週末はあっという間に過ぎ、再び學園と王城へ通う日々を迎える。

いつもであれば、學園から王城へ到著後直ぐに王太子妃教育が始まるのだが、今日はしだけ時間を遅らせる様にお願いしていた。

遅らせた時間で今向かっているのは、リリアーナの婚約者である氷の王子様ことウィリアムの部屋である。

この部屋にるのは、あの餌付けの日以來二度目のこと。

ウィリアムはソファーに腰掛けており、リリアーナはテーブルを挾んだ反対側へと腰掛けた。

使用人がお茶とお菓子の準備をし、扉をし開けたまま出て行く。

これはいくら婚約しているとはいえ、未婚の異が室で二人きりというのはあまり良い事とされない為、わざと扉を開けて行くのである。

リリアーナは早速可らしい小さな紙袋を取り出すと、ウィリアムに「どうぞ」と手渡した。

「週末に弟のエイデンと町まで出掛けまして。

そこでウィリアム様にとても似合いそうなを見つけましたので、お土産に買って來ましたの」

「リリアーナが私に？ありがとう。開けてみても？」

「ええ、どうぞ」

ウィリアムは早速袋を開けて、中から発の綺麗な碧い紐の様なを取り出した。

「髪紐ですわ。とても綺麗な合いでしょう？」

自信たっぷりにご機嫌な様子で言い切る姿はまるで小さな子供が「どうだ、凄いだろう」とを張って言っている様で何とも微笑ましい。

「とても可らしい小がたくさん置いてあるお店なんですよ。オープンしたばかりのお店らしくて。

イアン兄様とエイデンと侍のモリーが、気分転換と王太子妃教育を頑張っているご褒にと、サプライズで計畫して、連れて行ってくれました。

兄様にはペン立て、エイデンにはブックカバー、モリーには髪飾りをお土産に選びましたの。

素敵なものばかりで、選ぶのが本當に大変でしたわ。

あ、でもウィリアム様の髪紐は、瞳のと同じ綺麗なをしておりましたので、直ぐに決まりましたのよ」

楽しそうなリリアーナの話を相槌を打ちながら聞いていたウィリアムは、髪紐を手にしたまま立ち上がると、リリアーナの座るソファーへと移して隣に腰を下ろした。

今はあの笑い上戸なダニエルも居ないわけで、何故隣に座ったのか意味が分からず困するリリアーナ。

ウィリアムは結んでいた髪を解き、お土産の髪紐をリリアーナに渡し微笑む。

「リリアーナが結んでくれ」

この場にダニエルがいたらきっと、天変地異の前れだと大騒ぎになった事だろう。

とは言え、リリアーナは目の前の彼(ウィリアム)が笑わないと聞いた所で、既に笑った顔を何度も見ている為、それがどれ程凄い事なのかを全く理解していないのだが。

「分かりましたわ」

髪紐を手にリリアーナが立ち上がると、ウィリアムは不思議そうな顔をする。

「何処に行く気だ？」

「ウィリアム様は背が高くてらっしゃるので、失禮ながら背後に回って結ぼうかと」

「何だ？高さが問題ならこれでいいだろう？」

リリアーナをヒョイと持ち上げると、自分の膝の上に向き合う形で乗せるウィリアム。

リリアーナがウィリアムをいで座る狀態であり、長差のある二人の目線が丁度同じ高さになっている。

これは決して淑のする事ではない。

突然の事に全く抵抗も出來ず、片手に碧い髪紐を持ち、固まるリリアーナ。

目の前には綺麗な顔で微笑む王子様。

逃げようにも腰の後ろにガッチリと手を組まれており、逃げ出せそうにない。

萬事休す⁈