《【書籍化&コミカライズ】追放悪役令嬢、只今監視中!【WEB版】》291:セレナイト兄妹の行く末

「もし……レッドリオ殿下と再婚約なんて事になれば、お前はれるのか?」

「陛下のご命令であればそうなりますが……難しいと思います」

何と言っても一度は破棄されている事と『真の聖』を迫害したのが大きい。それに私はゲームで、殿下の本音を聞いているのだ。これも斷罪前なので、実際とはそれほど差はないはず。

「恐らくどこかの貴族の後妻という線が強いのでは。それならいっそ……」

「あいつについていく、か?」

窓の外を眺めるお兄様の呟きに、肩がピクリと揺れた。ロックは、どこにも行くところがなければ一緒に連れて行ってくれると約束してくれたけれど。

「それは……」

「言っておくが、僕だって周囲に迷をかけたからな。廃嫡になるかもしれない」

他人事のように言うお兄様にぎょっとする。ほぼ隠しルートと同じ道筋で、廃嫡!? まるでダークルートのバッドエンドじゃない!

「そんな……シィラ様はどうなるのです」

「お前が言った事だろう? 決めるのは王家だと……我々はただ、沙汰を待つ他ない」

コトリと、便箋の上にペンが落ちた。

私――今のクロエ=セレナイトは、誰の破滅もんではいない。

確かに、學園の卒業式では生徒たちの前で斷罪され、全てを失って追放された。だけどそれは、これまでの私が王子の婚約者としてあまりに淺慮な振る舞いを続けてきた事への報いであって、れるべきものだ。

まあ殿下たちも私っていなかったとは言えず、やり過ぎた面はあるだろう。だからと言って今度は彼らが破滅?

(記憶が戻る前であれば、ざまぁみなさいとばかりに溜飲を下げていたところでしょうけれど……)

今の私には、プレイヤーとして彼らの心が抱える痛みにれてきた記憶がある。私の分『モモ=パレット』は、いつだって本心から彼らを助けたいと全力でぶつかってきた。傲慢な考えかもしれない……いや、『クロエ』は元々傲慢なのだ。ついでに強で嫉妬深くて面食いで……とにかくとても褒められたものじゃない。

そんな私が殿下やお兄様たちを救いたいなど、烏滸がましいにも程がある。それでも――

「そうね、処遇については私なりに考えて、王太子殿下にお伝えしておきます……ところで、お兄様はどうなされます?」

「私は……まだ心の整理がつかないんだ。考え出すと頭がぐちゃぐちゃで……気を抜けばすぐに逃げ出したくなる自分がいる」

だいぶ思い詰めているみたい。元々生真面目で融通が利かない分、一人で抱え込んで思考が暴走しやすいのよね。私が王都からいなくなった間に起きた、婚約解消を巡る騒もそうなのだろう。

関係のやり直しのためにも何とかしたいけど……今の私はまだ、自分の事で一杯だ。ここはシィラさ……シィラお義姉様に任せるしかないわね。

※ツギクルブックス様より書籍版・電子版、モンスターコミックスf様より漫畫版が発売。

※「がうがうモンスター」「マンガがうがう」にてコミカライズが連載中。

※書籍報は活報告にて隨時更新していきます。

    人が読んでいる<【書籍化&コミカライズ】追放悪役令嬢、只今監視中!【WEB版】>
      クローズメッセージ
      あなたも好きかも
      以下のインストール済みアプリから「楽しむ小説」にアクセスできます
      サインアップのための5800コイン、毎日580コイン。
      最もホットな小説を時間内に更新してください! プッシュして読むために購読してください! 大規模な図書館からの正確な推薦!
      2 次にタップします【ホーム画面に追加】
      1クリックしてください