「前方から素早いきで三接近中！　ワーウルフだ！　メルティラさんは先頭でカバーを！　アイリスさんとルシアさんはメルティラさんの後ろで援護を頼む！」

「ルシアさんはワーウルフが目視圏にったら撃して構わない！！」

ダンジョンの中に迫したロノムの聲が響き渡る。

「承知しました！」

「りょーかいです！」

「分かりました！　善処します……！」

そしてロノムの言葉を皮切りに、メルティラ、アイリス、ルシアの三人は戦闘態勢にった。

その後すぐさま犬のような人型の魔が遠吠えのような聲を上げ、三同時に襲い掛かってくる。

しかし、一はルシアの撃によって腳を撃ち抜かれその場にうずくまり、殘りの二についてもメルティラの盾によりその攻撃がけ止められた。

「しっ！！」

ロノムがルシアによって腳を撃ち抜かれた一に駆け寄りハンドアックスを振りかぶる。

しかしその攻撃は間一髪のところで勢を立て直したワーウルフに躱され、距離を取られた。

「ロノム隊長！　どうしますか！？」

「威嚇だけでもいい！　俺と戦っている方を狙ってくれ！」

「分かりました！」

ルシアはロノムと短いやり取りをした後、ロノムと戦っている方のワーウルフに狙いを定める。

同士討ちに注意しながら數発の弾丸を放つと、そのうちの一つがワーウルフの肩口に命中しを噴出させた。

「はぁ！！」

その隙を付いてワーウルフはロノムのハンドアックスによって仕留められる。

まずは一。

「ルシアさん！　次はメルティラさんが相手をしている二を頼む！」

「了解です！」

ワーウルフ二の連続攻撃によりメルティラはかなりの苦戦を強いられていた。

アイリスの防衛魔法と回復魔法が無ければ一人では持たなかったかもしれない。

「行きます！！」

ルシアがメルティラを相手取るワーウルフ二に狙いを定め発砲するが、ワーウルフもルシアの武を理解したようで、素早いきで翻弄し中々的を絞らせてくれない。

「たっ！」

だがそこに、ワーウルフ一を仕留めたロノムが追いついてきた。

ワーウルフ二がそれぞれメルティラ、ロノムの二人を相手取る。

「ルシアさん！　俺の方が先だ！　こっちを仕留めてからメルティラさんの方を四人で片付けるぞ！！」

「は、はい！！」

その言葉にルシアはロノムと相対しているワーウルフに狙いを絞った。

「かわいい子(こ)には旅(たび)させよ、王子様(おうじさま)でも例外(れいがい)なく。心配(しんぱいしょう)の王様(おうさま)は、王國(おうこく)の騎士団(きしだん)を二(ふた)つに分(わ)けて、王子様(おうじさま)に半分(はんぶん)つけた。防衛(ぼうえい)せよ！　ライトシールド！！」

一方アイリスは自分の判斷でロノムに対して防魔法を使う。

ロノムののうち何點かの急所が青白いに包まれ、一撃死だけは避けるような防魔法がかけられた。

「行くぞ！　犬ころ！！」

ロノムは防魔法に勇気付けられるように、対峙しているワーウルフに対してハンドアックスを振りかぶり一撃を加えようとする。

一方のワーウルフも素早いきでロノムの斬撃を躱し、その間隙をうように鋭い爪でロノムに対して攻撃をしてきた。

しかし、ロノムが攻撃を躱しきれず左手のガントレットと自らのを犠牲にしてその爪をけようとした時、ワーウルフの頭からが噴き出しその場に倒れ込む。

思わずパーティメンバーの方を見ると、ルシアの撃による一撃だと言うことが見てとれた。

「やっぱり強いな……あの武は……」

ぼそりとそう呟きながら、二のワーウルフを片付けたロノム達はメルティラと相対する最後のワーウルフの仕上げに取り掛かった。

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「ふーーー。なんとかなりましたねぇ」

戦闘が終わりアイリスが座り込みながら一息つく。

ロノム達は新メンバーのルシアを加え、初めてのダンジョン探索に挑んでいた。

J-４ダンジョン、通稱「ドッグハウス」。ワーウルフやコボルトが巣食うダンジョンである。

「三人とも見事だよ。ワーウルフはかなり手強い相手だけど、危なげなく対処することができた」

ロノムは撃士のルシアを加えて、パーティ全の能力が底上げされたのを実していた。

攻撃手が増えた事によって敵の殲滅時間が短されたため余裕が生まれ、今までは自重して引き返していたような場面でも進行できるようになっている。

「そうですね。ワーウルフは正直私としてはかなり苦手な相手ですが、皆様のおで倒すことができました」

「いやー素早かったですねえあいつら。メルちゃんが正確に捌いてくれなければどうなっているか分かりませんでした」

「本當に……。メルティラさんもアイリスさんも同じBランクとは思えないくらい凄いです」

ワーウルフ達を撃退した小休憩の中、子組三人は水を飲みおしゃべりしながら親睦を深めている。

一方のロノムは探索の魔法を展開しながら、先程までの戦闘でルシアの格を見極めていた。

ロノムの見立てではあるが、恐らくルシアは自発的に判斷してくタイプではない。

なくともアイリスやメルティラのように優秀な判斷力でもって行できるわけではないだろう。

ただ、指示があれば確実にそれに従える。

「多分、うちで一番扱いやすい子だな」

ロノムは三人に聞こえないようにポツりと呟く。

ルシアは言ってみれば兵卒タイプであり、自己判斷で勝手なことをしない。自分の命を故意に危険に曬すようなこともしないだろう。

リーダーからしてみれば胃に優しいタイプだ。

「しかしアイリスさんもメルティラさんもBランク、加えてルシアさんもBランクか……それと比べてパーティリーダーの俺は……」

Bランクが三人いるパーティだと言うのに、肝心のリーダーが冒険者として及第點ギリギリのDランクと言うのは何とも不甲斐ない。

ロノムは壁の方を向きながらしの時間突っ伏した。

「およ？　どうかなさいましたかロッさん」

そんなロノムにアイリスが聲をかける。

「いや、大丈夫。何でもない……。息も整ったし、そろそろ行こうか……」

そう言うとロノムは立ち上がり、先頭を歩き始める。

自分の不甲斐なさに落ち込んだりもしたけれど、概ね元気ではあった。