《【書籍化】絶滅したはずの希種エルフが奴隷として売られていたので、娘にすることにした。【コミカライズ】》第53話 次回、りりーがんばる
「それでね、ぱぱがりりーをたすけてくれたの」
椅子に座って、は嬉しそうに話を聞かせてくれます。
自分が奴隷だったこと。
父親に拾われたこと。
父親はとても優しくて、大好きなこと。
…………いつか父親を助けられるような魔法使いになりたいこと。
サイズを測る為のサンプルの帽子を被って幸せそうにしているこのは、まさか自分が今、特殊な空間に閉じ込められているとは考えもしないでしょう。
そして────大好きな父親に、もう二度と會えないという事も。
「…………そうですか。リリィさんは人間が好きなんですね」
當り前ですが、このからは人間に対する憎しみは一切じられません。そもそも人間とエルフは一般的には友好関係にありますからね。エルフの國でも、人間は概ね好意的に捉えられています。
あそこまで人間を恨んでいるのは…………きっと私の主くらいでしょう。ラディメリア様は人間を深く憎んでおられます。
その原因は數年前────ラディメリア様が、まだエルフの國で第七王と呼ばれていた頃まで遡ります。
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この事実は闇に葬られ一般には知られていない事ですが…………當時、エルフの國は狀態にありました。
次期王の座を爭っている第二王が、當時はまだ第一王であった現王様に対して刺客を放ったという噂が王族の間で流れていたのです。事実、第一王の周りで怪しい者が何度か捕まるという事もありました。第二王は関係を否定していましたが、私も、そして周りの皆も、それを信じてはいませんでした。
「お姉様が心配だわ…………」
第七王であるラディメリア様は、姉妹の中でも特に第一王と仲良くされていました。末妹であるラディメリア様には実質的に王位継承の可能がなく、第一王もラディメリア様とお話されている時だけは本當にリラックス出來るようでした。二人の仲は、とても良好だったと言っていいと思います。
いや…………良好過ぎた、と言うべきでしょうか。
「お姉様…………ああ、お姉様…………」
ラディメリア様が枕に顔を埋め、足をじたばたさせます。第一王と會った日の夜は、決まって眠れぬ夜を過ごす我が主。
そう、ラディメリア様は第一王にをしていたのです。単なる姉妹以上の慕のを抱いていたのです。決してそれを本人にぶつけることはありませんでしたが、ラディメリア様のお世話係だった私は何度もそういうシーンを見る事がありました。
そして────その時が訪れます。
「お姉様が襲われたっ!?」
ある、良く晴れた日の事でした。
街を歩いていた第一王が何者かに襲われたという報が、ラディメリア様の耳にったのです。
「お姉様は無事なのッ!?」
伝令役の兵士に摑みかかるラディメリア様。兵士が続けた言葉に、なんとか震える手を離すことが出來ました。
「そう、無事なのね…………良かった…………」
第一王は通りすがりの人間に助けられ、事なきを得たとの事でした。今日まで続くエルフと人間の友好関係の発端はきっとこの出來事でしょう。街中で行われたこの救出劇は、多くの國民の目にったはずですから。ラディメリア様も最初は人間に好意的なを持っていたはずです。
────第一王が、その人間に惚れてしまうまでは。
「お姉様、最近訪ねて來て下さらない…………」
エルフの國で人間の好度が著しく上昇したあの日から、し経ちました。
第一王大好きっ子のラディメリア様は、寂しい日々を過ごしておりました。以前は頻繁にお茶會にってくれていた第一王と、最近ご無沙汰だったのです。
「お姉様…………今何をしていらっしゃるのでしょう…………」
この頃のラディメリア様は、よく憂げな表で空を見上げていらっしゃいました。
…………後になって分かるのですが、この頃の第一王は自分を助けてくれた人間をエルフの國に引き留めるのに必死になっていました。ヴァ……だか、ヴィ……だかいう名前のその人間を、夫として迎えれようとも。
第一王の中から、ラディメリア様は完全に追い出されてしまっていたのです。
第一王にをしていたラディメリア様からすれば、突然現れたポッと出の人間に最の人を掻っ攫われたようなもの。
この事を後から知ったラディメリア様の深い悲しみと…………そして怒り。それは想像するに余りあるものでした。結局その人間は第一王の前から忽然と姿を消し、第一王は暫くの間枕を涙で濡らす日々を送った事も関係しているかもしれません。
それから暫くして第一王は晴れてエルフの國の王になり、ラディメリア様は王様と以前のような関係を取り戻せないまま、飛び出すようにエルフの國を発ちました。
その後はアンヘイムに流れ著き、今に至ります。
王族特有の高い魔力に加え手先の用だったラディメリア様は帽子職人としての新たな生活をスタートさせました。けれど、帽子職人として気ままな生活を送りながらも、人間への憎悪を忘れた事はありませんでした。
例え世間がそれを「嫉妬」と斷じようと、そんな事は當事者には関係ないのです。
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