《【書籍化&コミカライズ】追放悪役令嬢、只今監視中!【WEB版】》287:二人の関係

それからモモは、興味深くもコメントし辛い思い出の數々を聞かせてくれた。ほぼロックが語っていた容と被っていたけれど。

そうそう、木から落ちた時のエピソードもバッチリ覚えていたわ。自分のせいで切り倒された木には悪い事したって、申し訳なさそうに言うあたりが、前世の彼とは明確に違う點だ。

「貴たちの村って楽しそうね。羨ましいわ」

「ん? なら來るか? なんもねぇとこだけど歓迎すっぞ」

「いつか、行けたらね」

なくとも、今すぐには無理だ。モモを……『真の聖』を迫害した罪を償わない限りは。

そんな事を考えていると、グスッとモモが鼻を啜った。

「あー……村の事話してたら、母ちゃんに會いたくなっちまった。ちょっと前(めぇ)に教會行くオラを見送ってくれたと思ってたのによ、ほんとは三年も経っちまってるんだもんな。へへ……元気してっかなぁ」

「モモ……」

「グス……會いてぇよぉ」

ヒックヒックと嗚咽をらしながら、泣き笑いするモモ。何でもないように振る舞っていたけれど、自分のが乗っ取られて好き放題されていた事、その間は何も覚えていない事に関して、不安にならない訳がない。

著もだけど、お母様からの手紙も寮の部屋に置いてあるはずよ。王都に伝書鳥を飛ばして、持ってきてもらいましょうか」

モモは途中から読まなくなったと言っていたが、まさかそのまま捨てるほど外道ではなかったと信じたい。と言うか再會した時にツッコまれると面倒な事になるしね。

「! できんのか!?」

「お父様が伝令用のカラスを置いていってくれたの。それを使えば可能よ」

公爵家の伝書ガラスであれば、速達よりも早く手紙を王都に屆けてくれるだろう。さっそく明日飛ばす事を告げると、モモは目をぐしぐしってホッと笑顔を見せた。

「ほんと悪(わり)ぃな。オラのせいで手ぇかけちまってよ」

「貴のせいじゃないって、みんなそう言ってるでしょう? それに私、貴の事は嫌いじゃないのよね」

「そーか? へへへ、オラもクロエみてぇないいやつと友達になれて嬉しいぞ!」

友達……ピクリと、その言葉に反応した次の瞬間には、モモは鼾をかいていた。早っ! そしてヒロインが鼾かくんじゃないわよ。うーん、やっぱり乙ゲームのヒロインと言うより年漫畫の主人公だわ。

(まだ友達になると了承はしてないのだけど……)

すやすやと眠りこけるモモから視線を逸らし、私は天井を見上げる。

友達……屈託なく私にそう言ったモモだけれど。本當のところは私はモモをいじめていた悪役令嬢であり、のライバルなのだ。ここにゲームが絡めば、プレイヤーとその分という関係も加わるが。

(私は、いいやつなんかじゃないのよ、モモ……貴の前世と同じく自分の事しか考えてない、利己的ななの)

心の中だけでそう呟くと、私もぎゅっと目を閉じて闇に落ちていった。

※ツギクルブックス様より書籍版・電子版、モンスターコミックスf様より漫畫版が発売。

※「がうがうモンスター」「マンガがうがう」にてコミカライズが連載中。

※書籍報は活報告にて隨時更新していきます。

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