《【書籍化コミカライズ】死に戻り令嬢の仮初め結婚~二度目の人生は生真面目將軍と星獣もふもふ~》4-2
「セレスト様……! セレスト様……」
アンナの聲がセレストを現実に引き戻す。
ぼんやりと目を開くとセレストが眠っていた場所はサンルームだったとわかる。リラックスできるようにと置いた一人掛けのソファに座って本を読んでいて、うたた寢をしてしまったのだ。
「……うぅ、ん」
もうすぐ晝食の時間だ。午前中から晝寢をするというのはかなり恥ずかしい。
「うなされていましたよ。変な姿勢で寢てはいけません」
「はい……」
なんだかが締めつけられるような覚だった。
一度目の世界の記憶を辿る夢を見たせいだ。
「お食事の前ですが、なにかお飲みを用意してきますね」
セレストは今の自分の姿に違和を覚える。小さくなった手を広げて何度もかして、どちらが夢でどちらが現実かを確認しないと気持ちが不安定になってしまう。
そして夢の容を振り返る。
正確には夢ではなく、一度目の世界でドウェインと実際に話した容だった。
「どうして……私はスノー尉に會ったことがなかったの?」
Advertisement
今更になってその不自然さに気がついた。
夢に出てきた馴染みというのは、ヴェネッサのことではないのだろうか。「十に満たない頃から機を並べて共に學んだ仲」――フィルもそう言っていたではないか。
一度目の世界でもセレストはドウェインと親しくしていた。そうだというのに、婚約者がいるという話は聞いたことがなかったし、間違いなく獨だった。そして副は男だった。
「ミモザが言いたかったのは……このこと……? どうしよう!」
ミモザが一度目の世界の記憶を多なりとも持っているのだとしたら、ドウェインの特別な人を守ろうとしていたのではないだろうか。
ドウェインとセレストが一度目の世界で最初に顔を合わせたのは、セレストがスピカの主人に選ばれた直後――十一歳の夏だ。セレストの予想が正しければ、それまでに行う訓練のための遠征のどこかで、魔獣が出現しヴェネッサが死んでしまう。
事件が発生するのがいつかは定かではない。今回の遠征かもしれないし、別の遠征かもしれない。
仮に今回の遠征だとしたら――? その可能を考えると、のあたりから嫌なものが込み上げてきて、ドッと冷や汗が出た。
ドウェインたちは今朝出立していて、すでに目的地に著いているはず。セレストはすぐにでもフィルに相談するべきだと思った。けれど、肝心のフィルは軍の司令部で職務に勵んでいるからここにはいない。
(伝令の鳥を使うのは軍の許可がいるし、私は魔獣が現れるという拠を示せない……だったら直接フィル様に會いに行くしかないじゃない)
レグルスは馬よりもずっと速く大地を駆ける。星獣の力を借りられるのならば、セレストが一人でくよりもいいはず。
まずは冷靜になり、フィルに相談してから行すべきだった。
「モーリスさん!」
セレストはサンルームから庭に出て、木の剪定をしていたモーリスのところまで走った。
「どうなさいましたか?」
「どうしてもフィル様のところへ行かないとだめなんです。……私は一人で馬に乗れないから、一緒に來てください」
「かしこまりました」
モーリスは深くはたずねず、すぐに馬を用意してくれる。
そのまま二人乗りで軍の司令部へ急いだのだが――。
「……フィル様がいらっしゃらない?」
「はい。詳しくはお教えできませんが、ただいま將軍閣下は司令部からは離れております」
軍司令部のり口で、応対してくれた事務からそう言われてしまった。
城まで行っていたり、近場への視察へ行っていたり、なにか事件が起きてその対応をしていたりというような理由で、不在なのだろう。
かつて軍人と行を共にする機會があったセレストだから、軍の高であるフィルの行予定については家族であってもすべてを教えられないというのはわかるつもりだった。
「困ったわ……」
「こちらでご用件をお伺いし、閣下にお伝えするという方法はいかがでしょうか?」
事務は子供のセレストに優しかった。
できる限りの提案をしてくれているのだとわかる。
「お手紙を渡していただくことは可能ですか?」
「もちろんです」
「では、お願いいたします」
セレストは事務から便せんと封筒をもらい、フィル宛に手紙を書く。
絶対に誰にも見られないという保証はないため、読まれても問題ない文面にする必要がある。
(どうでもいい容で軍の方にいてもらったら、私とフィル様の印象が悪くなってしまうわ……)
子供のわがままでフィルの部下を煩わせたなどと思われてはならない。セレストは結局、北のフォルシー山近くで暮らしている親戚が危篤だから、すぐに向かうことにしたという噓を綴った。
もう、いつ連絡が取れるかわからないフィルを待つことはできない。セレストは計畫を変更し、このまま北へ向かうつもりだ。
だからせめて行き先だけでもフィルに伝えようとした。彼ならば、きっとセレストの行には理由があると察してくれるはずだ。
手紙を書き終えると、封をして事務に渡す。そのままモーリスを伴い軍の司令部をあとにした。
再びモーリスの馬に乗せてもらう。
けれど、伯爵邸に帰るつもりはなかった。
「……モーリスさん、このままフォルシー山を目指してください。どうしてもドウェイン様にお知らせしたいことがあるんです」
「さすがに危のうございます。旦那様の許可がないと承知できません」
モーリスは馬の腹を軽く蹴って出発の合図を出す。向かうのはエインズワース伯爵邸の方向だ。セレストの願いを葉えるつもりはないらしい。
「フィル様には、行き先を伝える手紙を書きました。……どちらにいらっしゃるか、いつ手紙を読んでくださるかわからないのに待つことはできません。……お願いします。絶対に今、かなければならないの!」
手紙を読んでくれさえすれば、フィルならば必ずセレストを追いかけてきてくれる。
セレストがこの場にとどまってもフィルが早く來てくれるわけではない。それどころか、非力なセレストが一緒では、フィルとレグルスは全力で地を駆けることが難しくなる。
今、セレストにできるのはとにかくフォルシー山を目指すことだ。セレストが先に著くのか、フィルが追いついてくれるのか、わからなくてもそれが最善だった。
外れスキル『即死』が死ねば死ぬほど強くなる超SSS級スキルで、実は最強だった件。
【一話1000字程度でスマホの方にもおススメです!】 主人公は魔導學校を卒業し、スキル【即死《デストラクション》】を手に入れる。 しかしそのスキルは、発動すれば自分が即死してしまうという超外れスキルだった。 身一つで放り出され、世界を恨む主人公。 だが、とある少女との出會いをきっかけに、主人公は【即死】の隠された能力に気付く。 「全て、この世界が悪いのよ。この世界の生きとし生けるもの全てが」 「……ふうん。で、仮にそうだとして、君はどうするんだ」 「私の望みは一つだけ。ねえ、私と一緒にこの世界を滅ぼさない?」 「すっげー魅力的な提案だね、それ」 最強の力を手に入れた主人公は、少女と共に自分を見捨てた世界に復讐を果たすことを決意する。 隠れ最強主人公の、復讐無雙冒険譚。 ※カクヨムにも改稿版の投稿始めました! ご一読ください! https://kakuyomu.jp/works/1177354054893454407/episodes/1177354054893454565
8 180傭兵少女と壊れた世界
人の文明はゆるやかに衰退した。 夜風に混じって結晶が飛ぶようになった世界。街が消え、國が飲み込まれ、生き殘った人々は失われた技術にしがみつき、わずかな資源をめぐって爭い合う。 そんな世界を巡回する移動都市で少女は暮らす。銃の腕を磨きながら、身よりのない子供たちとギリギリの生活を送る。大きな不満はないが充足感もない。しいて言うならば用意される飯が不味いこと。 少女は大人になりたいと願った。過酷な世界で少しでも自分らしく生きるために、ひたすら銃を練習した。必要なのは力と知識。生き殘りたければ強くなれ。いつか大人になった時、街を出て、自由に生きる傭兵を目指すのだ。 しかし、街を守るはずの大人に裏切られた少女は船から落とされてしまう。さぁこれからどうしよう。唐突に放り出された外の世界。されど少女はしたたかであった。たとえ亡者のような人間に追われても、巨大なミミズに捕まっても、大國の兵士に襲われても……。 世の中はくそったれだ、と愚癡をこぼしながら傭兵少女は銃を握る。 ○ 物語の進行にあわせつつ、週二話を目安に更新します。基本的に週末です。更新が遅れたら叱ってください。
8 111【書籍化】わしジジイ、齢六十を超えてから自らの天賦の才に気付く【8/26から電撃マオウでコミカライズスタート!】
スキルと呼ばれる特殊能力が発現する世界で、老人であるディルはある日突然力を得た。ただ殘念なことに、それは老體では扱いに困るような戦闘に特化した能力だった。「わし、もういい年なんじゃけどなぁ……」 齢六十を超えた老人による遅すぎるセカンドライフが今、始まる。 ※書籍化&コミカライズ決定しました! 書籍の発売日は5/2、レーベルはドラゴンノベルス様、イラストレーターは吉武さんです!
8 161ヘヴンリィ・ザン・ヘヴン ~異世界転生&成長チート&美少女ハーレムで世界最強の聖剣使いに成り上がる物語~
ノベルバオンリーで100萬PV、なろうを加えれば500萬PV突破!!!!! 超王道ファンタジー×なろう系転生チーレム=全ての宇宙を救う英雄譚!? 主人公のロイは前世の記憶と神様の女の子から受け取ったチートを持つ転生者だった。しかし、それだけでは飽き足らず、伝説の聖剣に選ばれたことによって、彼の異世界生活は一変する! 甘々のイチャイチャ、ラブラブ一直線な戀人もできるし。少しだけツンツンしているエルフの美少女とも親密になるし。ブラコン姉妹もお兄ちゃん、そして弟くんにデレデレだし。そして自分の身の回りのお世話もしてくれるメイドも出てくるし。最終的にはお姫様とイヌ耳っ娘とネコ耳っ娘まで!? しかも、全員とソウイウコトもするの!? でも愛し合っているなら當然だよね! そして読書とネットサーフィンで得た現代知識も使って、世界でトップクラスの有名人、今最も將來が有望な若者、王國中の女の子が憧れるメンズアイドル的な存在になってしまうが、しかし、それでもおごることなく世界最強を目指し、ロイは自分のことを大切に想ってくれているヒロインとの異世界生活を邪魔する敵対者を片っ端からぶった斬る! 學院內から、貴族の領地、魔族領に近い地方都市、そして戦爭の最前線。ロイは圧倒的な成長速度によって、いろいろなところで戦い、輝かしい栄光を手にし、王國の歴史にその名を何度も強く刻み込む! いずれ世界最強に至る少年、これは彼の成長をつづった物語。 ~~~~~~~~~~~~~~~ 作者のTwitter『 @sakura_uta_0702 』 『オレのラブコメヒロインは、パンツがはけない。』『オタサーの姫と戀ができるわけがない。』『陰キャラな俺とイチャつきたいってマジかよ……』はファンタジア文庫より全巻発売中!!!!! ※ この作品は『ノベルバ』の他に『小説家になろう』にて並行連載しております。
8 166異世界で、英雄譚をはじめましょう。
――これは、異世界で語られることとなるもっとも新しい英雄譚だ。 ひょんなことから異世界にトリップした主人公は、ラドーム學院でメアリーとルーシー、二人の少年少女に出會う。メタモルフォーズとの戦闘を契機に、自らに課せられた「勇者」たる使命を知ることとなる。 そして彼らは世界を救うために、旅に出る。 それは、この世界で語られることとなるもっとも新しい英雄譚の始まりになるとは、まだ誰も知らないのだった。 ■エブリスタ・作者サイト(http://site.knkawaraya.net/異世界英雄譚/)でも連載しています。 本作はサイエンス・ファンタジー(SF)です。
8 109幻想魔動人形記
新・幻想入りシリーズ とある事であっさり死んだ未練たらたらの青年、気持ちを新たに取り敢えず閻魔の所に行こうとするも、謎の光(魔法)の穴(円)に吸い込まれてしまう。新たな人生の幕開けとして・・・ 穴に吸い込まれた護速(ごそく)霊夜(リョウヤ)は、魔動人形に取り込まれ、新たな體を得る。 この話はそんな青年の幻想録だ
8 133