《【書籍化&コミカライズ】小系令嬢は氷の王子に溺される》1

本編ウィリアムside

正直面倒だった。

などという生きは、家柄・資産・容姿にこぞって群がる蟲の如き存在だと思っていた。

しでも笑顔を見せれば騒ぎ出し、優しい素振りをすれば無駄にベタベタとついてまわり、ならばと素っ気なくすれば直ぐに泣く。

は面倒臭いものと、自分の周りにを寄せ付けない様にしてきた自覚はある。

だからと言って、斷じて同者ではない。

10代の頃は婚約の話も何とかはぐらかす事が出來ていたが、20代になるとそうもいかない。

それでも無理矢理その話題から逃げていたのだが。

そんな中、遂に痺れを切らした國王(父)と王妃(母)が暴挙に出た。

それがあの集団見合いである。

現在近衛騎士団副団長という立場の私だが、それも近いうち立太子するまでの間のこと。

自分で言うのも何だが、私は剣の腕に優れていた。

私より弱い者に護られるなど有り得ぬ事で、そんな者に背中を任せる事など出來る筈もない。

平和な時代が続いていたからだろうか、自分の目で見て(実力共に)信用に値する者は、殘念ながら余りにもなかった。

それからは自ら近衛騎士団へ団し、育に力をれてきたのだ。

そちらの方は順調であったのだが……。

いつまでも逃げてはいられない事くらい分かってはいた。

いつかは決めなければいけないのだ。

それが今になっただけの事。

私の邪魔をしない、出しゃばらない、人によって態度を変える事のないであれば誰でもいい。

世継ぎを産んでもらう為の結婚なのだ。

何人か王子を産んでもらった後は、迷が掛からない程度に好きに生きてもらって構わない。

とうとう見合い當日になってしまった。

激しく參加したくは無いが、そういう訳にもいかない。

招待客のすべてがホールへ集まり、渋々場する事となった。

挨拶の列が続き、どいつもこいつも目を使って見てくる視線が不快だ。

そんな中で、私に全く視線を向けないと言うより、視界にれない様にしている者がいた。

他の令嬢達と違って、かなり地味なその姿は逆に目立っていた。

「ヴィリアーズ伯爵家長のリリアーナと申します」

挨拶を済ませると、そそくさと何処かへ行ってしまったが、何となく印象に殘っていた。

漸く挨拶が終わると、第二王子(おとうと)のオースティンが婚約者と中央のスペースへと向かい踴り出した。

それにつられてポツリポツリと踴り出す者が出始める。

私はというと、その場からかず、いつも以上に派手に著飾り、浴びる様につけたであろう香水の臭いを撒き散らす令嬢達に、かなり苛立っていた。

そんな中で、パーティー開始早々にブッフェに向かう一人の令嬢が目にった。

あれは確か……リリ何とかと言ったな。

地味過ぎて逆に目立っていた彼は、ズラリと並んだ料理を前に、嬉しそうな顔をしている。

皿に料理を盛ってもらい、目立たない様な隅の方へと移して、何とも幸せそうな顔をしながら頬張っている。

……何しに來たんだ、あいつは。

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