《【書籍化&コミカライズ】追放悪役令嬢、只今監視中!【WEB版】》296:明かされた真実

する私とは対照的にイエラオ殿下は氷のように冷靜だった。

「だから? 前世がどうのこうのって言い訳にもならないなんて、貴が一番よく知っているはずだよ。それに、聖教會が黙っちゃいない。自分たちが認定した『真の聖』が魔に墮ちるなんて醜聞、このまま見過ごすと思う? 真っ先に潰しにかかってくるよ」

彼の指摘に、私はを噛んで俯く。

今のモモは、被害者だ。初代聖の、聖教會の、前世のプレイヤーの都合に一方的に振り回されただけの。彼は魔になるような娘なんかじゃない。

的には……どうやって潰すんです」

「そうだねー、やっぱり魔を封印した貴を『最初から真の聖はこっちでした』ってじに仕立て上げるんじゃないかな? と言うか、もうその話は來てるよ。クロエ嬢が神にしか使えないはずの神聖魔法を使用したって、その場にいた神を通じて広まってるから」

「『真の聖』はモモです! それは、初代聖もそう言っていたので間違いありません。わたくしはただ、本來のモモを復活させるための呼び水になっただけ……その証拠に、今はあの時の力は使えませんもの」

神魔法は、あくまでモモを元に戻すためだけに、一時的にチェリーから借りけたもの。その反は凄まじく、普通の神聖魔法でさえ取り戻すのに時間がかかっている。

名実共に仮初にしかなれない私に、今後『真の聖』を名乗る事などできない。聖教會が求めるのは、いざという時のために神魔法が使える、新たな権威だろうから。

「そうは言ってもねぇ、初代聖の聲を聞いたってだけでも、クロエ嬢は充分神輿(せいじょ)に相応しいと思うけどな」

イエラオ殿下の皮に嫌な響きをじるが、力の象徴は常に崇められる一方で恐れられる危険も孕んでいる。彼の婚約者が転生者である事で、ある程度け取ってくれる事を祈りつつ、私は白狀した。

「いいえ、わたくしに聖になる資格はありません。

何故ならわたくしは……古(いにしえ)の魔ヨルダ=ムーンだからです」

沈黙が、その場を支配する。

イエラオ殿下は、何と言えばいいのか迷っているようだった。

「クロエ嬢、それは……僕の聞き違いかな? ムーン家の子孫という意味ではなく?」

いきなり出てきたヨルダの姓に、今度は私が首を傾げる。

私が、ヨルダの子孫……?

そんな報、ゲームはもちろんセレナイト公爵家の歴史としても聞いた事がない。チェリーもそんな事は……あ、そう言えば。

「ああ、そう言えば母の実家『ムーンライト』侯爵家と名前が似ていますね。なるほど……」

母方か。言われてみれば、ムーンライト侯爵家はセレナイト公爵家と同じく黒髪で、私もお母様の若い頃によく似ていると言われていた。(父方の叔母様にもそっくりではあるが、伝とはそんなものだ)

きっとヨルダも、私を思わせる容姿だったのだろう。

「ですが、聞き違いではありません。わたくしはヨルダ本人の生まれ変わりです」

※ツギクルブックス様より書籍版・電子版、モンスターコミックスf様より漫畫版が発売。

※「がうがうモンスター」「マンガがうがう」にてコミカライズが連載中。

※書籍報は活報告にて隨時更新していきます。

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