《【WEB版】王都の外れの錬金師 ~ハズレ職業だったので、のんびりお店経営します~【書籍化、コミカライズ】》275.【5巻発売記念】みんなで安旅行④

「さて、ずいぶん日焼けしましたね。それから、今日はどうするんですか? アトリエは明日までお休みの予定でしたよね?」

マーカスが尋ねてきた。

「うん! せっかくだから、溫泉付きの宿に泊まる予定よ!」

そう。私が目指すのは、この間溫泉を『ポーション湯』にさせてもらった、あの宿だ。

私達は歩いてその宿に向かう。

「こんにちは!」

「ああ! この間のポーション湯のお嬢ちゃん!」

宿屋の將さんは、私の顔を覚えてくれていたらしく、想良く挨拶をしてくれた。

「七人と従魔一頭、の子五人と男の子二人で泊まりたいんですけど、部屋空いていますか?」

「ああ! ちょうど大部屋と普通の部屋の二部屋が空いているから、それでいいなら大丈夫だよ!」

「じゃあ、それでお願いします!」

タイミング良く空き部屋があったので、そこに決めることにした。

「ところで今回もみんな盛大に日焼けしているけど、あ(・)れ(・)やるのかい?」

「やっていいなら!」

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「じゃあ、お言葉に甘えて、やってもらおうかね!」

私と將さんで話がトントン拍子に進んでいく。

「あれってなんですか?」

ルックが不思議そうに尋ねてくる。

「さっき言っていた、ポーション湯よ! 日焼けしたままお湯に浸かると痛いからね!」

そういうわけで早速ポーション湯の準備をさせてもらう。

將さんはいそいそと『本日限定ポーション湯!』の看板を用意している。

そうして私達の子組は湯に向かう。殘念ながら、従魔のリーフはお部屋でお留守番だ。

「はわわわ! お湯がいっぱいですぅ」

「すごい! お湯がこんなに! 贅沢だ!」

初めて溫泉を見るミィナとウーウェンが目を輝かせている。

ちょうど湯は私達しかお客さんがおらず、貸し切り狀態だった。

「泳ぐぞ!」

ばしゃん! とお湯にると、ばしゃばしゃと泳ぎ出すウーウェン。

「こらこら。それはマナー違反だよ~!」

私が注意するけれど、興したウーウェンは止まらない。

「まぁ、他のお客さんが來るまではいいんじゃないですか?」

アリエルがフォローにった。

「まぁそうねえ。お湯がかかるのを私達が我慢すればいいんだし……」

私達は彼の行為を大目にみることにした。

目に、殘りの三人は、お湯をまんべんなくに掛けてからゆっくりとお湯に浸かる。

「ふわぁ。お湯がたっぷりだからがぷかぷか浮きますぅ」

初めてのミィナが底に手を突いて、ぷかーと浮かぶ。

「ポーションたっぷりれたから、日焼けも治ったでしょう?」

「前回同様、全く痛みませんね」

アリエルも嬉しそうだ。

「溫泉なんて初めてですわ。しかもそれをポーション湯にしてしまうところが、さすがデイジーといったところかしら」

お湯を手で掬って肩に掛けて暖まりながらカチュアが笑う。

そうしてお湯をたっぷり堪能してからあがると、ちょうど男子二人組と休憩所で鉢合わせする。

「デイジー様」

「なあに?」

「どうも、湯上がりには冷えた牛を飲むのが作法らしいですよ?」

「そうなの?」

それは前回しそびれていた。

「アリエル。前はそれ飲まなかったわね」

「そうですねえ」

「とっても味しいんだそうです! デイジー様! 私飲みたいです!」

ルックが珍しくおねだりをしてきた。

「じゃあ、みんなで飲みましょうか!」

私は番頭さんに人數分のお金を払って、七本の牛け取る。

「じゃあ、飲みましょう!」

ごくごくごく……。

「ぷはー!」

味しい!」

ルックが口の周りに牛髭をつくったまま、にこにこと上機嫌に笑っている。

「ほてったに染みじですね」

マーカスも、一気に飲み終えて一息つきながら想を言う。

「うんまー!」

ウーウェンも気にったようだ。腰に手を當ててぷはーっとしている。

「じゃあ、みんな飲み終わったことだし、お部屋に帰りましょうか」

空いた牛瓶を番頭さんに返して、それぞれ男別にお部屋に戻るのだった。

そして、お部屋で夕食を取って、遊び疲れたを休めた。

そうしたら、次の日の朝だ。

焼き魚の朝食をいただいたら、アトリエに帰る時間。

「あっという間でしたね」

「また來たいなあ」

「ボクが飛んだらひとっ飛びだから、また來ればいいよ!」

口々に名殘惜しそうにするもの、あっけらかんとしている想が聞こえてくる。

「じゃあ、帰りましょうか!」

帰りも、ウーウェンの背中に乗って港町を後にする。

「また來ましょうね!」

「今度は別の場所もいいですね」

「山は? 山は?」

……うん、今回の安旅行は大功だったみたい!

みんなが、楽しそうに、そして名殘惜しそうにしていた。

またみんなでこよう!

私は心の中でそう誓うのだった。

いよいよ5巻発売目前、10/7です。

どうぞよろしくお願いします!

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