《お月様はいつも雨降り》第四銃九目
月影人形『市松』はミサイルがあと數分で著弾するという報を、社屋の高層階で狙撃に勤しむマモルへ伝えた。
「ここに墜ちてくるんだな……」
「はい、他の人形たちとリンクさせ、阻止を試みています」
「ボウ様の人形が導弾をコントロールしてミサイルの推進裝置を上空で撃破、落下地點を海上にしようとしています、ただ、その演算に対しあまりにも時間がなく」
「すぐに手伝ってやればいい、マサハルの衛星はもうアメリカ上空だろ?ちょうど裏側なのでどうしたって間に合わない、こっちでやるしかないだろ」
マモルは攻撃ドローンを狙撃しながら市松に話した。
「それではご主人様のサポートが……」
「迷っている暇はないだろ、そいつが墮ちりゃ、この辺りは焼け野原だ、すぐに迎撃の演算を手助けしてやれ」
市松の心配そうな顔をマモルは笑顔で返した。
「どんな時でも友達は大切にするもんだ」
市松はマモルの表を見てし安心し、自分の演算能力をシャンに同期させた。
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大広間でミサイル発の事実を捉えたのはシャンであった。シャンのすべての能力は重い枷が外れたように敏になっていた。
「上様、核付きの巡航弾道ミサイルを出する信號を摑んだ、じゃが、もう発する側での阻止はできぬな」
ジュンとイツキを除いた者たちは皆、驚愕した。
「シャン、どうする?」
「そうじゃのう、地対空導弾のシステムをハックして、わしがぶち當てるかのぅ」
「できるの?」
「やるしかないじゃろ、お前たち、わしにその頭脳を貸せ、特に『リグ』、お前は命令されていたとはいえ、この始末をつけなければならない、『ラグ』お前も実はうすうす、こやつの企みに勘付いていたのじゃろ」
破損して床に座る『リグ』の上半を支える『ラグ』は小さく頷いた。
「おやおや皆さま、本當にしょうがありませんね、他の人形たちにもわたくしがすぐに依頼しましょう、どうして、人類は平和的に事を解決できないのでしょうかね」
カエデにつかえる執事姿の人形は、からのそのそと姿を現した。
「シャン、頼むぞ」
「おう、上様の頼みとあらばな」
シャンはその場に立ったまま天を仰いだ。
能登半島に配備されていた迎撃ミサイルの殘された一基は、システムが不調で発することが出來なかった。
管理していた自衛隊員らは自らの取り返しのつかない失態に頭を抱えた。
「目標はディプレスト軌道、もう間に合わない」
「システム、未だ再起をけれません」
「どうなっているんだ、なぜ、発できないんだ!」
困する自衛隊員がコントロールシステム裝置の前で絶した瞬間、急に発システムがき出し、方向や出角度の微調整を始めた。
「き出した?」
迎撃ミサイル出までのカウンターがいきなり五秒前から作し始めた。
「どこが発命令を出しているのだ!」
將の怒鳴り聲が響く中、迎撃ミサイルが誰も手を出すことなく出された。
シャンはレーダーで捕捉されたこちらに飛翔するミサイルの位置をより正確に修正した。
「補足はパーフェクトじゃ!上様、すぐに大きな花火が打ちあがる……いや、ちと違う、撃ち下がるのかな」
巨大なキノコ雲が能登半島沖に立ち、日本海沿岸一帯に中規模の高波をもたらせた。
「シャン!」
アキツは、仁王立ちで得意げな表をしたシャンを床から持ち上げ抱きしめた。
「わしは上様に頼まれたからしたまでのことじゃ、でも、嬉しいというは本當に気持ちいいものじゃな、」
シャンが照れくさそうにしながら頬を赤らめる橫で、レンの最後の使命を遂げることのできなかったジュンは涙を流したまま床に伏した。
最上階で、シャンの演算に協力していた人形の『市松』は、迎撃の功をマモルに伝えようと意識を戻し、一人撃を続けていたマモルに駆け寄ろうとした。
「ご主人様、迎撃に功しました!」
マモルは爽やかな笑顔で市松の方を振り向いた瞬間、攻撃ドローンの放った銃弾がマモルの側頭部を貫いた。
マモルのは隣の柱に小石のようにぶつかり、柱に赤いの筋を縦に長く描いた。
「あぁ……」
市松の悲鳴に似た信號が他の人形たちに伝搬した。
シャンは何とか耐えたが、リグやラグ、執事姿の人形は誰かに伝えるでもなく奇妙な言葉を早口でまくし立てている。
「人の、その數十倍以上の人形たちのがこの場所に焦點化するとき、より、巨大な力がそのを開く……」
イツキはの流れる腕を押さえながら嬉しそうに笑った。
金屬のこすり合うような耳にする人にとって不快な音が大地の震と共鳴し始める。
それは今までに起こったことのないほどの空間の揺れも伴っていた。
「ルナ……雙子のわたしには伝わっていたよ……苦しかったその時間ももうすぐ終わる」
「イツキ!止めて!」
カエデがんだ。
しかし、その願いもむなしく天使のラッパが周辺の時間と空間に高らかに鳴り響いた。
note+ノベルバ+アルファポリス+電子書籍でエッセイ、小説を収益化しつつ小説家を目指す日記
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