《【書籍化】探索魔法は最強です~追放されたおっさん冒険者は探査と知の魔法でり上がる~》14.俺が責任を負って俺が決めなきゃいけないことなんです
「紫紺(しこん)の寶珠(ほうじゅ)だけじゃなく新階層発見とはやるじゃねえかよ! 俺が見込んだだけのことはあるぜ!!」
老人と呼ぶにはまだ早いが働き盛りと言うには歳のいった、小粋な麻生地の服を著こなす白髪じりの男……ゲンさんが麥酒のった木製容を片手にロノムの背をバシバシ叩きながら言う。
「いや、本當に運が良かったのとアイリスさん、メルティラさん、そしてゲンさんのおですよ。俺一人じゃ何もできませんでしたから」
相変わらずのシンプルな街著にを包んだロノムは半ば想笑いのような笑みを浮かべながら、ゲンさんに背を叩かれつつ麥酒を飲んでいた。
馴染みの酒場の馴染みの席で、ロノムとゲンさんは仕事終わりの安酒をひっかけている。
安いなりの酒しか出ない上にいつ行っても喧騒が絶えず、それでいて肴だけはやけに味いそんな酒場だ。
もう一人の飲み仲間であるアイリスは、本日友人達との會食と言うことで欠席している。
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「しかしよ、三人だけじゃ行けるダンジョンも限られてくるし、パーティメンバーの増員とか、アライアンスの拡張とかも視野にってくるんじゃないか? ギルドからの會報にも載ったし団希者もいたりするんじゃねえの?」
ロノムが持ってきた、定期的にアライアンス宛に送られてくるギルドの會報を広げて眺めながらゲンさんは言った。
見出しのページには「新アライアンス『シルバー・ゲイル』、T-15ダンジョンの新階層を発見」とあり、ロノム、アイリス、メルティラの活躍が記載されている。
「そうなんですよね。ただ、正直悩んでいます。『シルバー・ゲイル』はどういった方向に進めばいいのか……」
ロノムが皿の上に盛られた茹で豆を三つほど手に取り、食べるでもなくじっと眺めながら言った。
「今はたまたま仲良し三人組でうまくやっていけてますけど、今後も同じようにずっと続けていけるかどうか分かりません。かと言って、人をれるのも不安は強いです。冒険者なんてやつは俺も含めて癖の強い連中ばかりですし、そもそも人員募集をかけたところで人が來てくれるかどうかも分かりませんから」
「なるほどな……。ロノム、お前の事を焚き付けて金出しときながらなんだが、俺も経営についてはトーシロだし所詮は他人事なんだよな。何か示してやりたいところだが、俺が何か言ったところで投げっぱなしになっちまうだけだ。すまねえな」
ゲンさんも茹で豆を手で転がしながら、ロノムにそんな言葉を返す。
「大丈夫ですゲンさん、ちゃんと分かってます。こればっかりは俺がきちんと方向決めて舵取りしないといけないことだって。ゲンさんに背中を押されたとは言え最終的にアライアンスの団長になることを選んだのは俺ですから」
「シルバー・ゲイルがアライアンスとしてやっていくためには、俺が責任を負って俺が決めなきゃいけないことなんです。シルバー・ゲイルの団長は俺なんです」
ロノムは意を決したように手に取っていた茹で豆を口に放り込み、殘りの麥酒を一気飲みした。
「アライアンスメンバーの意見を聞いて、出資者の意向も取りれて……。なんか、アライアンスの団長って指示を出すだけの偉い人って漠然と思っていましたけど、指示を出すと言うよりは『出さなきゃいけない』立場な上に調整役であり責任者でもあるんですよね。そりゃあ大変なわけだ」
苦笑いのような微笑みのような笑みを浮かべながら、ロノムは獨り言のように呟く。
「ロノム、お前は真面目だからな。そこが長所でもあるし俺が見込んだところでもあるんだが、もうちょっといい加減に構えてもいいと思うぜ? ダンジョンと違ってちょっとやらかしたくらいじゃ死なねえし、多のことなら俺がケツ持ってやるからよ」
ゲンさんも茹で豆を食べながら麥酒を飲み干した。
「ありがとうございます。でもほんと、たまには愚癡に付き合って下さいよ。じゃないと俺、心労で死ぬと思います」
「あたりめえよ! それにお前を団長に仕立て上げたのは俺だ。必要なものがあったら力を盡くすぜ」
「それじゃあ早速、次の麥酒はゲンさんのおごりで」
「バーカ、それとこれとは話が別だ!」
おっさん二人は笑いながら、追加で頼んだ麥酒を手に取り杯をぶつけあった。
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日も傾きかけた夕刻、この季節特有の不安定な天候にあって遠雷が轟く中、薄暗いながらも立派な裝の一室でスキンヘッドに眼帯をした大男はギルドからの會報を片手に一人佇んでいた。
會報は「新アライアンス『シルバー・ゲイル』、T-15ダンジョンの新階層を発見」のページを開いたままその手で握りつぶされている。
男の名はドディウス。
かつてロノムが所屬していたアライアンス「レッド・ドラグーン」の団長にして現役の冒険者である。
現在は加齢による衰えもありBランクに位置しているものの、全盛期はAランクまで昇りつめた防衛士であり、その活躍は伝説とも呼べるものであった。
「年かさの能無しなど私の前から消え失せればそれで済むと思っていたが、アライアンス追放だけでは手緩かったか……」
夕日の差し込む部屋の中、ドディウスは一人呟いた。
「『剛盾(ごうじゅん)のゲンディアス』に連なる者共め……。やはり直接潰すしかないようだな……」
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