《【書籍化&コミカライズ】追放悪役令嬢、只今監視中!【WEB版】》ダイ=ネブル②~天使な彼

それからモモは放課後にいつも訓練場を訪れ、差しれや俺の応援をしてくれたのだった。俺とはクラスも違うし、學校がなければモモともっと一緒にいられたのに殘念だ。

そう言う俺に、モモは首を傾げる。

「學校は勉強だけをする場所ではないわ。ダイ様も行事に參加すればいいのに」

「殿下の護衛のためには行くけど、自由時間はずっと晝寢してるよ。つまんねえんだもん」

「そうかなぁ? せっかく學したんだから、楽しまなきゃ損だよ。でも殘念だなぁ…今度の學園祭、ダイ様が參加してくれたら、きっともっと楽しかったのに」

「しょ、しょうがねえなあ。手が空いてる時だけ、一緒に回ってやるよ」

「本當っ!? 嬉しい!」

ぱあっと輝くような笑顔で腕を取られ、カーッと顔が熱くなる。ここまで來ると俺は認めざるを得なかった。モモが好きだ。こいつに嫁に來てしい。分の差? そんなのどうとでもなる。モモが王都に來たのも、才能を認められての事だったんだから。

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だが事はそんな単純ではなかった。モモの才…聖としての力が目覚めたと言う事は、王家に目を付けられる。実際、レッドリオ殿下の婚約者クロエは仮の聖と認定されていたが、殿下は彼よりも本の可能が高いモモに惹かれているようだった。もちろん誰に対しても怖じせず、天真爛漫な所がモモの魅力だ。殿下が好きになってもおかしくはないのだが。

「なあ、モモって殿下の事が好きなのか?」

「え……どうして?」

思い余った俺は、モモに直球で聞いてみた。回りくどいのはに合わないからだ。モモは明らかに困っていた。

「クロエ嬢が騒いでたんだよ。私の婚約者の周りをうろつく悪い蟲がいるーってな」

「…私も困ってるんです。取り巻きの人たちに散々脅されて……私がなくなったり壊される事も多くなりました。私如きが王子様に近付くのが許せないんでしょう」

沈んだ表のモモに、俺はあいつらをぶん毆ってやりたくなった。もちろんに暴力なんて騎士の風上にもおけないが、それを言うならクロエだ。仮にも聖と聖教會が認定し、未來の王妃と言われているが、嫉妬に狂って取り巻き使って嫌がらせなど。俺はクロエのような、険で粘著質なは大嫌いだ。

「庶民が王族と仲良くするのって、そんなに罪深い事なんでしょうか…」

「そんな事ねえよ! …そりゃ確かに、社會に出ればどうしようもない分差はあるよ。けど、まだ學生だろ? 楽しまなきゃ損だって、お前も言ってたじゃん」

「そう、ですよね。それにどうあっても、私は貴族にはなれないし。クロエ様も、考え過ぎだと思うんです」

暗い空気を払拭するように微笑む彼に、逆に不安が過ぎる。もしも本當に、殿下がモモを選んだら……真の聖と認定されたら、王家はモモを放っておかない。そうなればモモは斷れないだろう。その時俺は…素直に彼を送り出してやれるのだろうか。殿下は唯一、俺が認めている主君だ。本気でモモが好きだと言うなら俺だって潔くを引きたい、が……

「どうしたんだモモ、その腕の怪我は!?」

モモが階段から落ちたと聞いて、慌てて保健室に駆け込むと、そこには包帯を巻かれベッドで寢かされているモモと、そこに寄り添うレッドリオ殿下の姿があった。

「クロエの仕業だ…あいつが取り巻きに命令してやらせたんだ」

「何っ!?」

「そうだな、モモ?」

「はい、私を階段から突き落とした人たちには、見覚えがありました」

が怒りで煮え滾る。もう男もも関係ねえ、あいつらぶっ殺してやる!!

保健室を飛び出そうとする俺を止めたのは、クロエの兄ダークだった。

「止せ、証拠がない」

「離せ、モモが噓吐く訳ねえだろ! それとも可い妹だから庇ってんのかよ、お兄ちゃん?」

ガツン、と毆られたがダークの弱っちい拳なんて屁でもない。モモはもっと痛い思いをしたんだ。

だが、からが滴るほど強く歯を噛み締めているダークを見て、こいつもクロエが許せないのだと察した。殿下は俺たちを見渡し、決意の籠った眼差しを向けた。

「まずは証拠集めだ。あの悪を、斷罪する」

こうして悪の権化であるクロエは無事レッドリオ殿下との婚約を破棄され、王都を追い出されたのだが、モモの憂いは未だ晴れない。そして俺たちの、誰が彼に選ばれるのかも……

モモ、さっさと問題を片付けてやるからな。そして俺を選んでくれたら、一生お前を守ってやる。

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