《【書籍化&コミカライズ】追放悪役令嬢、只今監視中!【WEB版】》271:の時間

コンコンと何度かノックをしたが、返事はない。ロックがこの部屋へったのは間違いないとシンが言うので、試しにノブを回してみたところ、鍵はかかっていなかった。

ガチャリ、とドアを開けて中にった私は、目に飛び込んできた景に息を飲む。

眠り続けるモモのベッドの傍らで、ロックは壁に寄りかかって目を閉じていた。腕を組んだままピクリともかないのは、彼も同じく眠っているからだろう。窓から差し込む優しいが二人を守っているようで……割り込めない雰囲気を醸し出していた。

クゥーン……

足元の鳴き聲にハッとして見遣れば、メランポスが纏わりついていた。いつもは犬小屋なんだけど、大人數で宿屋に押しかけて気が立ってるから、ロックが連れ歩いてるって將さんが言っていたわね。

テーブルの上にクッキーを置こうとするとついてきて、フンフン匂いを嗅いでいる。

「ダーメ、これはロックに持ってきたんだから。でも、貴方も最終決戦で頑張ったんだし、ご褒あげなきゃね」

抱き上げてコショコショでてやると、嬉しそうに頬を舐めてきてくすぐったい。

しばらく構ってからメランポスを床に下ろし、そっとロックに近付く。その瞳は固く閉じられていて、こんな無防備なロックは初めて見たかも……と嘆の息をらした。

ふと、何とはなしに視線が口元に吸い寄せられる。相変わらず、手れのされていない荒れたにドキッとする。あの時はとにかく助けたくて無我夢中だったけど私、ロックにキ、キスしちゃったのよね! リアルなを思い出してがカーッと熱くなり、思わず自分のに手をやる。

芹菜には人がいたし、私はその記憶を引き継いではいるけど『クロエ』としての経験はあれが初めてだ。ただ人命救助をカウントしてもいいのかは分からない。意識のないロックから奪う形になってしまったし……いや、ロックは男なんだからその辺は気にしないかもしれないけど! ……それはそれで複雑。

二人がよく眠っているのを確認し、ゆっくりとロックに顔を近付ける。そしてもうしでれそうになり――

「う……」

瞼がピクッといた瞬間、私はの速さで距離を取った。そろりと目を開けたロックは大欠をした後、パチパチ瞬きをしていたが、隣に私がいる事にぎょっとしていた。もちろん何事もなかったように微笑んでましたとも。

「おはよう、ロック」

「クロエ……? 何してんだお前」

「クッキー焼いてきたから、お裾分けに。貴方が転寢なんて珍しいわね……しかも立ったままで」

誤魔化すために話題を逸らすと、ロックは寢惚け眼のままポリポリ頭を掻いた。

「まあな。ダンジョンでもいつ敵が襲ってくるか分かんねーし……さっきも邪念みたいなもんじたんだけど、気のせいか?」

「ほ、ほほほほ。さぁね……?」

邪念って何よ、邪念って! そりゃあ何しようとしてたかなんて……言えませんけど!

※ツギクルブックス様より書籍版・電子版、モンスターコミックスf様より漫畫版が発売。

※「がうがうモンスター」「マンガがうがう」にてコミカライズが連載中。

※書籍報は活報告にて隨時更新していきます。

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