《【書籍化&コミカライズ】追放悪役令嬢、只今監視中!【WEB版】》298:助ける理由

「それでカナリアやモモにも前世の記憶があったんだね。……勝手な事をって、恨んでる?」

イエラオ殿下からは、他人事ではなく自分も當事者の王家の者としての責任がじられた。彼、まだ學園の一年なのに老し過ぎじゃない?

「勝手なのはまあ、その通りなんですが、恨むとすればチェリーよりも聖教會と王家でしょう。それもヨルダの話であって、今のわたくしはクロエ=セレナイトですし」

ここでお茶を一口飲むと、私はカップをソーサーに置き、改めて殿下と向き合った。

「話を戻しますが、わたくしがヨルダ=ムーンだと明かせば……」

「うん、ほぼ間違いなく頭のおかしい扱いされた上、幽閉だろうね。そもそも何故聖教會に前世の概念がないのか――初代聖に転生させる力があるのにだよ? そう考えると、ヨルダの生まれ変わりを名乗る勢力が現れる事を、聖教會は一番に恐れてる。そんな中、わざわざバラしにいくのは危険過ぎる。せっかく國民も貴の贖罪をれてくれたとこなのに」

「う――ん…」

頭をぐしゃぐしゃに掻き回し、テーブルに突っ伏す。モモの暴走に正真正銘の『魔の封印』という大義名分がつけば何とかなると思っていたんだけれど、甘かったか。

そもそも世の中をかしている人たちにとって、真実はあまり重要ではないのよね。どのタイミングで利用できるかってだけで。

「どうしてそこまでしてモモ嬢を救いたいのかな……転生者同士のよしみ? それとも『ゲーム』ヒロインとしての著? 貴が彼を見捨てたとしても、誰も責めたりしないよ」

転生者の方のモモなんて大嫌いだし、今となってはゲームヒロインともしずれてきている。はぐらかそうとも思ったが、この方の前ではそれも通じない気がした。仕方なく、明かす事にする。

「それもありますけど……モモに何かあれば、必ずロックが助けますよね。そうなれば、二人で行方を晦ましてしまうでしょう?」

目を逸らしながらぼそりと言うと、きょとんとしていたイエラオ殿下はおかしそうに噴き出した。

「あっははははは、それは嫌かもねぇ! なるほど、自分が助けた方がマシって事か」

「むっ……悪いですか?」

「貴がそうしたいならいいんじゃない? ぷぷ……兄上も立つ瀬ないね」

なんでそこでレッドリオ殿下が? いや、そんな事より笑い過ぎじゃない? 私にとっては何より見過ごせない事なのよ!

頬を膨らませていると、やがてイエラオ殿下は笑いを収めた。

「何はともあれ、魔を封印し、國を危機から守ってくれた事には謝するよ。王太子として、貴みは可能な限り葉えてあげたい」

可能な限りと大きく出た殿下に、驚いて目を見開く。ここまで言うからには、私が王家の滅亡などの類をまないと信頼してくれているのだろうけれど、それは婚約者が同じ転生者だから? ――いや、彼はモモには容赦なかった。

なくとも、貴は僕の敵ではないと分かったからね」

「……まだそうと決めるには早いかもしれませんよ」

殿下から見ての私はそうでも、私の方はまだ殿下が信頼に足るのか判斷はつかない。みを葉えてくれるのであれば、尚更確認しておきたい事があるのだ。

「イエラオ殿下、貴方の目的は何ですか? それは王太子の座に就かなければできない事なのですか? わたくしには、貴方がモモ嬢を敢えて泳がせて、魔化を促していたように思えるのです」

※ツギクルブックス様より書籍版・電子版、モンスターコミックスf様より漫畫版が発売。

※「がうがうモンスター」「マンガがうがう」にてコミカライズが連載中。

※書籍報は活報告にて隨時更新していきます。

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