《【書籍化&コミカライズ】小系令嬢は氷の王子に溺される》1

この度、氷の王子様ことザヴァンニ王國第一王子ウィリアム様の婚約者になりました、ヴィリアーズ伯爵家長のリリアーナと申します。

私(わたくし)は今、ド派手な令嬢とその取り巻きの令嬢方に囲まれております。

わぁい、リリアーナったらモッテモテ❤︎

……なんて事はなく、理由は一つ。

「ウィリアム様も、こんな小娘のどこが良くて選ばれたのでしょうね」

ええ、本當に。

それに関しては私も激しく同意致します。

分からいいましても、イザベラ様の方が相応(ふさわ)しくてらっしゃいますのに」

ほうほう、このド派手な令嬢はイザベラ様と仰るの。

取り巻きの方々が持ち上げてくれるものだから、ご機嫌に羽のついた扇をバッサバッサ仰ぎながら高笑いしてらっしゃる。

さっきからその羽が抜けてフヨフヨ舞って、くしゃみ出そうです。

ウィリアム様の婚約者に決まってから、こういった類(たぐい)の嫌がらせ?的な事が時々起こるのだ。

暴力を振るわれたりとか、を隠したり壊されたりとか、直接的な事をされる等は今のところ一切ないのだけれど。

それでもこう目の前で延々とツマラナイ話を聞かされ続けるのは(神的に)苦痛ではあるのだ。

語のヒロインならば、こういう時には颯爽と王子様が駆け付けて助け出してくれたりするのだろうけれど。

現実の王子様はとっっくに學園を卒業されていて(ウィリアム様は23歳)、誰の助けもありませんから!

なので自分のは自分で守りますっ‼︎

「済みません、ちょっとよろしいですか?」

「何かしら?」

「私には3つ上の兄がおりまして」

「イアン様ね、存じてますわよ」

「はい、先日私の婚約が決まりましてから、父がそろそろイアン兄様にもどなたか良いお相手を考えなければ……と」

「そ、そうですの。それでイアン様のお相手の方は決まりましたの?」

「いえ、この國には素敵な令嬢がたくさんいらっしゃるので、私に、同じの目から見ても素敵な令嬢を教えてしいと言われまして……」

私の言葉一つで候補から消えるのだと暗に仄(ほの)めかせば、目の前の適齢期の令嬢方は數ない優良件の候補者から外されてなるものかと、コロッと態度を変えて頂けるのだ。

「そ、そうですの。

リリアーナ様はとてもお兄様思いの優しい方ですのね」

いえいえ、兄を生贄にしようとしている酷い妹の自覚がありますが。

持つべきものはイケメンの兄弟ですわね。

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