《【書籍化&コミカライズ】小系令嬢は氷の王子に溺される》3

「私(わたくし)持病の腰痛が悪化した為に登城出來ませんわ」

リリアーナは部屋でお気にりのソファーへ腰を下ろし、モリーの淹れたお茶を優雅に頂きながら、ニッコリとそう宣言した。

腰痛の持病があるなど誰も聞いた事がないのだが。

そして、どう見ても元気一杯である。

オリバーは額に手をあてながら

「馬鹿な事を言っていないで、さっさと支度しなさい。恨むならば己の食と行を恨みなさい」

と言えばリリアーナは。

「いいえ、モリーも申しておりましたが、周りの令嬢方の盛り方は異常でしたから、きっと地味にしていた私が逆の意味で目立ってしまったんですわ。だから、私の自業自得ではありません!」

プイっと橫を向いて膨れている。

その姿は沢山のヒマワリの種を頬張っているリスの如くとてもらしかったのだが、今この狀況ではそんな事を言っていられる場合ではないのだ。

「モリー、頼んだぞ」

オリバーはモリーに丸投げすると、モリーは綺麗にお辭儀をし

「畏まりました」

と手をワキワキさせながらとても和やかにリリアーナへと近付いて行く。

「ちょっ、モリー?あなた私の味方では無かったんですの?その手は何?やめっっ、來ないでっっ、ニャァァァァアア……」

オリバーは既にリリアーナの部屋を出ている。

リリアーナのびは虛しく響くのだった。

◇◇◇

王城のとある一室にて。

リリアーナを挾む様にしてオリバーとジアンナが、そしてテーブルを挾んだ反対側には國王様と王妃様が腰を下ろしている。

氷の王子様は同席していない模様。

顔には出さずとも、元兇である本人(王子様)がおられない事に、リリアーナの苛立ちはどんどんと膨らんでいく。

「ウィリアムは仕事が片付き次第こちらに來る事になっておる。それまでにリリアーナ嬢の話を々と聞かせて貰えぬだろうか」

國王様側とヴィリアーズ家側の溫度差がかなりじられる程に、國王様と王妃様はニコニコとご機嫌であり、ヴィリアーズ家は複雑そうな表をしている。

國王様の言葉の言外に「親戚になるのだし」という様な意味が含まれておられるのが分かる。

々と言われても一何を言ったらいいのか、余計な事を言ってしまいそうで言葉の出て來ないリリアーナに代わり、オリバーが仕方なく口を開く。

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