《【書籍化&コミカライズ】追放悪役令嬢、只今監視中!【WEB版】》15:監視報告②

鏡の中に、一人きりになったシンの姿が映し出される。彼とこうして向かい合えるのは、報告を聞く時だけだ。

『修道院への移に関して、お嬢様はそれほど急ぐ気はないようです。それよりもここの結界の不備をどうにかしたいと』

「以前のクロエならば考えられん配慮だが、將たちに世話になったのなら放っておけんのは仕方ない。明日、聖教會に連絡しておいてくれ」

『承知致しました』

「気になったんですが…クロエ嬢の偽名、チャコって言いましたよね」

シンとのやり取りに、ダイが割り込んでくる。珍しく考え込んでいると思えば、クロエが適當に考えた仮の名だ。

「どっかで聞いた事あるんすよねぇ、チャコ=ブラウンって」

「どう言う事だ? 実在するのならその娘に迷になるが」

ないクロエに関する記憶を辿ってみるが、彼友関係に『チャコ』なる令嬢はいなかったはずだ。どうしても思い出せずに唸っているダイを放置し、レッドリオは本題に移る。

「シン、お前にやってもらいたい事がある。修道院に送り屆けるまでの間、クロエを口説け」

『はぁ!?』

シンが素っ頓狂な聲を上げて眉を寄せた。當然だろう、斷罪された今も変わらずクロエの従者としてお供をしているが、シンの心はモモの元にあるのだ。それでもクロエをシンに惚れさせるのには訳がある。

「道中あのに大人しく言う事を聞かせるには、それが手っ取り早い。俺の事などもう過去の話らしいしな」

『あれはただの強がりですよ。お嬢様の殿下への心は本でした。そう簡単になかった事にできるはずがありません』

人生の無駄呼ばわりされた事への同か、要らぬフォローをしてくるのが腹が立つ。こっちはその心とやらが引き起こした事が原因で彼を罰したと言うのに。

「本か偽かはどうでもいい。今一度、あのに自分の立場と言うものを教えてやるだけだ」

追放したのは逃がすためではなく、自由を與えないためだと。モモをめたクロエに、夢もも未來も持つ資格などない。

「何もこちらから手を出す訳じゃない。いつも通り思わせぶりな事を言って期待を持たせるだけで充分だ。最終的には、心共にお前と離れ難くなってから、修道院で種明かしすればこっちに戻ってきていい」

『子供の頃から側にいる私などに、お嬢様がなど持つでしょうか? ご機嫌取りのために煽て持ち上げるなど日常茶飯事でしたから、そんな私が口説いたところで響かないのでは』

「お前が、あれは強がりだと言ったんだろう。いくら図太い神経しているあいつでも、あの斷罪はさすがに堪えたはずだ。ボロい山奧の宿の野蠻な連中相手にプライドを捨ててしまうほどだからな。お前だけが理解者だと言うアピールをして心を開かせれば、とはいかずとも依存させる事はできるだろう」

そうだ、ではない。レッドリオと家族に捨てられた今、縋れる相手はシンしかいない。甘い言葉を囁かれれば、レッドリオへの未練を忘れるために必死で獨占に変換してくれるだろう。修道院に著くまでの短い夢だが。

一度ならず二度までも、信じたに裏切られても、それでもまだ平然としていられるだろうか。

(第二の人生など認めない。貴様は斷罪した時のように、見苦しく地面に這い蹲っているのがお似合いなんだよクロエ…)

暗い悅びに知らず口端が上がるレッドリオを、部下たちは戸った表で見守っていた。

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