《【書籍化&コミカライズ】追放悪役令嬢、只今監視中!【WEB版】》19:実習開始

グレースの宿屋の朝は早い。まだ暗いから起き出して鶏小屋の掃除と卵の収穫。驚いた事にここで飼っている鶏は魔の仲間だった。結界が弱まっているのでり込んだのだろう。

『最初は普通の鶏が何羽かいたんだけど、ぜーんぶこの魔鶏にやられちゃってねぇ。だったらもうこいつに産んでもらおうじゃないかって事で』

『よく大人しく小屋に納まっていますね。卵だってそう簡単に取らせてくれないでしょう』

『だからこの赤龍の首を使うのさ。こいつはそこのダンジョンの奧で見つけたのを客が宿賃代わりに置いてったでね。に著けてる間は弱い魔程度なら襲って來ないんだ』

魔鶏は普通の鶏よりも多く卵を産み、その一つ一つが大きくて味も濃厚なため、山奧の宿屋としては現在いる二羽だけで充分事足りるのだと言う。

主に魔の世話をさせる訳にはいかず、これはシンが引きける事となった。

『面白そうだから、私もやってみたかったんだけど…』

『危険だし、酷い臭いだ。チャコにはこんな汚れ仕事はさせられない』

『それじゃ、チャコにはトイレ掃除を任せようかね』

『!』

一つ避けても降って湧いてくる汚れ仕事に、クロエが令嬢のままならこの將、潰されていたなと同する。が、クロエが當たり前のようにれるのを見て、シンが慌てた聲を上げる。

『いいのですか、チャコ。こんなきつい仕事を貴が…」

『清掃は修行の一環だったから慣れているわ。この程度嫌がっているようじゃ、とても修道院でもやっていけないでしょ』

言われてモモの負擔を軽減するために聖教會に掛け合った事を思い出す。朝の清掃は聖としての徳を積むための修行なのだと。王妃候補にもなり得る聖にそんな卑しい事をさせるつもりかと押し切ったのだが、まさかあのクロエがモモも嫌がるような掃除を逃げずにこなしているとは――

『トイレはしい神様が司っていて、綺麗にしておくと心が清らかになるそうよ』

『聞いた事がありません。チャコは修行時代、真面目に掃除していたのですか?』

『もちろん、人の目がある時だけね。後はまあ、手を抜けるところは抜いてたわ』

「やはりな。こいつはこう言うだ。何が心が清らかだ、仮の聖に認定されたのだって、他人にやらせていたのを誤魔化していたに決まっている」

こそっとシンにだけ聞こえる聲で明かしてに人差し指を當てて笑うクロエを、間髪れずに扱き下ろす。ダークも同意して大きく頷いていた。今までは別人のようにしおらしくなり驚きの連続だったが、こう言う小狡さを見せると本人なのだと安心する。

(安心…? 安心って何だ、あいつが反省しないとモモを安心させられないだろう)

「いやー、面白いね。これがあのクロエ義姉上?」

「その呼び名は不快だからやめろ。もう俺の婚約者候補ではない」

「そうだったね。でもまあ、以前はともかく今はちゃんと反省してるんじゃない?」

「あいつの頭に反省の二文字なんて存在すると思っているのか」

頑なにクロエを信じないレッドリオとは逆に、イエラオは興味深そうにスクリーンを眺めていた。

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