《【書籍化&コミカライズ】追放悪役令嬢、只今監視中!【WEB版】》284:とっくに知ってる

「そんっな事だろうと思った!」

意識が戻った時にいた二人部屋のベッドに腰かけ、私は敢えて聲に出した。モモの寢る場所について將さんに相談したところ、殿下をジロリと睨んだ後でここにしろと言われたのだ。と言うか、貸し切りである以上は別にどこでもいいらしい。

先ほど彼が言っていたロックと寢た云々は、本人の弁解によればい時の話らしい。それなら既に聞いているし、何なら魔化したモモへ鎌をかける時も言っていた。二人は兄妹のように育てられたのだと。

子供の頃だからなのか、モモへの想いに區切りがついたからなのか、殿下たちは特に反応を示さなかった。あからさまにホッとしたのは私だけか……

「風呂(へぇ)ってきたぞー。今日はよろしくな!」

頭からタオルを被り、將さんのネグリジェを借りたモモが足でってくる。殿方が大勢いる場所でこの子は……

「おっ、クロエ様いいもん著てんなぁ。オラもそれしいぞ」

「學園指定の著だから、貴も寮に置いてあるはずよ」

私の格好をモモが羨ましそうに見てくるが、確かにこの著は丈夫で使い勝手がいいので、學園の平民出者は卒業後も活用していると聞く。言わばジャージみたいなものだ。

「髪が濡れたままだと風邪ひくわよ。こっち來なさい、拭いてあげるから」

「へへっ、クロエ様ってロックみてぇな事言うよなぁ」

へらへら笑いながら隣にぼすんと腰を下ろしたモモの髪を、私は黙って一房取る。お節介で母親よりも早く口が出てしまうというロック。彼の視點では危なっかしくて目が離せないモモだが、彼からすれば過保護なのだろう。

「ロックの事、嫌い?」

「いや? 口うるせぇけど、ああ見えてすげぇいい奴だぞ。クロエ様だってあいつの事知ったら好きになるって」

とっくに、知ってるわよ……

櫛を通しながら、私は言葉を飲み込む。モモ、貴もロックの事が……確かめたいのに、決定的な一言を聞いてしまうのが恐ろしい。だって固い絆で結ばれた二人に割り込むなんて、絶対無理だもの。

「モモ様、私は……」

「平民なんだから呼び捨てでいいって。『様』なんて付けられたら、くって仕方ねぇ」

「そうね、チャコとも呼び捨てにしてるし……私も『クロエ』でいいわ。モモ、貴とは一度じっくり話をしてみたかったの」

水気を拭き取った髪を三つ編みにしながら答えると、モモは向こうを向いたままコクリと頷く。

「吹っ飛ばされた三年間より前になっちまうけど、そんでもいいなら」

「構わないわ。私が教えてほしいのは……貴が認識している『モモ=パレット』よ」

本當に知りたい事には蓋をして、私は質問を投げかけた。

※ツギクルブックス様より書籍版・電子版、モンスターコミックスf様より漫畫版が発売。

※「がうがうモンスター」「マンガがうがう」にてコミカライズが連載中。

※書籍報は活報告にて隨時更新していきます。

    人が読んでいる<【書籍化&コミカライズ】追放悪役令嬢、只今監視中!【WEB版】>
      クローズメッセージ
      あなたも好きかも
      以下のインストール済みアプリから「楽しむ小説」にアクセスできます
      サインアップのための5800コイン、毎日580コイン。
      最もホットな小説を時間内に更新してください! プッシュして読むために購読してください! 大規模な図書館からの正確な推薦!
      2 次にタップします【ホーム画面に追加】
      1クリックしてください