《【書籍化&コミカライズ】小系令嬢は氷の王子に溺される》6

ノックの音がして、またもや返事を聞かずに次男のエイデンが

「姉様いる~?」

って來た。

にリリアーナを見つけると、これ以上ない程の笑顔で駆け寄り、

「わあ、姉様可い~」

と言ってギュウッと抱き締める。

そして髪型が崩れない様に気を付けながら、頭に頬をスリスリしながら「可い可い」と言い続けるのだ。

そこまで気を使うのならば、スリスリしなければいいだろうと思うのだが、彼の中にその選択肢はない。

やはり兄が兄なら、弟も弟といった所か。

見た目だけなら、姉と弟と言うより兄と妹に見え、一見微笑ましい景ではあるが、結婚適齢期にった姉にする行為ではない、筈?

だが、ここヴィリアーズ家ではいつもの景であり、今更誰も気にしていないのである。

ソファへと場所を移し、お茶を淹れてもらう。

兄妹三人で會話を楽しんでいると、イアンの従者がそろそろ出掛ける時間であると告げた。

「じゃあ、行って來るわね」

とリリアーナが言えば、エイデンはし不機嫌そうに

「僕が姉様のエスコートしたかったのに」

とイアンに愚癡る。

「悪いな、それじゃあ行ってくるよ」

「変な蟲が付かない様にしっかり見張ってよね」

「了解」

と、この様に確りと 一家揃ってガードされている為、リリアーナには今の所蟲一匹寄る隙もないのであるが。

適齢期の令嬢にそれもどうなのか、と思う者は多々いても、口に出せる様な強者はいない。

番犬よろしくリリアーナと一緒にイアンは馬車に乗って王城へと向かった。

◇◇◇

招待狀がある為スムーズに王城へとる事が出來たが、車寄せの辺りで混雑しており暫く馬車で待たされる事になった。

「このまま帰ったらダメかしら?」

「リリ?私としてもその方が嬉しいけれど、今日ばかりは無理だな」

「わかってます。ちょっと言ってみただけだわ」

拗ねた様にそう言うと、窓から前に続く馬車の列を目にして、盛大な溜息を吐いた。

「希者の令嬢だけの參加にすればよろしいのに」

仕方ないとは思っているものの、まだまだ時間が掛かりそうな馬車の列に、つい恨みがましく口をついてしまうのだ。

そんなリリアーナに苦笑しながら、イアンは

「王宮主催のパーティーなら、リリの好きな味しいものが沢山あるから、な」

と頭をポンポンするのだった。

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