《【書籍化&コミカライズ】追放悪役令嬢、只今監視中!【WEB版】》ダイ=ネブル③~崩れる認識~

俺を含むモモに想いを寄せる者たちは、レッドリオ殿下の部屋に集い、シンが撮影したクロエの様子を監視する事になった。あのの事だから、自分の仕出かした事を棚に上げて、逆恨みでモモへの憎悪を垂れ流しているに決まってる。

そう思っていた俺たちの予想は、大きく裏切られる事になった。

と王子妃候補と言う二つの枷から解放されたクロエは、実にアクティブだった。シンの護衛があったとは言え、山賊相手にクロスボウで立ち回り、初めてる山の中でも果敢に突き進み、探し當てた山奧の宿屋では自ら頭を下げてきつい仕事を引きけ、小汚い男たちにも想笑いを向ける。

何だこいつは、本當にクロエ=セレナイトか? 人前では貓を被ってはいるんだろうが、シンと二人きりになってからも、これまでの悪行を悔い改め、人の役に立ちたいと真摯に訴える様子を見せている。

驚く事に料理も積極的に覚えようとしているようで、王都にいた頃はモモへの対抗心やら殿下への見栄もあったんだろうが……何と言うか、今は純粋に楽しんでいるようだ。その振る舞いは、まるで……

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「はっ、違うぞ! 全然違う! あいつはモモとは正反対だ!!」

差しれに來てくれたモモの姿が脳裏に浮かび、必死で振り払う。何故、似ていると思っちまったんだ。クロエは贖罪のためにやってるだけだ。だけど、そうか……あいつ、ちゃんと反省してるんだな。モモの言うように、殿下への未練とか、逆恨みなんてしてないじゃないか。だったらもう、許してもいいんじゃねえの?

「でも、モモが不安がっているんだよなあ」

こんな離れた場所で映像だけを見て、野次を飛ばしてるだけじゃ分からない。俺はバカだから、直接會って話してみない事には判斷ができねえんだ。それに、モモの馴染みだと言うロックが褒めているクロエの手料理も気になる。いや、どうせモモの方がずっとうまいんだろうけど。

そんな思いが膨らんでいく、セレナイト公爵がダークを俺の家に預けに來た。不甲斐ないこいつのを叩き直して、目を覚まさせてやってしいとの事。何のこっちゃ。

「獨斷でシィラとの婚約を破棄しようとしたんだ」

親父が留守の間は打ち合いの稽古に付き合ってやっていると、ダークは悪びれる事もなくそう言った。その話はセイと共に上映會の時にも聞いたが、貴族に養子りした後のモモをレッドリオ殿下が新たな婚約者に據える可能が高い今、その養家となるセレナイト公爵家の嫡男が橫慕するのはまずいだろう。ホワイティ辺境伯は王妃の実家だしな。

「クロエの事もあるのに、これ以上問題を起こすなと言われたんだ。私はただ、モモへの想いに誠実でありたいだけなのに……あんな愚妹なんかと一緒にされてたまるか」

屈辱にを震わせるダークには悪いが、モモがダークを異として見る事はないだろう。彼が「兄」として慕っているのはダーク自、何度も言ってきた事だ。こいつが自分の婚約を破棄しようがどうしようが、それは変わらない。ではレッドリオ殿下とはどうかと言えば……殿下はともかく、モモの方はそれほど乗り気ではないように見える。庶民が王族に逆らえるはずもないのだが、加えてクロエが嫉妬に狂うあまり必要以上に騒ぎを大きくしていた面もある。殿下がその気なのは一目瞭然だが、クロエへの當てつけが含まれているのも否定できないだろう。

(お前は真っ直ぐ頑張ってる俺が好きだって言ってくれたよな?)

うだうだ考えるのは苦手だ。今、俺にできるのは、モモの不安をさっさと取り除き、頼りになる男だと認めてもらう事だ。

そう思い立った俺は、お袋に上級者向けダンジョンに挑む事を告げると、荷を纏めてイーリス山を目指したのだった。

目的は二つ。グレースの宿屋で足踏みしているクロエの化けの皮を剝がしてやり、すぐさまナンソニア修道院へ向かわせる事。そしてモモの馴染みのロックって奴の面を拝みに行く。

宿屋に足を踏みれた俺は、即座に二人を挑発した。王都にいた頃のクロエならたちまち癇癪を起こして本を現すはずだった。だが結果は將を始め、酒場の客たちにボコボコにされた。どうやらクロエは看板娘チャコとして、周りに慕われているようだった。

シンは俺が來た事に怒っていた。もちろん上映會の日に初めて殿下たちに知られる事になるが、俺は悪い事をしたとは思っていない。クロエが修道院に送られる理由は真の聖モモへの迫害を償うためであり、仕掛けやら何やらの作戦は殿下個人の恨みを晴らすためだ。モモのためにも、余計な事して遊んでる暇はない。

そう思ったのだが、シンは昔の仲間たちと再會した事で完全に毒気を抜かれてしまった。ロックもクロエの正を暴いてやったのに、ぴくりとも反応を見せずれてしまっている。どうなってんだ…まさかシンもロックもクロエに篭絡されたんじゃねえだろうな。モモへの想いを捨てて? …信じられねえ。

俺はその辺を見定めるべく、ロックのパーティーに潛り込んだ。と言うか斷られたのだが、無理矢理ついて行った。

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