《【書籍化】外れスキル『目覚まし』、実は封印解除の能力でした。落ちこぼれの年は、眠りからさめた神達と優しい最強を目指す。【コミカライズ企畫進行中】》4-14:終末のはじまり
王都の空を神々が飛び、神話の真実がなし崩し的に明かされてから、5日が経った。
朝、の戦士団、総長パウリーネの機には、丸まった書狀が山と積まれている。
王パウリーネは一つ一つを直筆返信、代筆返信、後回しへと振り分けつつ、これまでの數日間を考えた。
ため息が落ちるのは、1000年間続いた神話について真実を明かすことは、やはり大変な事業であったから。
古代、神々は圧勝してはない。
強力な魔はまだ殘っている。
そして、復活した魔の長――原初の巨人『ユミール』が、いずれ王都へ攻めて來る。
民に明かされたのは、そうした『過去』と、これからの『未來』。
戦いの翌日から、王都でも辺境でも、オーディス神殿は本當の神話について語り続けた。
パウリーネは書狀整理の手を止める。
「……これは」
一部の貴族から、早くも抗議が來ていた。
明かされた神話は、やはり衝撃が大きい。抗議の聲があがるのは當然のことだ。
パウリーネとしては、むしろ順調とさえじる。
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王都で神々が戦いを見せたことが幸運だった。古代の神々が魔と戦った姿こそ、『神話の戦いがまだ終わっていない』という証左だから。
辺境でも事は変わらない。迷宮から現れた魔を、目覚めた神が退けている。
魔から各地を守り切った後、神々は再び氷へ戻ったようだが、人々を救った事実は大勢の記憶に殘っただろう。
迷いを斷ち切るように、パウリーネは抗議の文を『返信不要』の箱へ仕分けした。
そこで、扉が叩かれる。
神服姿のルイシアがってきた。
「王様!」
急に扉が開いたせいか、風が吹き込んできた。
ルイシアが持ってきた書狀が、風に吹き飛ばされて部屋に舞う。
「ああ! ご、ごめんなさい!」
慌てて膝をつき、ルイシアは書狀を拾う。パウリーネも手伝った。一枚がさらに吹き飛ばされ、ルイシアの顔にへばりつく。
はがしてやると、見事に眉をさげた顔が出てきた。
「……気にせずともいいですよ」
「でも」
ルイシアは、宿った新しい力に順応する訓練を重ねていた。その合間をって、こうしてパウリーネの手伝いもしてくれている。
言い換えれば、もともとの人員では回らないほど今は忙しい。
「私も、お役に立ちたいのに……」
頑張りすぎな12歳に、パウリーネは苦笑した。
「本當に、お気になさらず。あなたのご助力は十分です。……おや」
パウリーネは、ルイシアの顔から剝がした書狀に目を止める。
冒険者ギルドからだ。
すでに、いくつかの支部から王都へ冒険者を派遣する旨をけ取っている。援軍の送り主には、フローシア、アルヴィースなど、リオン達が立ち寄った街も含まれていた。
今回の書狀はその続報だ。
「……ふむ」
正直、助かる。
紛れもなく、決戦は王都になるから。
気づくと、パウリーネは腰を屈め、ルイシアに問いかけていた。
「ルイシアさん」
「はいっ」
「……怖くは、ないですか?」
空の瞳が、し揺れた。
戦いから日數が経っている。兄のようにとはいかずとも、歳が近く、同の自分には、心境の変化があれば話してくれるかもしれない。
「あなたを王都……たとえば王城など、より守りの深いところに隠す手もあります。本當に、この神殿に殘る選択でよいのですね?」
に手を當てて、は頷いた。
「ほんとはし、おっかないです。でも……平気」
ルイシアは口元をほころばせる。
「ここには、大きな『霜の寶珠』もあります。なら私もここに殘る。守るものが一ヶ所に固まっていた方が、きっといいです」
ルイシアの語りは淀みない。何度も考えてきたのだろう。
決意は十分、と王は心に殘した。
「それに、お仕事も大丈夫! お兄ちゃんも頑張ってるんですから。私も何かしないと!」
立ち上がったルイシアは、手早く書類を整えた。
元気な様子にパウリーネもし笑う。
「ふふ。確かに、ここずっと、迷宮で鍛練されていますね」
角笛の年、リオンは迷宮で力を高める修行をしている。ミアやフェリクスといったパーティメンバーも一緒のはずだ。
ルイシアはぽつりと付け加える。
「……この調子で、ソラーナ様とももっと進めばいいのに……」
パウリーネは固まりかけたが、流すことにした。
「失禮。みょ、妙なことを聞きましたね」
「いえいえ!」
ルイシアは丁寧にぺこりと一禮して、辭した。栗のおさげが尾のように揺れている。
ドアが靜かに閉まってから、王は一息れることにした。
終末の戦いで、戦士団が擔う役割はとても多い。
『霜の寶珠』も『ルイシア』もこの拠點に存在している。ユミール達は間違いなくこの場所に攻勢を集中させるはずだ。
の戦士団は冒険者や兵士など、多く引きけることになっていた。
ただ――ルイシアに宿る『創造の力』までは、民にも、王にさえ明かしていない。場合によっては、ルイシアのが人間に狙われることにもなりかねない。それほどの能力だから。
パウリーネは窓に近寄る。
開くと、春風が吹きこんで銀髪をそよがせた。
「終末……」
の戦士団の拠點は、王都の城壁外にある。
けれども獨自の壁を備え、守りは固い。なだからな丘陵が、を浴びてどこまでも起伏を繰り返していた。
ルイシアの勵ましがを過ぎる。
「確かに、大丈夫。私達なら……!」
どん、と大音がして王はまた直した。
――トール殿! 鍛錬では手加減をしてください!
雷神トールは、戦士団や王都の冒険者を、今日も気合れて……あるいはれ過ぎて鍛えている。
一瞬靜かになったと思えば、今度は小人のキンキン聲だ。
――ちょっとロキ! そっちの魔道かさないでぇ!
半眼になって下を見ると、狩神ウルが城壁で鳥と話している。塔の一室からたまに紫の煙が出るのは、薬神シグリスが霊薬でも作っているからか。
……だ、大丈夫?
本當に?
パウリーネはばたん!と窓を閉める。なくとも神々は、おしまいまで騒がしくありそうだった。
王は機に戻り、羽ペンを繰る。『さて、角笛の英雄殿は――』などと、迷宮に潛って修行している年のことを考えた。
お読みいただきありがとうございます。
次回更新は、8月25日(木)の予定です。
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