《【書籍化&コミカライズ】追放悪役令嬢、只今監視中!【WEB版】》75:モモの正

それは三年前、國中の教會で神力測定が行われたあの日――當然、モモたちのいるパレット村でも娘たちが集められたのだが。し怯えた表のモモが呼ばれて教會へった後、凄まじいが解き放たれ、何事かと駆け付けたロックが見たものは、神々しいまでに輝く、自信に満ち溢れたモモの姿だったと言う。

「あの時點で気付いておくべきだったんだ。別人みたいな喋り口調だし、神でも読むのに苦労する古書をスラスラ読めるし……みんな聖として覚醒したおかげだって言うから、押し切られるまますぐに離れ離れになったけど、心のどこかでいつも引っかかってたんだ」

エメラルドの瞳が、仮面の中から悲しみを湛えてモモを見つめている。それは、この先確定する辛過ぎる現実をけ止めようと言う決意がじられた。

「お前は、誰なんだ? 俺の馴染みをどこへやった」

「酷いわロック……私はモモだって言ってるじゃない。ただ前世の記憶を思い出しただけ」

前世?

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ダイは首を傾げ、レッドリオは驚きに目を見開く。人は死ねば初代聖の住まう階層へ導かれるのが、この國……と言うより聖教會の教義だ。しかし他國には廻転生と呼ばれる、生まれ変わりの概念があると聞く。

(モモの前世だって!? 『真の聖』に認定された者が、聖教會の教義を否定するのか?)

カラフレア王國でも、悪黨の魂は瘴気となって上級者向けダンジョンを永遠に彷徨う……なんて子供への脅し文句があるので、廻転生が全くれられない訳でもないが。(瘴気が魔獣を生み出すのだから、魔獣の前世は悪黨だとも言える)

だとしても初代聖は、こんなを自分の後継に選ぶものだろうか?

「前世か何か知らねぇけど、だったら覚醒前の記憶はどうなったんだよ? モモだって言い張るなら、思い出してみろ。そいつこそが、俺にとっての『モモ』だ」

「知らないわよ。あんな天然田舎娘なんて、とっくに消えてるわ! 今は私がモモなんだから、れなさいよ!!」

に、モモの聲がわんわんと反響した。その後に訪れる、靜寂。

ロックはぎゅっと目を閉じ、しばらくその態勢のまま靜止していたが、やがて再びモモに向き直る。

「……わかった、れる」

「そうそう、最初から素直に……」

「神力測定の直前、あ(・)い(・)つ(・)と約束したんだ。何だかとても嫌な予がするって。もし自分が自分じゃなくなったら、俺に何としても止めてしいって」

そう言うとロックは、悲痛な表で剣をモモに向けた。

「ロック……? 何を言って」

「あ(・)ん(・)た(・)は知らないんだろうな。俺がモモとわした約束だ。今まではずっと信じたくなくて、目を逸らし続けてきたが……やっと覚悟が決まったよ」

モモが信じられないものを見るように、首を振る。黒髪が生きのようにうねり、持ち主を守る。

「魔……お前はこの俺が、斬る!!」

「ちょっと待ったああぁぁ――!!」

ロックが攻撃を仕掛けようとした瞬間、制止の聲がかかった。鍾の中を、真っ白いが走り抜ける。それによってモモの髪や魔獣に捕まっていた騎士たちは解放され、命からがら抜け出して避難した。

(あれはダークの合技、魔法の矢(マジックアロー)!? だが使われたのは神聖魔法、それに今の聲は……まさか)

レッドリオにとってその聲を直接聞くのはひと月ぶりだったが、それほど久々だと言う覚はなかった。何故なら、毎週のように耳にしていたからだ。

ドカン! とり口が破壊されると共に、魔法の矢が作り上げた道を通って乗り込んできたのは、一臺の馬車。真っ白な翼を生やした白馬の引くその馬車の中から降り立ったのは、やはりクロエだった。

※ツギクルブックス様より書籍版が10月10日に発売となります。

※書籍報は活報告にて隨時更新していきます。

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