《【書籍化&コミカライズ】追放悪役令嬢、只今監視中!【WEB版】》285:モモの生い立ち①

モモの母親は、貴族の屋敷で働いていたメイドだったらしい。そこで手を出された挙句に籠ってしまった母を、貴族は追い出したのだという。何となくクララを彷彿とさせるが、アフターケアがない分さらに酷い。ダークお兄様がモモに仲間意識を持つのも當然だろう。

「その貴族というのは、マッド伯爵かしら?」

「さー? 興味ねぇから聞かなかったな。誰が父ちゃんだろうと、オラの家族は村のみんなだし」

実際、モモが聖に覚醒しても名乗りを上げなかった時點で娘だと気付いてない可能が高い。どうもモモは胎児の時から魔力が全くじられず、誰もが死産になると思われていたようだ。

「そんでも母ちゃんは、オラをこの世に迎(むけ)えれてやろうって頑張ってくれたんだろうな。パレット村は、子供を産めないに効く薬草の産地だから……

オラが生まれたのは、母ちゃんが村に著いてから毎日縋ってた神様の像の前だった。予想通り息してなかったんだけど、そん時流れ星が教會に落ちて――」

(えっ!?)

モモが語り出した生まれた時の様子に、私は驚いて顔を上げる。マッド伯爵領の方角に、赤みがかった彗星――あれは、レッドリオ殿下が生まれてちょうど一年目に記録された……

「モモの誕生日って、レッドリオ殿下と同じだったの!? 道理で、學園にってからは個人的なお祝いは斷られていたはずよ」

ゲームでは『モモ』がデフォルト名であるように、誕生日も変更可能だ。普通は自分と同じにするところだから気付かなかったけれど、もしかして好きなキャラと同日を選べたりしたの? ともあれこの世界においては、レッドリオ殿下とお揃いだった事もあり、さぞ親近が湧いただろうなと想像できる。

「ああ、新聞で知った時はたまげたな。とにかく流れ星が落ちた衝撃で息を吹き返(けぇ)したとかで、オラは生き返ったんだ。今でもよく言われっぞ、『お前(めぇ)は聖様に生かされてる』って」

モモはチェリーのし子なので、ある意味間違ってはいない。ただ魔力がなく、ほぼ死んだ狀態からの蘇りは、前世の魂による影響だろう。空っぽのが、用意された魂によってき出す……何ともゲームの主人公らしい。とは言え、この時點ではまだ記憶も戻らず、モモは十四年間すくすくと村にされて長した。

一方ロックは、孤児院がいっぱいで町の教會に捨てられていたところを村の神に引き取られたのだとか。モモが目覚めた時に、村長と神に育てられた話をしていたのを思い出す。村の外と接する機會の多い彼らのおかげで訛っていないんだったわね。

それでもロックにとっての家族は、モモたちだったのだろう。

「あいつとは歳も近くて、母ちゃんが気にかけてたからなー。お堅(かて)ぇ村長と神様の影響でクソ真面目だったけど、オラが師匠として悪戯を々教え込んでやったから、面白(おもしれ)ぇ男になっただろ?」

モモが悪戯の師匠!?

散々振り回されたって言ってましたけど? 面白い男と言うか、苦労人ってじよね……

※ツギクルブックス様より書籍版・電子版、モンスターコミックスf様より漫畫版が発売。

※「がうがうモンスター」「マンガがうがう」にてコミカライズが連載中。

※書籍報は活報告にて隨時更新していきます。

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