《【書籍化&コミカライズ】小系令嬢は氷の王子に溺される》10

「あら、鼻を侮ってはいけませんわ。笑った時にちょっぴりはみ出すあの存在。恐ろしい事に、せっかくのお灑落も臺無しになってしまいますのよ」

本気で鼻を侮るなと力説するリリアーナに、笑いが止まらない『氷の王子様』ことウィリアム殿下。

「まあ、何だ。私も鼻には気を付ける事にしよう。ククク」

「ええ、是非ともそうして下さいませね」

そんなやりとりを経て、漸(ようや)く國王様達の待つ応接室へと戻って來た二人。

し前に出て行った二人と、戻って來た二人の明らかに違う距離に、國王様と王妃様はとても喜び、リリアーナの両親は揃って困顔である。

それも當然で、こちらに來るまでは婚約回避をんでいた筈の娘が、何故か王子様との距離をめて戻って來たのだ。

「実はな、ヴィリアーズ伯爵より婚約は二人が戻って來た時に再度意思確認をして、決めるのはそれからにしてしい旨言われてな。確かに今回の事は余りにも急だった事もある。(仕方なく)儂も同意して二人を(使用人に)呼びに行かせたんじゃが……」

國王様はウィリアムを見て

「どうだ?お主の婚約の相手はこのリリアーナ嬢が(・)良いのか、それとも他の令嬢に……」

言いかけた所で

「私の婚約者には彼(リリアーナ)をみます」

ウィリアム殿下はハッキリとそう言い切った。

3日前には「コレでいい」と言った彼が今、コレではなくリリアーナ自(・・・・・・・)をむと口にしたのだ。

大きな進歩である。

この部屋を出る前までのウィリアム殿下は、明らかにリリアーナでなくても他に條件の近い者であれば、誰でも良かった筈であった。

ヴィリアーズ伯爵が頑張って頑張って頑張った結果、國王様からどうにか再度確認してから決めるという約束を取り付ける事に功したのだが。

何故か當の本人(リリアーナ)が氷の王子様を手懐けて戻って來てしまった為に、これまでのヴィリアーズ伯爵の頑張りが水の泡となってしまったのである。

婚約回避のチャンスが、ここに消えた瞬間だった……。

こうしてこの日、ウィリアム殿下とリリアーナの婚約が立してしまった。

リリアーナと両親は、第一王子の婚約者という稱號と王子様の用意させたお菓子の詰め合わせを持って、家に帰るのであった。

    人が読んでいる<【書籍化&コミカライズ】小動物系令嬢は氷の王子に溺愛される>
      クローズメッセージ
      あなたも好きかも
      以下のインストール済みアプリから「楽しむ小説」にアクセスできます
      サインアップのための5800コイン、毎日580コイン。
      最もホットな小説を時間内に更新してください! プッシュして読むために購読してください! 大規模な図書館からの正確な推薦!
      2 次にタップします【ホーム画面に追加】
      1クリックしてください