《【書籍化&コミカライズ】小系令嬢は氷の王子に溺される》5

先程使用人が「國王様がお呼びです」と呼びに來た為に、皆が待つ応接室へと彼(リリアーナ)と一緒に向かっている。

この彼はかなり小さく、並ぶと私のの辺りにつむじが來る高さしか無い。

それ故歩くペースはかなり遅く、普段であれば面倒で置いていく所だが、何やら小さなペットが一生懸命主人に著いて歩く様で、不思議と自分の歩くペースを落とす事に不満をじない。

それどころか、彼はダニエルに可笑しなあだ名を付けてみたり『鼻が3倍速でびる』という地味に嫌な呪いを掛けると言ってみたり。

……こんなに笑ったのはいつぶりだろうか。

普段の倍以上の時間を掛けて応接室に到著した筈だが、何故だかあっという間に到著してしまった様にじる。

部屋の中には嬉しそうな顔をした國王(父)と王妃(母)、そして困顔のの両親。

私達が席に著くと國王(父)の口からこの婚約に対する意思確認の言葉が出て來た。

「どうだ?お主の婚約の相手はこのリリアーナ嬢が(・)良いのか、それとも他の令嬢に……」

「私の婚約者には彼(リリアーナ)をみます」

思わず被せる様に言っていた。

この短時間の間に、私は彼の事を結構気にっていたから、今更他のを選ぶなどという面倒臭い事は考えられないと思ったからだ。

今にして思えば、心の何処かで、彼を逃がしてはいけないと理解して(わかって)いたのだろう。

婚約が定すると直ぐに、リリアーナの王太子妃教育が始められた。

(リリアーナ)は學園の授業が終わってから王城へと登城し、みっちり教育をけ、夕食を食べてから家へと戻る忙しい生活が続いている。

げっそりした顔で食堂へとって來るのだが、目の前の味しそうな料理に満面の笑みを浮かべる姿に、國王(父)や王妃(母)だけでなく、オースティンやホセまでが癒されているらしい。

何となく面白く無い。

幸せそうにデザートを頬張る姿に、私の分のデザートも食べる様に言うと、とても可らしい笑顔で「ありがとう」なんて言うものだから、ほら、リリアーナの前に他の皆の分のデザートまで並んでしまったではないか。

こんな事でやはり面白くないと思う私は狹量なのだろうか……。

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