《【書籍化&コミカライズ】追放悪役令嬢、只今監視中!【WEB版】》52:聖の代理

『どうやら聖モモはダンジョン攻略の方を優先したいらしい。とは言え國家の行事を放り出す訳にもいかないよね? 貴は仮の聖としてずっと降臨祭に參加してきたのだし、うってつけだと思うな』

周りに聞こえないよう聲を潛め(シンとこちらには屆いているが)クロエにそう囁くイエラオ。ダンジョン攻略と聞いて、クロエがハッとした表で考え込む。瘴気が濃くなってきている事はクロエも気付いていたし、浄化のためだと思い當たったのだろう。

『よろしいのですか? 私は本のチャコでは』

『細かい事は、王都に著いてから説明するよ。それに義姉上には、聖石が必要なんでしょう? 直接神長と渉してもらうのがいいと思って』

目を細めて笑うイエラオに、クロエは呆れたように溜息を吐いた。

『…本當に、どこまでもご存じなのですね』

『ここに來た時點で察してしいな。それで、來てくれるよね?』

『はあ……分かりました。これも贖罪の一環としてお引きけ致しましょう』

「こんなの詭弁だろう、許されるはずがない!!」

一連の流れに納得できないレッドリオがイエラオに食ってかかるが、にっくき弟は飄々と返す。

「聖の代役を立てろと言ったのは兄上でしょう? そっちの理屈も相當無理を押し通してるんだけど」

「だからって何故クロエを王都に戻すと言う理屈になる!? あいつには魔の嫌疑がかかってるんだぞ」

「それなんだけどね」

イエラオはスッと冷めた目でモモを見た。抜かれたように、ビクッと萎するモモ。

「魔だ何だってのは、あくまで彼の推測なんだよね。まあ可能だけで言うなら、あり得ないとは言い切れないけど……だからクロエ嬢自に証明してもらう事にしたんだ。大勢の國民の前でね」

「証明だと?」

スクリーンの中では、クロエたちが將とグレース牧師に王都に戻る事を説明している。

『降臨祭が終わればすぐに戻ってきます。上手く聖石をもらえれば、もうロックたちが危険な目に遭わなくて済みますし…』

『冒険者にそれはどうだろうね? まあ帰って來たら伝えておくから、あんたも無事戻っておいでよ』

『はい、必ず……できれば牧師様の冤罪も晴らして來れたらいいのですが』

『嬢ちゃんにそこまでしてもらう義理はねえし、まずは自の安全を第一に考えろ』

『はい……! 行って參ります』

グレース牧師に軽く頭を叩かれ、クロエは目を潤ませて頭を下げた。

宿を後にしたイエラオの後を追い、クロエとシンは山を下りて行く。聖石にヒビがっているとは言え、結界の外に出るのでクロエは不安そうに辺りを見回している。

『あの、イエラオ殿下……王都までは馬車で何日もかかるのですが、もしやここへは』

『うん、そうだよ。當然じゃない』

クロエの問いにイエラオが答えた途端、周りの木々が騒めいた。辺り一面を巨大な影が覆い、何事かと空を見上げたシンは背後に彼を庇って剣を抜く。

『ま、魔!? ついにダンジョンの外へ…』

『シン、落ち著いて。あれは魔ではなく幻獣よ』

そ(・)れ(・)は大きな翼で空中を旋回し、三人の前に降り立つ。イエラオは怖じせずに近付き、可がるように鼻先をでた。

『そう…こいつはしの婚約者カナリア=リクーム公爵令嬢が、僕の誕生日に自國から贈ってくれた幻獣……ドラゴンだよ』

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