《【書籍化&コミカライズ】追放悪役令嬢、只今監視中!【WEB版】》63:モモの決斷
『…そろそろ戻るか。いつまでも外に出てたら寒いだろ』
甘い雰囲気を吹き飛ばすように、わざと明るい聲を出したロックは、宿に足を向ける。その時、パサリと地面に何かが落ちた。大きさはちょうど顔半分くらいの、白くて質の――
『ロック、これ落としたわよ。仮面…』
『え……やべっ!!』
クロエが拾って差し出した仮面を見て、やけに慌てた様子のロック。
「!! あの仮面は…」
ロックのアイテムに、モモが大きく反応した。目を見開いて、震えながら凝視している。
「モモ、どうした? あの仮面が何だと言うんだ」
「噓、噓よ……最初聞いた時は何かの冗談かと思ったのに……だってそうでしょう?」
レッドリオの気遣う聲も、彼には屆かない。そんなこちらの事を余所に、クロエから仮面をけ取ったロックは、気まずそうに頭を掻いていた。
『それも魔水晶と同じくダンジョンで見つけたの?』
『いや、これはグリンダ伯爵家から譲りけた家寶だよ。跡継ぎにはなれないけど、冒険者になるのなら伯爵家の一員として持っていてくれって……ほら、コランダム王國ってドラゴンの生息地だろ? 特に伯爵家は伝説級のドラゴンから加護をもらって興した家とかで。この仮面もその証なんだってさ』
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『ふーん』
『……まあ、本當かどうかは知んねぇけど。呪われてる可能だってあるし』
そう言いつつ仮面を弄ぶロックに、クロエは鑑定させてもらえないか頼んだ。神聖魔法『鑑定』を使えばアイテムの名稱や効果、曰く付きであるかも判明する。け取った仮面を引っ繰り返したり下から覗き込んだりしているクロエの目が、神聖魔法ので強く輝き出した。
『これは『妖の仮面』と言うアイテムよ。確かに何らかの超常的存在による加護はけているわね。それがドラゴンかどうかまでは、私のレベルでは分からないけど……呪いはかかってないから安心して。裝備すれば素早さが劇的に上がり、高い所へもジャンプだけで軽々登れる、とあるわ。名前の通り妖の職人の手で作られていて、その効果は髪がサラッサラのツヤッツヤになるんですって』
『プッ、ハハハハハ…何だよそれ。いらねー!』
『まあそう言わずに。試しに著けてみたら?』
『おい、やめろって…』
ふざけてロックに仮面をつけようとにじり寄るクロエ。傍から見て完全に人同士のじゃれ合いだ。果たしてこのまま見守るべきか、止めるべきか。畫面がぶれているのは、判斷に迷ったらしいシンがその場で足踏みをしているせいだろう。
そんな二人を映し出す鏡から目を背け、髪を掻き毟りながらモモはブツブツ呟いている。
「やめて、噓だと言って……こんな、序盤で出てこなくなるモブが隠しキャラとか噓でしょ? グリンダ伯爵は虹に輝く髪と、優しいエメラルドの瞳を持つイケメンなのよ。そうよ、ずっと私だけを想って、ピンチの時には必ず助けてくれる、正不明のヒーローがこんな、ボサボサ緑髪のモブな訳……緑? みどり……」
思考の海に沈んだまま帰って來ないモモを、レッドリオたちは揺さ振ってでも戻って來させるか迷った。だが肩にれる直前、モモは髪を振りしながらがばっと顔を上げる。
「ひ…っ」
「上級者向けダンジョンへ行くわ」
思わず後退りしてしまったレッドリオだが、虛ろな目でだけをかすモモに目を見張った。自分たちはまだ、中級者向けダンジョンですらギリギリなのだ。
「危険だ、ただでさえダイとセイが抜けたんだぞ。それにモモの神聖魔法も不調のようだし…」
「ダイなら向こうにいるから合流すればいいじゃない。セイ? 知らない。そんな人いなくても、私一人でダンジョンくらいクリアできるわ。何なら今から行ってきましょうか」
立ち上がってふらふらと外へ出て行こうとするモモを、慌てて肩を摑んで引き留める。明らかに普段のモモではなかった。
「無茶だ、せめて明日俺たちと一緒に……」
「離しなさい!!」
バチッと靜電気のような痺れが走り、レッドリオは呆然とした。神聖魔法の結界に効果が似ていたが――モモは己の手を見つめ、満足そうに笑った。
「ほら、ちゃんと使えるじゃない、神聖魔法……そうよ、私は選ばれたんだもの。クロエじゃなくて私が! いくら私(・)と(・)同(・)じ(・)でも、ヒロインと悪役令嬢が引っ繰り返るなんて事、ある訳なかったのよ。ヒロインはモモ、悪役はクロエ。これは絶対なの!
……ロック、ひどいじゃない。どうしてグリンダ伯爵だって教えてくれなかったの? どうして私がいながら魔なんかと仲良くしてるの? ふふ、でも許してあげる。あなたは騙されてるだけだから、私がすぐにその魔を封印すれば、きっと目を覚ましてくれるよね」
ぞっと、背筋が凍った。外へ出るのは諦めたものの、モモは含み笑いをしながら鏡に張り付いている。その凄まじい形相にショックをけて近付く事もできないレッドリオとダークとは逆に、イエラオは全く普段通りに一言呟いた。
「まるで、魔だね」
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