《【書籍化&コミカライズ】小系令嬢は氷の王子に溺される》6

週末はリリアーナの王太子妃教育もお休みとなる為、登城して來ない。

騎士団に週末などというものは無い為、訓練場に顔を出し稽古をつけていると、キャアキャアとの奇聲が煩くて堪らない。

ダニエルが苦笑いを浮かべながらやって來る。

「おいおい、眉間にシワが凄いぞ。

……しは笑って聲援に応えてやればいいのに」

「必要ない」

「いや、でもさ、応援してくれてる令嬢達は喜ぶだろ?」

「知らん!何故私が奴等を喜ばせなければならん。

だったらお前がそうしてやればいい。

全く、キャアキャア煩くてかなわん」

しは靜かに見る事も出來ないのか。

近衛騎士団は所謂花形職業であり給料もそこそこ高い為、結婚相手として下位貴族の令嬢方からの人気も高く、週末の度にお相手探しの令嬢が騒ぎに來るのである。

その為、週末のウィリアムの機嫌はすこぶる悪い。

ある日、リリアーナが王太子妃教育前に私に會いに來た。

なんでも週末に弟と出掛け、そこで私に土産を買って來たのだという。

は小さな紙袋を取り出し、渡してきた。

早速袋を開けてみれば、中から発の綺麗な碧い紐の様なが出て來る。

「髪紐ですわ。とても綺麗な合いでしょう?」

自信たっぷりにご機嫌な様子で言い切る姿はまるで小さな子供が「どうだ、凄いだろう」とを張って言っている様で何とも微笑ましくじ、同時に私の為に彼が選んでくれた事に喜びをじた。

嬉しくなってつい、

「リリアーナが結んでくれ」

と、リリアーナをヒョイと持ち上げて膝の上に向き合う形で乗せれば、私宛の碧い髪紐を手に、固まるリリアーナ。

逃がさぬ様に腰の後ろにガッチリと手を組んでみる。

真っ赤になって恥ずかしがりながらも、彼は右耳の下辺りで緩く結んでくれた。

「ありがとう」

頭をで膝から下ろすと、丁度使用人が王太子妃教育の為にリリアーナを迎えに來た。

はギリギリ見られずに済んだ事に安堵していた様だが、私としては別に見られても構わなかったのだが。

夕食の時間になり、目敏い下の弟のホセが

「ウィル、そんな髪紐持ってた?」

と聞いて來たので、自慢する様に

「リリアーナが私の為に買って來て、結んでくれました」

と言えば、リリアーナは顔を真っ赤にして俯く。

やはり私の婚約者は、可らしいと思う。

……他の煩わしいどもと彼は何が違うのだろうか。

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