《【第二部完結】隠れ星は心を繋いで~婚約を解消した後の、味しいご飯とのお話~【書籍化・コミカライズ】》番外編 どれだけしく思っているか(書籍発売記念SS)
婚約中の夏のお話です。
「ノアって酔わないの?」
あまりりす亭の帰り道、繋いだ手を揺らしながらアリシアがそんな事を口にしたものだから、ノアの口元は弧を描いた。アリシアはし酔っているのか、頬に赤みが差している。
「酔ってないわけじゃないぞ。そんなに顔には出ねぇけどな」
「酔い潰れた事は?」
「騎士団にったばかりの時に何度か。歓迎會と稱して、休みの前日は毎度飲み會だったんだ」
「ふふ、楽しそう」
アリシアの聲が弾む。夜風に遊ばれた若菜の髪を軽く直してやれば、恥ずかしそうに笑っている。そんな姿も可らしい。
大きな月が、石畳に二人の影をばしている。影は寄り添って、まるでひとつの影になってしまったかのようだった。
「楽しかったが次の日は寢込む羽目になったからな。最近じゃ加減も分かって、そこまで飲む事もなくなったけど」
「寢込むノアが想像出來ないわ。今だって全然酔っていないように見えるし」
「結婚したら酔い潰れるくらいに付き合ってくれ」
「ええ、もちろん」
繋ぐ手に力が籠もったのをじて、ノアは応えるように自分からも強く握った。絡まる指の先端まで火が燈ったかのように熱い。お互いの溫度が重なって、熱を帯びていく覚が好きだった。
「俺が酔い潰れたら抱き枕になってくれるか? 朝まで離せそうにねぇけど」
「二人でお寢坊するのも気持ちよさそうね。たまにはそんな怠惰な朝もいいんじゃないかしら。でもお休みの日だけにしないとね」
軽い口調で紡いだ言葉に、アリシアはくすくすと肩を揺らす。夜を共に過ごす事に何の違和も持っていない様子が可らしいが、危うくも思う。彼の隣にいるのは、しい人に焦がれるただの男だというのに。
でもそのままで居てほしいとも思うのだから、ノアは心で自嘲に苦笑いをするしかなかった。アリシアは知らなくてもいいのだ。自分がどれだけ彼をしく思って──出來る事なら自分の腕の中に閉じ込めておきたいと願っている事なんて。こんな仄暗いは表に出さなくていい。
「ねぇノア」
「ん?」
「結婚するのが楽しみね」
花開くようにアリシアが笑う。つられるようにノアの笑みも深くなるばかりで、大きく頷いた。
「そうだな。だけど準備するのも多くて大変だろ」
「大変だけど楽しいからいいの。ドレスやアクセサリーを選ぶのだって、わたしだけじゃなくて皆が楽しそうにしてくれているのも嬉しいし」
「ドレスを合わせる時は俺も參加させてくれ」
「もちろん。ドレス姿を褒めて貰いたいのは他の誰でもなくてあなたにだから。ノアの裝は騎士団の正裝だものね。見るのが楽しみだわ」
ノアは騎士だから、式典用の騎士服を著用する事になっている。
揃いの花婿裝でも良かったが、アリシアが楽しみにしていると聞いて迷いなく騎士服を著る事に決めた。
「なんだ、正裝姿の俺が好みならいくらでも著てやるぞ」
冗談めかして口にすると、楽しそうな笑い聲が返ってくる。金の瞳が星のように煌めいていた。
「ノアはどんな姿でも素敵よ」
ああ、勝てない。
勝負をしているわけでもないのだが、いつだって彼には勝てないと思い知らされてしまう。
「……そりゃどーも」
何だか無に気恥ずかしくなって、ただ一言を返すだけでいっぱいだった。ノアの様子にまたアリシアが楽しそうに笑う。そんな彼が可くて、を屈めて掠めるようにを奪った。一瞬で真っ赤になるアリシアに今度はノアが低く笑った。
本日9/2は書籍版【隠れ星は心を繋いで】の発売日です!
どうぞ宜しくお願い致します。
(特典については活報告でお知らせしています)
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