《【書籍化&コミカライズ】追放悪役令嬢、只今監視中!【WEB版】》35:ダークの暴走

モモはこれまで、レッドリオたちの集會に混ざりたいと言い出した事はなかった。監視は自分たちに任せておけ、君は聖の修行に集中してしいと言っておいたからなのだが、それでもクロエが何をしているのか確かめたいと言う彼の気迫に、レッドリオも斷る事はできなかった。

とりあえず、次に向かうのはネブル將軍の家だ。現在、そこではダークが謹慎のため預けられている。

「まあ、第一王子殿下。ご來訪であれば仰って頂ければ……主人も息子も留守にしておりますが」

「持てしは要らん。ダークはどこだ?」

「庭で素振りをしております。セレナイト公から、鍛え直してやってくれと伺っておりますので」

突然押しかけて來た王子に戸う夫人を余所に、レッドリオはずんずん庭を突っ切っていく。そこではダークが剣を無心に振っていた。レッドリオの姿を認めた彼が剣を下ろし、聲をかけようとするのを待たず、その顔面に拳を叩き込む。

「ぐ…っ、何を、殿下……?」

「分からないか? よもや貴様が第二王子派に鞍替えしたとはな」

「話が見えませんが…」

首を傾げるダークに向け、レッドリオが無表で剣を抜いて打ちかかって來たので、慌てて構え直しこれをける。キィン、と金屬がぶつかり合う音が響いた。

「貴様が今ある婚約を破棄した事で、モモのセレナイト公爵家への養子りがなくなり、婚約者のいるキースが王太子に決まった。これをどう思う? 俺はてっきり、貴様はモモを妹とする事をれたと思っていたのだがな。すっかり騙されたよ」

「誤解です! 確かに私は、モモが殿下を選ぶならば兄として見守ろうと決めていました。だから彼に、心から殿下をしているのか聞いたのです。そうしたら『自分にはまだやるべき事があるので、それまでは誰か一人を選ぶなんて決められない』と……

だから私も、全てが終わるまでは待つ事にしたのです。殿下、まだ貴方がモモに選ばれると決まった訳じゃない。それまで決められた婚約者に期待を持たせてはいけないと、ホワイティ辺境伯に告げたのですよ」

ダークの言い分は、既に聞いていた通りの事だった。レッドリオは嘲り笑いを浮かべると、彼の剣を払い除け、その切っ先を向ける。

「隨分自信があるようだな。この俺を差し置いて、モモに選ばれるとでも? 彼を迫害した毒婦の兄なのだぞ」

「…っ!!」

クロエの名を出されて、ダークは燃え上がるような目を向けた。その眼差しは半分とは言えが繋がっているだけあり、やはりクロエに似ている。無意識に柄を握る力が増した。

「妹の事は関係ない! ならば何故セイ=ブルーノの婚約は解消を許されたのか。兄弟ならばする者を譲ってやっても良いとお考えか?」

「勘違いするな、選ぶのはあくまでもモモだ。彼がセイの手を取るのであれば、俺はそれをれる。

…だがダーク、貴様は俺の提案を飲んだよな? クロエの罪を家族に及ぼさないために、モモをセレナイト家で引き取ると……セレナイト公爵令嬢との婚約により、第一王子が王位継承者のままでいるのには必要な事だと、分かっているよな」

「……それは」

剣を下ろしたダークの腕を摑み、レッドリオは耳元に顔を寄せて囁く。

「モモをしたその日から、俺たちは運命共同だと言う事を忘れるな。お前が妹のように駄々をねたせいで、モモが肩の狹い思いをしてもいいのか?」

「グ…ッ!!」

妹への憎悪、モモへの思慕、そして忠誠がないまぜになった複雑な表で、ダークは手から剣を落とした。

    人が読んでいる<【書籍化&コミカライズ】追放悪役令嬢、只今監視中!【WEB版】>
      クローズメッセージ
      あなたも好きかも
      以下のインストール済みアプリから「楽しむ小説」にアクセスできます
      サインアップのための5800コイン、毎日580コイン。
      最もホットな小説を時間内に更新してください! プッシュして読むために購読してください! 大規模な図書館からの正確な推薦!
      2 次にタップします【ホーム画面に追加】
      1クリックしてください