《【書籍化&コミカライズ】小系令嬢は氷の王子に溺される》2

いつまで経ってもこうとしない私に業を煮やしたのか、王妃(母)が見合い相手である令嬢達を並べる様、側近へと命じていた。

……ちっ、余計なことを。

いそいそと並びだす令嬢達。

その中で先程のリリ何とかが、私から一番遠い位置へと並ぶのを目の端に捉えていた。

國王(父)がこの中から選べと圧を掛けてくる。

……これ以上引き延ばすのは無理か。

諦める様にして立ち上がり、令嬢達の前をゆっくりと歩を進める。

ふと、あの「私には関係ありません」的な彼を選んでやったらどうなるのだろうかと思った。

きっと、自分以外の誰かが選ばれるものと思っているだろう。

かなり驚くのではないか。

そんな姿を想像してしだけ気持ちが軽く(?)なった気がした。

気がつくと一番端に並ぶ彼の前まで來ており、私はそこで立ち止まると、彼へ目線を向ける事もせず、「コレでいい」と口にしていた。

基本的に王族の私が選んだ相手は、余程のことが無い限り斷る事は許されない。

それを理解した上で、そんな気も全くなかった彼を選んだのだ。

目線を合わせる事が出來なかったのは、どこかし罪悪があったからだろうか。

何となくその場に居づらくなり、私は足早にホールから出て行った。

とりあえず、選ぶ事はしたのだ。

これ以上この場にいなくても良いだろう。

「完全なる八つ當たりではないか……」

先程の自分の行に激しく後悔している自分がいた。

じっくり見た訳ではないからハッキリとは分からないが、まださの殘る彼はきっと、適齢期(14歳)になったくらいであろう。(※実際は16歳です)

まない婚約者選びをさせられている自分の前で。

さも関係ないとでも言いたげに料理を満喫している姿に何故か苛立ちを覚え、仕返しとばかりに彼まぬ婚約者という役割を押し付けようとした私は。なんて大人気のない。

しかし、今更撤回も出來ない。

したくもない。

またあのギラギラした強過ぎる臭いを纏った令嬢達と対面など、免被る。

やはり彼には悪いが、ここは諦めて私の婚約者として腹を括ってもらうとしよう。

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