《【書籍化&コミカライズ】追放悪役令嬢、只今監視中!【WEB版】》278:譲れない一線

どうやら殿下がしてきた経緯は、シンが持っているブローチからメランポスが私にじゃれているところを聞き取って何らかの勘違いをしていたかららしい。でも魔獣である事はどうしようもないし、ここは下手に出て押し切る作戦で行こう。

そう、前世を思い出した時から決めていた、土下座である……って本當にする訳じゃないけど。

「なるほど……録音中の會話にわざわざ聞き耳を立てていたのは、わたくしの魔化を懸念しての事だったのですね。未だ疑念が払拭できていないのは悲しいですが、これもわたくし自の愚かさが招いた事……甘んじておけ致しますわ」

「ち、違う、誤解だ!」

神妙に頭を下げてみせると、慌てて弁解する殿下。別に本気で疑われていると思ってはいない。し論點をずらして否定させる事で、これ以上責められないようにするためだ。こういう小賢しいところ、昔からなのでよく分かっているはずなのに、殿下も相當テンパっているのだろう。

「クロエ、謝りたいのは俺の方だ……俺が間違っていた。一方的にモモの証言を鵜呑みにし、婚約者であるお前の言い分も聞かずに斷罪して王都を追放した」

今度は殿下から謝罪され、私が慌ててしまう。レッドリオ殿下が、私に……? 話し合って今までの行いを許してもらえればとは思っていたけど、モモが魔化した事はそんなにも彼の心にこたえたのだろうか。

だけど、殿下は思い違いをされている。あの時の私は――

「クロエは何も悪くな――」

「は??」

だがメランポスの事とかつての所業を許してもらわなければならないというのに、殿下が言いかけた言葉に地雷を踏み抜かれ、私は無意識に低い聲で返してしまった。

殿下は私の心の葛藤など、何も知らない。

ただ、そんな甘い判斷で私を付け上がらせるのはダメだ。全てをモモのせいにして自分は悪くなかった、なんて今までと何も変わらない。

「いけません殿下、王子たる者が軽々しく謝罪を口にしては。それに、あの斷罪は妥當でした。わたくしは聖教會の定めた『真の聖』を迫害した……そこに噓はありません」

「し、しかし……モモは我々を騙していたのだぞ。純真無垢なふりをして、利用するために……」

「どう言う目的であれ、めていいと言う理由にはなりません。いじめ、ダメ絶対!! いくら婚約者だからと言って、ここをはき違えてしまっては示しがつきませんわ。殿下がなさるべきは、わたくしがきちんと反省したのかを見屆ける事……違いますか!?」

私はクロエであって前世とは違うとは言え、やはり芹菜の価値観の影響はけている。いくら殿下がなかった事にしようとしてくれなくても、そこは譲れない一線だった。

※ツギクルブックス様より書籍版・電子版、モンスターコミックスf様より漫畫版が発売。

※「がうがうモンスター」「マンガがうがう」にてコミカライズが連載中。

※書籍報は活報告にて隨時更新していきます。

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