葉にアイリスもメルティラも元気に返事をし、先頭を行くロノムの後に続いた。
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「ご覧ください、なかなかの値打ちがありました」
「おお! 『アルケアの星座盤』じゃないですか!! 今回の冒険はこれだけで元が取れますね!!!」
「それだけじゃない、『ポパル眼鏡』もある。それもこんないい狀態で」
ロノム達はダンジョンの中にある小部屋で、オーガの接近に注意しながら々なを拾っていた。
「それにしても、眼鏡とかはともかく星座盤とかは誰がしがるのでしょーか。高く売れるから見つけたら回収してますけど」
「殆どは貴族や裕福な商人と言った好事家の間で売買されているものだよ。中には所持すること自が権威になっているもあるし、『これを持ってなければ貴族ではない』なんてもあるみたいだね」
ダンジョンの戦利品は舊文明の産である。
実用的なも中にはあるが、大が貴族や商人のコレクションとして取引されているものだ。
「こう……々ながダンジョンには落ちていますけど、持ち帰るは決まっているのでしょうか?」
「基本的にはお金持ちの人達がしがるものだね。舊文明の時代によく作られていた……規格品って呼んでいるけど、そう言ったものの割合が多いよ。値打ちが分かりやすいし、市場も相場もあるからね」
ロノムが拾った戦利品を鑑定しながら、言葉を続ける。
「逆に一品もあるけど、そう言うは値打ちが分からないからあまり持ち帰られないかな。中には非常に値打ちになるもあるみたいだけどね」
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「およ? この部屋、他の部屋よりも広いですね」
ダンジョンを探索していると三人は明らかに広めの部屋に出くわした。
「待ってくれ。し調査してみよう」
ロノムはそう言うと知の魔法を部屋いっぱいに広げて調査を始める。
「魔法的な鍵でロックされた場所が一ヶ所ある、結構強力な魔法だ。トラップもいくつかあるが解除可能、これは問題ない……敵は……」
ロノムがそう呟いたまさにその剎那、発音と共に壁が砕け、今まで倒してきたオーガよりも大型のオーガがロノム達三人に向かって突進してきた。
「敵は一だけ! だが……巨大な奴だ……!!」
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