《お月様はいつも雨降り》第四銃八目
レン・コイズミの乗る東洋艦隊イージス艦は、艦隊を編する艦船とともに海中に出來た渦に呑み込まれようとしていた。
「出不能、周囲の海水ごと強力にへ引き込まれています、既に艦載機とともに空母二隻も所在不明」
「イツキ……人を人とも思わないその所業、実にお前らしいよ……」
レンは小學校の事故から今の世界に帰った後のイツキが変わってしまったことを思い出さずにはいられなかった。
大事故の生存者として、シャトルに取り殘されていたクラスの友人たちは重度の記憶障害になったボウとが発見できなかった二人を除き、俺たちは奇跡の生存者としてマスコミに注目された。
マスコミの記者たちは、俺たちには會わずとも家族の話などをそのままに雑誌やテレビの記事で異世界の出來事を垂れ流していた。
「異世界は本當に存在するのか」
オカルトがかったその容は宇宙人や恐竜など、あらぬ報さえミックスして、安っぽい夢語のように変わっていた。ヒロトやマサハル、カエデなどは自分たちの話していることとまるで違うと怒っていた。
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しかし、ある時を境にその報が流されることはなくなった。非常に強い報管制が敷かれたためであったと俺たちは聞いていた。
保護院している俺たちのところに、米國を中心とした國連職員が政府関係者と共に大挙して押し寄せた。
幅広い年齢の職員たちが俺たちに接するときは誰もが優しかった。俺も含め子供たちはその真摯な姿勢に魅かれ、あの世界での出來事を分かること全て彼らに伝えた。
犠牲者の兄であるイツキとボウを除いて。
表を失ったイツキは家族にもあの世界の出來事を一言も話すことはなかったと聞いている。
「君たちのこれからの生活は國連機関の管理下におかれる」
あの世界の報を話していた俺やマサハルなどは留學という名目で、強制的に米國の學校に転校させられた。
俺たちは々な國から集められた人數の學校で午前は授業、午後は治療という名目で検査の毎日であった。ジュンやワカナなどは毎日のようにうちに帰りたいと泣いていたが、俺たちはそれをなぐさめることしかできなかった。
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數か月に一度、家族は面會に訪れたが、俺たちを連れ帰ることはしなかった。俺の父の腕には金の腕時計が輝いていた。母親の著ている服も常に真新しいものばかりであった。
俺たち家族には協力治療費という名目の多額な支援金がもたらされていたと聞いたのは、ハイスクールを卒業した時のことであった。
俺たちは講義の中で、あの事故は地球の重力をコントロールすることにより半永久的に莫大なエネルギーを生み出すための実験棟の暴走により起こったものだということを知った
既に一九四三年に米國のペンシルべニア州フィラデルフィアで統一場理論による実験を行い、駆逐艦エルドリッジが數百キロ離れた場所にテレポートさせることに功していた。軍の公式記録では否定されているが、あえて民衆に真実を伝える必要はない。
この実験の類は、他の共産國でもステルス技やエネルギー技に応用しようと多數行われ、過程で多くの犠牲者や不明者を出していた。
俺たちの訪れていた施設では空間にある位置へ質點を異させる重力ポテンシャルにかかる実験中に起きたらしい。
時間の進みが異なる世界へのに落ちた。
これは今に始まったことではない。
主の時間に存在していた者たちが異なる時間に存在する者にある者たちは滅ぼされ、ある者たちは荒覇吐神のように客神、客人(まろうど)として祀られる。
その出來事が起こった場所が神域として今でも存在するのがその証。
その世界に住むものたちは未來ではなく、過去から創り上げられた世界。そこで人の形を保つことが出來なくなった殘った意思が元の魂のとして人形という道を選択していたとしたらと俺は曖昧な結論を導きだした。
俺たちの長かった生活は、『クトネシリカ』という古い敘事詩の言葉に名を模した組織の手引きによって突然終了した。
あのまま施設に殘されていたとしたら、俺たち全員が研究生という名の実験として扱われていたに違いない。
組織は俺たちに新しい戸籍を作し別人としての生活を用意してくれた。しかし、その組織の前は俺たちを巻き込む事故を起こした例の企業であった。
そのことを知ったマサハルやヒロトは協力に対し猛反対をしたが、その最高経営責任者が俺たちの前に姿を明らかにした時、俺たちは目を疑った。
モリワキ・イツキ
俺たちは彼からあのような未來の世界を生み出さない夢のような理想を語られた。
全てを聞いた俺たちは協力の道を選択した。
イレギュラーで開いたを閉ざすために、究極の報端末である人形や最新の武、俺たちは必死だった。
それが未來の人類を救うためと信じて。
俺たちは名前を変えるのを拒否した。
あの時の全員が揃って、あの時のままで戦うために……。
しばらく経った頃、俺は組織の活の中で、ある真実を知った。
そのを開けていた張本人は、イツキだった。
あいつの最終目的は俺たちの未來の理想を利用して、自分の復讐を遂げたいだけのつまらないモノであった。
人類に新たな恐怖心を與えることで、電子技や報はすべてあの組織の巨大な資金源となった。
それはそうだ、空間のゆがみを事前に予想するシステムなど、こちらが行っていることだからいくらでもコントロール可能だ。資金を生み出すために人の命を奪うことなど、その眼中にはない。
俺は極で接してきた第三國のエージェントにその報を売った。
しかし、お前は知っていたのだな、俺が裏切ったことを。いや、俺を試すためにわざと報をらしたのかもしれない。
ボウを迎えるミッション後に、気にっていたパートナーの人形に協力してもらい、お前の力の及ぶ範囲から俺は抜け出すことができた。
俺が神をも凌ぐその技と権力をもつお前に対抗するのには仕方のないことだ。
ジュンもそれは十分理解してくれている。
『クトネシリカ』……敘事詩の英雄の刀、それを持つ英雄が危機に瀕した時、刀に裝飾された竜や狼の神が霊力により悪を討ち果たす。
だが、イツキ……お前の英雄気取りはそこまでだ。
お前のルナは救い出せないが、それ以上にお前は多くの人命を奪っていった。
だから、俺は友人としてお前に最後の贈りを屆けるよ……お前をこれ以上、一人だけ罪人にさせないため……そして、俺も共に罪人に墜ちるための……俺たちは大切な友達だろ……。
ミサイル自管制システムは既に複數の核を積んだ弾道ミサイルが最終段階に突したことを警告した。ペトリオットなどの地対空導弾が一斉に発されたが、補足するまでの時間がなく、既に迎撃は不可能であった。
予想された最新の著弾地點は『クトネシリカ』本社と示された。
レンのは渦巻く日本海の黒い波の中に多くの艦艇もろとも消えていった。
- 連載中2632 章
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mixi・pixivで無駄文ライターを自稱している私が、 日頃mixiで公開している日記(無駄文と呼んでいます)を 小説家になろうでも掲載してみようと思い実行に移しました。 これは1日1本を目安に続けていこうと思います。 ご笑納くだされば幸いです。
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