《【書籍化&コミカライズ】追放悪役令嬢、只今監視中!【WEB版】》67:ロックとの別れ

出発の日の朝、クロエは宿の者たちとの別れを惜しんでいた。ラキたちはシンと同様、クロエの護衛のために同行するようだ。ダイもキサラの事があるためか、ついて行きたがったが、きっぱり斷られていた。

『ダイ様はまず、王都に戻られるべきだと思います。殿下やモモ様も心配するでしょう』

『でもよぅ……せっかくここからが楽しくなってきたところだってのに』

『貴方、何のためにこちらにいらしたんですか? ……でしたらもうすぐモモ様もこちらに來られるはずですから、しばらく滯在されては』

まるでこちらの思を見かしているかのような言いだ。実際、瘴気の濃さが増している事から、そろそろ聖教會がモモを遣わす頃だろうとあたりをつけたのだろうが、それにしてもタイミングがいい。ぎょっとする私とは違い、モモは至って冷靜だった。

「ふふ……読んでいたようね。やっぱり彼は私と同じ」

「? どう言う意味だ、モモ」

「いえ……上級者向けダンジョンに眠る魔の魂が、聖じ取っていると言う事です」

それは聖教會の書庫で話していた、魔は元々聖だったと言う話からか。しかしいくら古書に記述されていたからと言って、モモがここまで確信を持って言える拠は何なのか。これも、聖の力なのか?

私の思考は、クロエがロックに呼びかけた事で打ち切られる。

『ロック、貴方はどうするの? これから……』

『そろそろコランダム王國に戻ろうと思ってる。モモの様子も知れたしな』

『會っていかないの?』

『まあ……ダイに聞いた話だと、元気にやってるみたいだし。王子との婚約はめでたいが、面と向かって會うには、まだ心の整理がつかなくてな……』

複雑そうな聲のロック。クロエといい雰囲気にはなったが、やはりモモの事は特別なのだろう。どこからともなく「ふふふ、逃がさないわよロック」などと低い聲が聞こえてきたが、きっと風の音だ。

『ロック、貴方に會えてよかった。ここで過ごした數日間は、私にとって寶よ』

『何だよ、大袈裟な……俺もだ、チャコ』

『その偽名も、もう使う事はないでしょうね。ねぇ、最後に本名で呼んでもらっていい?』

何でもない事のように振る舞っているが、クロエの聲は僅かに震えていた。最後は懇願するかのように、寂しさと甘さがり混じる。ぐしゃぐしゃっと音がして、クロエが小さくく。どうもロックがクロエの髪を暴にでたようだ。

『じゃあな……クロエ』

ロックがそう言った瞬間、目の前が真っ赤になった。すると聖鳥が「ギエエエエエエッ」と奇聲を上げる。モモが迷そうにこちらを振り返る。

「ベニー様、羽を毟らないでください」

「あ……すまん」

無意識だった。私は謝りながら、羽を抜いてしまった箇所をでつける。

しかし、気のせいだろうか。モモの目ののように真っ赤に見えたような……

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