《【WEB版】王都の外れの錬金師 ~ハズレ職業だったので、のんびりお店経営します~【書籍化、コミカライズ】》272.【5巻発売記念】みんなで安旅行①
「うーん」
その日、私は機に肘を突いて考え込んでいた。
「デイジー様、そんなに考え込んでどうしたんですか?」
通りかかったマーカスが私に尋ねてくる。
「安旅行をしたいのよ」
「いあんりょこう」
聞き慣れない言葉に、マーカスがきょとんとした顔をして復唱する。
「なんでも、使用人を連れて、彼らをねぎらうために行く旅行をすることをそう言うらしいわ」
「とすると、私達のために旅行をすることを考えていらっしゃると言うことですか?」
「うん、そうなの」
そう答えるとマーカスが困気な顔をする。
「でも私達平民は、一般的に生まれた街から一生出ないものですよ?」
マーカスの言うとおりで、普通平民というのは一部を除いて生まれた街を一生出ることはない。それは、街の中にいれば安全で、それの反対で、街の外には盜賊や魔獣といった危険があるからだ。
一般の平民に護衛を雇うような余裕のある者は限られている。だから、生まれた街しか見ないで一生過ごすのが一般的と言えるのだ。
「でもほら、私達にはウーウェンがいるじゃない? あの子がいれば、そんな狀況になっても安全だと思うのよね。それに私やアリエルもいるし」
「なるほど。安全面のことは分かりました。でも、なぜ突然そんなことを言い出すのですか? 安であれば、休暇を與えるとかでもいいでしょう?」
「うーん。ミィナの願いを葉えてあげたいから……かなぁ」
「? ミィナですか?」
マーカスが首を傾げた。
「ミィナのまたたびぬいぐるみの形を知っている?」
「レッドドラゴンでしたっけ? 意外ですよね」
「そうなのよ。それなの! あの子の夢は、『ドラゴンに乗って空を飛びたい』なのよ!」
かつてまたたびぬいぐるみを作ったときに彼が語った夢をマーカスに教えた。
「ああ、なるほど。それで……」
「そう。ウーウェンにお願いはしなきゃいけないんだけれど、ミィナに空の旅を経験させてあげたいのよ。だっていっつもアトリエのために頑張ってくれているじゃない?」
「それは葉ったら喜びそうですね」
「でしょう?」
「でも、なぜそれが安旅行やらとまでに発展するんですか?」
ミィナのことは納得したようだけれど、マーカスがまだ首を傾げている。
「ミィナ一人だけじゃもったいないかなって。街の外に出たことがないのは、みんな一緒じゃない。みんなで行ったらもっと楽しそうだと思ったのよ!」
それに対して、マーカスが「なるほど」と相づちを打つ。
「それは確かに魅力的な提案ですね。私も生まれてから王都を出たことがありません。街の外を見てみたい気がしてきました」
「じゃあ決まりね! アトリエも思い切ってお休みにしちゃって、みんなで旅行にでかけましょう!」
「そういえば、常駐ではありませんが、いつも帳簿関係でお世話になっているカチュアさんもってみてはいかがですか?」
「それもそうね。手紙でってみるわ!」
私は急いでカチュアにいの手紙をしたためて送った。すると、彼からは快諾の返答が帰ってきたので、彼も一緒に行くことにした。
そして、メンバーが決まると、私は早速ウーウェンに申し出たのだった。
「アトリエのみんなを背中に乗せて旅をする? うん、いいよ! 大きくなれば、ボクの背中なら余裕でみんな乗れるよ! それに何かあっても護衛もしてあげる!」
ウーウェンは、「任せて!」とを叩いて張り切って承諾してくれた。
「じゃあ決まりね! みんなに知らせて日取りを決めましょう!」
場所はもう決めてあった。
前に行ったエストラド大火山の近くにある海辺の港町。みんなきっと海なんて見たことがないはず。きっと喜んでくれるわ!
そうして、みんなで海遊びにいくことになった。
出かける組は七人と一頭。
ミィナ、マーカス、ルック、アリエル、カチュア、ウーウェン、リーフ、私。
ピーターとアリスには、お留守番をしてもらうことになった。
みんなで一番近い北西門まで行って、検問をける。
「私、街の外に出るのなんて初めてですぅ!」
「私もですね」
ミィナとマーカスなんかは、検問をけること自も珍しいようすだった。カチュアは出會いの時も王都外の馬車の中だったから、王都の外に出ることはままあるのだろう。二人とは対照的に、手慣れた様子で手続きをしていた。
【お知らせ】
王都の外れの錬金師5巻が10/7に発売になります。
どうぞよろしくお願いいたします。
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