《【書籍化&コミカライズ】小系令嬢は氷の王子に溺される》12

し食べ過ぎてしまった様だ。

午後の仕事までにはまだし時間がある。

「ダニーが探しに來るまで、膝を貸してくれ」

ゴロンと橫になりリリアーナの膝に頭を乗せた。

「さっきまでウィリアム様に膝をお借りしておりましたから、今度は私の番ですね」

リリアーナはふふっと笑顔で言いつつ、私の臺詞が気になった様だ。

「……あの、ダニエル様が探しに來ると言う事は、何かお仕事があるのではないのですか?

ここでゆっくりしていて大丈夫ですの?」

「いいんだ。急ぎの仕事は終えているし、あとは私でなくても大丈夫な案件だけだからな。

……それよりも、いつまでウィリアムと呼ぶつもりだ?

私はそちらの方が気になるのだが?」

そう言って、リリアーナのゆるいウェーブのかかった髪を弄りながら、答えを待つ。

恥ずかしがってなかなか呼んではくれないのだが、そんな姿も可らしく思い、ついこうやってからかう様に言ってしまうのだ。

これは私が悪いのでは無い、可いリリアーナが悪いのだ。

リリアーナはプクッと頰を膨らませると、

「気が向いたら呼ぶかもしれませんわ」

プイと橫を向き、読み途中であった本を手に取ると、ページを開き読みだした。

これ以上揶揄(からか)うのはマズイと、ゆっくりと目を瞑る。

こんな穏やかな時間を過ごすのは、どれくらいぶりだろうか。

そんな事を思いながら、眠りに落ちていった。

「ウィリアム様?ダニエル様が迎えに來られましたよ?」

リリアーナに揺すり起こされ、膝から起き上がると大きくびをして、リリアーナの頭をでた。

自分で言うのも何だが、私は人の気配や音に敏だ。

ダニエルがここまで近付いても起きなかった事に、し驚いている。

「リリのおで良く眠れた。ありがとう」

「それは良かったですわ」

嬉しそうに答えるリリアーナが可い。

「リリはまだここに居るのか?」

「そうですわね、もうしだけここで本を読んでますわ。涼しくなる前には部屋に戻ります」

「じゃあ、リリの好きなハーブティーとお菓子の用意をする様に言っておく」

リリアーナに用意するのは、カロリーなめでも味しいお菓子だ。

王城(ここ)へ來て、味しいものばかり食べ過ぎて太ったと気にしていたからな。

パティシエにリリアーナが気にせず食べられる様なものをと頼んだら、毎日試行錯誤しながらも、新しい種類の菓子を生み出している。

彼曰く、とてもやりがいがあるとの事。

その調子で頑張れと言っておいた。

リリアーナが何か言おうと口を開きかけたその時。

「お菓子はまずいんじゃないの?またボタン飛んだら……」

ダニエルが余計な事を口走る。

彼がしまったという顔をしながら慌てて口に手を當てたが、もう遅い。

「何故あなたがそれを知っておられますの?

……ねえ、ウィル?あなたにしか話していない事が、どうしてこのマッチョに知られているのでしょうね?

不思議ですわね?」

リリアーナの口角は上がっているが目が笑っていない笑顔でそう言われ。

ダニエルと並んでその場に正座をさせられ、何故かリリアーナによって細かい三つ編みヘアにされたのだ。

時間を掛けて編まれた大量の三つ編み。

リリアーナの口から「今日一日解く事を止」と言われ、ダニエルと二人、この恥ずかしい頭のまま過ごす羽目になったのだった。

仕事に戻っても誰も何も聞いてこない。

聞かれたらまだ言い訳が出來るのだが。

それどころか誰も目を合わそうとせず、肩が震えている者までいる。

……これから軽度の違反者への罰は、三つ編みの刑にする事にしよう。

きっと違反者が減ることだろう。

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