《【書籍化&コミカライズ】追放悪役令嬢、只今監視中!【WEB版】》33:転落の始まり

レッドリオの足は、聖教會へ向かっていた。王太子の座が弟イエラオに確定する。それは、己に無能の烙印を押されたに等しい。今までは問題さえなければ第一王子である自分が自的に王太子になるものとされ、それは父も弟も認めていたのだ。婚約者がいない、それだけで引き摺り下ろされるなどあり得ない。しかも元々婚約者だったクロエは真の聖モモを害し、自分たちはそれを斷罪したのだ。これではまるで、レッドリオの方が罰をけたようではないか。

(とにかくモモに會って話を……くそっ! ダークめ、やはりあのクロエの兄なだけある…)

心の中で吐き捨てながら、敷地でモモを探す。當の本人は、教會の食堂で一人晝食を取っていた。周りの信徒たちは第一王子のにぎょっとするが、構わずテーブルに手を突く。

「ベ、ベニー様どうなさったのです? 朝のお務めを減らして頂ける話が通ったのですか?」

「いや、それは……今日はそちらではない。実は婚約者がいなくなった事で、王位継承権爭いがかなり不利だと言われたのだ」

「ええっ!?」

本當はとっくに弟が王太子に決まったのだが、言い出せずに伏せておく。実際、レッドリオはモモさえ婚約者になってくれればまだ逆転できると踏んでいた。何せ昨今の瘴気の濃さは尋常ではない。それを浄化できるとなると、伝説級のレベルとなる。そんな真の聖、そして彼止めた者を王家が放置できるはずがないのだ。

モモはカチャンと持っていたスプーンを皿に置くと、食事を下げた。食べながら聞く話ではないと察したのだ。席に戻る時に、レッドリオのためにお茶とクッキーを手にしている。

「どう言う事か、聞かせてもらえますか?」

「ああ、ありがとう……モモが正式な貴族となるために、セレナイト公爵に養子りを打診したよな? それはクロエが犯した罪を奴一人に収めるための恩でもある。だがここに來て、ダークが裏切ったんだ。あいつはモモを妹として迎えれる気などなかったんだ」

「えっ、ダーク様が!?」

まさかの裏切りにショックをけている。しかしレッドリオは、ダークが婚約を解消する事は分かっていた。自分やセイも同じ事をしているのを考えれば、モモを想うのなら好きでもない婚約者などきっぱりと切り捨てるべきだと言うのは分かる。しかしそれが、己の王位継承権にまで影響するとまでは思い至らなかった。

「あいつはお前を、として見ている。そのような男と兄妹になど、お前はなれるのか?」

「ダ…ダーク様がそう仰ったのですか?」

「だからこそ奴は、ホワイティ辺境伯家との婚約話を潰したんだろう」

「……」

モモは俯いて黙り込んだ。揺らいだ瞳で想うのは、兄のように慕う相手への失か、そこまでを示してくれた事への歓喜か。いずれにしても、これでモモの養子りはうやむやになった。新たに養家を探すにしても、選ぶのに時間はかかりそうだ。

ダークへの想いを追求したいところだが、その前に顔を上げたモモの口から、別の話題が出た。

「セレナイト公爵家と言えば……クロエ様は今、どうされていますか?」

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