《【書籍化&コミカライズ】追放悪役令嬢、只今監視中!【WEB版】》61:イーリス山への帰還

各方面への挨拶を済ませた後、クロエたちは再びイーリス山へ戻るためにドラゴンに乗った。その際、聖教會の者から渡された聖石も忘れずに荷に積む。

『本當にいいの? もうわざわざ修道院に行かなくても、君の罪を問おうなんて輩は兄上たちぐらいしかいないよ』

『そんな事はないでしょう。國民はわたくしがきちんとけじめをつけられるか、見定めています。それにイーリス山周辺の瘴気に関しては、わたくしが解決しようと決めているのです』

『頑固だなぁ…ま、気の済むまでやってみるといい。どうやら気になるのは瘴気だけではないようだし?』

『で…殿下!』

ぱっと顔を赤らめたクロエに笑するイエラオを乗せて、ドラゴンはナンソニア山脈へと飛んだ。イーリス山の宿屋の前では、グレース夫妻の他、常連客に混じってロックとパーティーの仲間が手を振って出迎えてくれた。

『おかえり! どうやら首尾よくいったみたいだな』

『ごめんなさい……面倒な頼み事をしておいて、結局はイエラオ殿下に助けて頂いて』

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『バーカ、こう言う時にすんのは謝罪じゃねえよ。スペアはいくらあっても困らないんだしさ』

『あ…ありがとう』

頭をぺシンと軽く叩かれ、クロエがぼうっとロックを見上げる。それにニヤッと笑って返すと、せっかくだからダンジョンで手した魔水晶を錬しようと言う話になった。皆がどやどやと教會に向かう中、ダイは何が起こっているのか理解していないようで、背後でんでいるのが聞こえる。

『イ…イエラオ殿下!? さっきクロエ嬢を連れてドラゴンから降りてきましたけど……どうなってるんですか。監視の方は!?』

『あー…兄上たちは今、忙しくてそれどころじゃないんだよねえ。おかげで王都はクロエ嬢を一時連れ戻さなきゃいけなかったし。と言うかダイ、いつまでここにいる気? まだ気が済まないの?』

『い、いやぁそれが……あいつらがすっげぇ気のいい奴等で』

歯切れ悪く返事をするダイを置いて、教會で聖石の錬が始まる。見本として王都から持ち帰った聖石が床に置かれ、その周りを數個の魔水晶で囲んでいく。

『チャコ、すまんが錬中はお前さんの神力も借りたい』

『分かりました。ついでに外の結界も限界でしたから、張り直しますね』

何でもない事のように言うと、クロエは両手を天に掲げる。パシッと空気が張りつめるような音がして、人々が驚いた表できょろきょろと周りを見回していた。

『びっくりしたぁ! お嬢様が結界を張るところなんて、初めて見たわ』

『腕を上げましたねお嬢……でも同時に錬にも神力を使うんでしょう?』

『聖石ができるまでは、何とか持たせるわ』

安心させるようにニコッと笑って見せると、クロエはグレース牧師と共に錬の作業にった。

聖石の錬は、上級者向けダンジョンでしか採掘できない魔水晶を使い、錬士と神力を込める神とで行われる。目を閉じ、床に描かれた八芒星の中に置かれた魔水晶に手をかざすと、パリパリと黒い靜電気のようなが辺りを包んだ。この景はレッドリオにも見覚えがある。真の聖を決める儀式の時に、クロエがれた水晶にも同じ現象が起きたのだ。神力のは個であり、それ自に意味はさない…とは言え、聖と言うには見栄えに問題があるが。

ふわふわと、神力をけて魔水晶が浮かび上がり、クロエたちの周りをくるくる回り出す。やがて、パシン! とグレース牧師が手を叩くと、魔水晶が砕け散り、中からり輝く石が現れボトボトと床に落ちた。

『よし、完だ』

『お疲れ様です、お嬢様……危ない!』

聲をかけようとしたシンは、ふらりと倒れるクロエを慌てて抱き留めた。

『平気……ちょっとふらついただけだから』

『王都でも聖代理を務められたでしょう……無理をなさらないで下さい』

ヒビのった聖石との換にまでついて行こうとするのを押し留めていると、將が教會に顔を出す。

『ほらほら、あんたたち! 今日の宴のためのごちそう、冷めないに食べちまっとくれ。チャコ、あんたは頑張ったんだから、後の事は宿六に任せて早く休むんだよ!』

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