《無職転生 - 蛇足編 -》22 「ニナ・ブリッツ」

その日、ルーデウス一行は剣の聖地に一泊する流れとなった。

本道場に一室を與えられ、そこで一晩を過ごすのだ。

だが、エリスだけはニナの家に呼ばれた。

ルーデウスたちと一緒に宿に泊まるつもりだったが、ニナに是非と頼まれたのだ。

ニナの家。

すなわちジノ・ブリッツの家である。

エリスがルーデウスに一人で泊まることを伝えると、彼は心配すると同時に、やんわりと反対してきた。

剣聖たちの態度を見てのことだ。

剣聖は、ガルを殺されたことで、かなり殺気立っていた。

ルーデウスは、その殺気に當てられたのだろう。

だが、エリスの知る限り、剣の聖地は、昔からこんなものだった。

基本的に剣士のほとんどは、強くなりたいというより、強く思われたいのだ。

とはいえ、道場の外で格上の相手に奇襲を掛けるほど気概の強い者はいない。

そんなのは、昔のエリスぐらいのものだろう。

ともあれ、エリスはルーデウスたちを宿に殘し、一人でブリッツ邸へとやってきた。

道場からし離れた場所にある、剣神の名に似つかわしくない、小さな家だ。

「さ、どうぞ、って。ジノは今の時間は修行してるから、まだ帰ってこないわ」

「お、お邪魔します」

エリスは張しながら玄関を潛った。

思えば、エリスにとって生まれて初めてかもしれない。

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友人の家に遊びにいくというのは。

アスラ王國の首都に住むイゾルテとは、アスラ王國に行く度に會う。

だが、家に遊びにいったことはない。

隣接する道場ならあるが、あれを『家に遊びにいく』と言うのはちょっと違うだろう。

「おかえりなさーい!」

張するエリスを出迎えたのは、元気な聲だ。

ドタドタという音と同時に家の奧から出てきたのは、二人の子供だ。

「お母さん! おかえりなさい!」

「おかえーなさい!」

片方は元気な男の子。右手に木剣を持ち、顔には満面の笑みだ。

もう片方はの子。こっちはまだまだく、男の子を追いかけるようにトテトテと駆けてくる。

二人は玄関まで走ってくると、エリスの姿を見てギョっとした顔で立ち止まった。

「息子のネルと、娘のジルよ。二人とも、彼はエリス。お母さんのお友達よ」

「エ、エリスよ。よろしく」

ニナに友人と紹介され、エリスは口をへの字に結んだまま頭を下げた。

二人はエリスという名前を見ると、目を丸くした。

「赤い髪! もしかして、狂剣王エリス!?」

「あかーかみ!」

ネルはその名を聞いて驚きを隠せなかった。

ジルはよくわからなかったので、とりあえず復唱したじだ。

だが、よくわからないなりに、気になるものはあったようだ。キラキラとした目で、エリスに近づいてきた。

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赤い髪が珍しいのだろう。

ジルがエリスのウェーブがかった髪に手をばす。

が、その前にニナに抱き上げられた。

「こーら」

「あー、まっかー!」

ジルは不満気な聲を上げて、ジタバタと暴れた。

そんなジルを見て、ネルが慌てた様子で、聲を上げた。

「ジルだめだぞ! 狂剣王だぞ! ったら食べられちゃうんだぞ!」

「がぶー?」

ジルは怯えた目でエリスを見た。

それを見て、エリスはフッと笑った。

なんとなく、二人の関係が、數年前のアルスとジークに似ていたからだ。

「食べたりなんかしないわ」

「……そう言って油斷させて食べる気なんでしょ?」

そう言ったのはニナだ。

懐疑的な目を向けられ、エリスはムッと口をへの字に結んだ。

その顔を見たニナは相好を崩し、ジルを差し出した。

「冗談よ。抱いてみる?」

「ええ」

エリスはニナからジルをけ取る。

ジルは怯えた様子だったが、エリスの手つきが己の母親より慣れていることを察したのか、すぐにごきげんになった。

赤い髪を摑み、「あかいの、きれー!」と嬉しそうに笑って口に含んだ。

「あ、こら、ジル。食べちゃだめ!」

「……うー」

ニナに怒られ、ジルはすぐに口を離した。

が赤いとはいえ、髪なのだから、味しいわけもない。

だが、時すでに遅くエリスの髪はベタベタだ。

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「私の方が食べられちゃったわね」

エリスは笑いながらそう言って、ジルの頭をでた。

その様子を、ニナは意外そうに見ていた。

あのエリスが、と。

いや、アスラ王國に行った時に、一度は目撃していた。

ももはや母親で、こういった振る舞いはできるのだ。

味しくないのわかったら、もう食べちゃダメよ?」

「うん」

エリスがジルを下ろすと、ジルはぴょんぴょんと飛び跳ねながら、家の奧へと駆けていった。

「ネル・ブリッツです!」

と、そこでれ替わるようにネルが出てきた。

彼は片膝をついて、禮をした。

「狂剣王様! 本なんですよね! お目にかかれて栄です!」

「……エリス・グレイラットよ。頭なんて下げなくてもいいわ」

「いいえ! あの! あの! 俺、ずっと前から……」

目をキラキラさせながらエリスを見上げるネル。

わくわくとした表で、何かを口にしようとする。

「はいはい、そこまで。ネル。いつまでエリスを玄関に引き止めておくの? せめて夕食の後にしなさい」

と、そこでニナが水を差した。

はネルの頭にポンと手を置くと、やや強めの力でがしがしとでた。

「はーい……」

ネルは不満気な顔で、うつむいた。

もっと話を聞きたい。出來るなら、稽古とかもつけてもらいたい。

だが、きっと母はダメというのだろう。

いつもそうだった。

剣の聖地に、名のある剣士がきても、ネルに會わせてはくれないのだ。

不満気なネルを目に、エリスは家の中へとわれた。

---

「みんな変わったわね」

夕食を終えて、エリスはリビングでくつろぎながら、ニナと語らっていた。

ジノの姿は無い。

彼は夕食の後、子供たちと一緒に部屋へと行ってしまった。

子供の笑い聲が聞こえてくる所をみると、一緒に遊んでいるのだろう。

「こんな風になってるなんて、思ってもみなかったわ」

ニナとエリスとジノ。

三人の中で一歩劣っていたのがジノだった。

いつも不貞腐れたような顔で剣を振り、剣神の言葉にもうまく答えられなかったジノ。

そんな彼が、今やニナを妻とし、エリスを一撃で倒す境地に至っている。

その事実に、エリスは驚きを隠せなかった。

ガルからは聞いていたが、実際に見てみると、本當に人が変わったようだった。

「あなた。道場では剣もとらなかった」

ニナもニナだ。

あれだけ強くなるのに必死だったのに。

道場ではエリスを見ているだけ、それどころか、ジノに好き勝手にやらせている。

昔のニナからは考えられない。

「もう、いるのよ、次の子供が」

ニナはそう言ってお腹をでた。

外からはわかりにくいが、確かに、しだけ膨らんでいるのがわかる。

「ジノに剣帝と名乗れ、なんて言われたけど、多分、もう引退ね」

「あなた、それで満足なの?」

自嘲げに笑うニナに対し、咄嗟にエリスはそう聞いた。

ニナは視線を落としながらも、しかし満足気な表をしていた。

「ええ……満足よ。

もうちょっと剣を続けていたかったって気持ちはあるわ。

でも、何かしらね。不思議と、心殘りはないの。

私の剣は、ジノに負けた時に、終わったのかもね」

「負けたの?」

「ええ、ジノが剣神に挑む前に、僕が勝ったら、僕のものになってくれって。それで本気で戦って、負けたわ」

「素敵なプロポーズね」

「でしょう?」

ニナは當時のことを思い出し、フフッと笑った。

あの日まで、ニナは世界で一番強い剣士、すなわち剣神になりたいと思っていた。

だが、それが一瞬にして消えた。

それほどまでに、ジノは強かった。

今までの努力をあざ笑うかのように、ニナを一撃で仕留めたのだ。

晝間のエリスと同じように……。

あるいは、ジノでなければ。

小さいころから子分のように扱っていたなじみでなければ、違ったかもしれない。

エリスに負けた時と同じように、起して、涙を流しつつも剣に打ち込んだかもしれない。

だが、相手はジノだった。

ジノは、自分と結婚するために強くなったのだ。

そして自分を倒し、その足で剣神ガル・ファリオンの元へと行き、勝利した。

剣神の稱號を引っさげて戻ってきたジノは、ニナのを強引に奪い、そのまま押し倒した。

あの日、ニナはジノのものになったのだ。

心も、も。

ニナは、剣神になるというのが、並大抵の努力では不可能だと知っている。

努力だけでも、才能だけでも不可能だ。

あるいはその両方を持っていても、屆かないものかもしれない。

それまでもジノは、ニナに引っ張られるように、ニナと同じぐらいの努力をしていた。

そうした下地があった上で、ニナ以上の、反吐を吐くような努力をして。

ジノは、到達したのだ。

剣神という境地に。

ほんの一握りしか到達し得ない場所に。

だからニナは、ジノが「相応の報い」をけるべきだとも思っている。

相応の報いをガル・ファリオン風に言うと「好き勝手」だ。

剣神は、好き勝手していいのだ。

だから、ジノが今日のような態度を取っても、何も言わない。

思う所も、言いたいこともあるし、自分が言えばジノは聞いてくれるだろう。

でも、それをするとジノがいきなり弱くなってしまうような錯覚すらあった。

自分の憧れた存在になった者の邪魔をすることは、ニナには出來なかった。

ともあれ、ニナは剣を捨て、次のことに打ち込むことにしたのだ。

子育てである。

それで満足だった。

「エリスこそ、今で満足?」

「満足よ」

「奧さんが他に二人いるのに?」

「別に、普通のことだわ。お父様はお母様しか妻にしなかったけど、お祖父様は何人も手を出していたもの。ルーデウスのお父さんだって、妻は二人いたわ」

「私はミリス教徒じゃないけど……複數人なんて考えられないわ」

無論、エリスとて不満に思うことはある。

もし、ルーデウスの妻が自分だけだったら、と考えたことも。

きっと幸せだろう。

でも、誰にも邪魔されず、朝から晩までふたりきりなのだ。

『今のグレイラット家』と比べて考えると、どうだろう。

シルフィやロキシーがいない家。

となれば、ルーシーやララ、ジークにリリもいないだろう。

その代わり、エリスとの間の子供はもっと増えていたかもしれないが……今以上の子供など、想像できようはずもない。

そう、今を知るがゆえ、足りなさをじてしまうのだ。

一日のトレーニングを終えて、汗びっしょりになった時にタオルを渡してくれたり。

汗を流すべく風呂にろうとすると、ついでにれてと泥だらけのララを押し付けられたり。

子供を洗って出てくると、新品の下著と服が用意してあったり。

ベタベタとうっとおしくもなく、気兼ねなく仕事を押し付けられたりもする、丁度いい距離

シルフィとロキシー。

今の生活から二人を抜いて考えるのは、エリスには難しかった。

そもそも、今は充実はしているのだ。

子供たちの長を見ているのは楽しいし、やりがいもある。

もうししたら、もっと本格的に剣を教えるだろう。

ルーシーは魔に行き、ララはまだボンヤリとしているが、アルスはきっと剣だ。

どんな風に教えるか、どんな風に長するか。

そんな事を考えているだけでも、幸福があった。

「エリス、あなたも変わったわね」

「そうね」

「昔のあなたなら、子供なんて蹴り飛ばしてたわ」

「失禮ね、蹴ったりなんかしないわよ」

「昔は子供みたいだったけど、今は子供をちゃんと見てる」

「二人も産んだもの」

「三人目は?」

「子供はもう十分だわ」

「あっちの方も?」

ニナがそう聞くと、エリスの顔に朱が差した。

「……あ、あっちの方はもっとしいわね」

それがエリスの正直な気持ちだった。

ただ、妊娠期間中の、あの重くて不自由な覚は、どうにも好きにはなれない。

「なんにせよ、今のエリスは、付き合いやすいわ」

「私も、今のニナの方がいいわね。昔はなんか、面倒だったわ」

「そうでしょうね」

昔のニナは尖っていた。

自分が一番だと思っていたし、下の人間をどうにかしてもいいと思っていた。

その思い上がりが完全に消えたのは、エリスと接したからというのもあるが、ジノとの結婚も大きいだろう。

「……あ、そういえば、イゾルテも結婚したのよ。聞いた?」

ふとエリスは、もう一人のことを思い出した。

イゾルテ・クルーエル。

現在は水神レイダと名乗り、水神流のトップに立つ

「ええ、結婚式をするって手紙が來たわ。妊娠してたから行けなかったけど」

「じゃあ、子供を産んだってのは?」

「初耳。男の子? の子?」

の子。水神として、そう多くの子供は産めないから、跡取りを産めなくて殘念って嘆いてたわ」

「大変ね。でも、相手の人は北帝なのよね? の子だったら怒ったり殘念がったりしたんじゃない?」

「ドーガはそんなこと言わないわ。いい奴だもの」

エリスはそう言いつつ記憶をたどる。

思い返せば、イゾルテとドーガの結婚について、一番言いをつけたのはルーデウスかもしれない。

ルーデウスはドーガに対して強い信頼を持っている。

ビヘイリル王國の戦いでは、命の危機を助けてもらったからだ。

命の恩人。

素樸で正直者で騙されやすそうなドーガ。

そんなドーガが面食いのイゾルテと結婚すると聞いたルーデウスは、「金目的では?」とか「浮気をするのでは?」と、隠れて辺調査を行ったぐらいだ。

一応、イゾルテにも助けてもらったのに……。

ともあれ、それほどルーデウスに信頼される素樸なドーガが、自分の娘を殘念に思うはずもない。

前にエリスが見た時は、母親似の娘を肩に乗っけて、ニコニコしていた。

掃除洗濯に子供の世話まで、率先して行っているそうだ。

基本的に家のことはあまりやらないエリスですら「イゾルテも何かやったほうがいいんじゃないの?」と言ったぐらいである。

その際、気まずそうに目をそらし「彼、私より上手だし……」と呟いたイゾルテを忘れられない。

「今度は、私達の子供が、お互いに高め合う仲になればいいわね」

ニナの言葉に、エリスもうなずいた。

「そうね。なんなら、魔法大學に留學させるといいわ」

「面白そうね。でも、留學なんてジノが許さないわ。あの人、自分のするものを、ずっと自分の傍においておきたいタイプだもの」

「それじゃ、子供たちは一生、剣の聖地から出られないわね」

「その時がきたら、きっと勝手に出て行くわ」

エリスとの會話に、ニナはクスッと笑った。

本當に、昔のエリスからは考えられない會話だ。

「ん?」

エリスはふと気配をじて振り返った。

リビングへのり口、そこには、一人の年がいた。

ネルである。

彼の手には、一冊の本が握られていた。

彼はエリスと目があうと、意を決したようにツカツカと歩いてきた。

「あの! 狂剣王様!」

「……なに?」

「こ……これの人と、知り合いなんですよね!?」

そういって差し出してきた本のタイトルは『スペルド族の冒険』。

エリスもよく知っている本だ。

ノルンが書き、ルーデウスが本にし、ザノバやアイシャが売っているものだ。

「ルイジェルドのこと? それともノルン?」

「ノルン……って、作者さんとも知り合いなんですか!? あ、でもそっか、苗字が一緒だから……!」

「ノルンは私の義妹よ。ルーデウスの妹ね」

「列強第七位『泥沼』のルーデウスですね! またの名を、龍神の右腕『魔導王』ルーデウス!」

「そうよ。よく知ってるわね」

「お母さんに、スペルド族のこととか、エリスさんのこととか聞いてて!

遊詩人とかからも、泥沼の話とか、狂剣王の話も聞いてて!

すごいなって、一度でいいから會ってみたいって思ってたんです!」

ネルはキラキラとした目でエリスを見上げ、そう言い放った。

エリスは年にとって、遊詩人によって語られる、語の登場人だ。

すなわち、伝説の存在であった。

父親のジノと違い、彼は『外の世界』に興味津々だった。

いずれは自分も外の世界へと出ていき、遊詩人に語られるような存在になりたい。

それが、彼の將來の夢である。

「そう、それは栄ね」

エリスは口元がニヤけるのをじた。

が、目の前の年の夢を壊すまいと、顔を引き締めたまま、神妙に頷いた。

でイメージしていたのは、すまし顔のロキシーである。

「ルーデウスもオルステッドも、來てるから、帰る前に會っていくといいわ。あと北神カールマン三世もいるわよ」

「いいんですか!?」

ネルは飛び上がるようにエリスを見上げた。

列強七位と、列強二位。

そして北神英雄譚で有名なカールマン。

のような強さを持つ自分の父と同じか、それ以上の存在。

もはやこんななんでもない日に、そんな存在と出會うという夢が葉うとは、思ってもみなかったのだ。

「あの……」

ネルはそこで、本を後ろに隠し、もじもじと膝をすりあわせた。

「狂剣王様は、世界中を回ったことがあるんですよね?」

「ええ、魔大陸からミリス大陸、中央大陸の端っこまでね。天大陸とベガリット大陸は行ったことないわ」

「冒険の話とか……聞かせてもらいたいんですけど、いいですか?」

「私の? ルーデウスのじゃなくて?」

「はい、狂剣王様の話のがいいです!」

エリスは口元をニヤけさせながら頷いた。

思えば、昔はそういう話を聞くのが好きだった。

よくギレーヌにねだって、冒険の話を聞いた。

だがまさか、自分が話す側になろうとは、思ってもみなかった。

いや、アルスやジークにねだられて、お話をすることはよくある。

今だって、ジークはよくエリスの昔話を聞く。

だが、それとはなんだかし違う覚だ。

それは母親ではなく、英雄として扱われているからである。

が、エリスにはわからない。

ただ、ちょっと気分が良かった。

「そうね……じゃあ、魔大陸に転移した話をしてあげるわ」

嬉々として昔の話を始めるエリス。

それを見て、ニナも口元に笑みが浮かぶのをじた。

「ほんと、変わった……」

自分は変わり、エリスも変わった。

互いに高め合う仲、とはお世辭にも言えなくなった。

だがむしろ、エリスとの距離は近くなったようにじていた。

最初に會った頃は、仲良くなど絶対に出來ないと思っていた。

エリスが剣王となり剣の聖地から出て行った時も、ある種の尊敬はしていたものの、親友と言うには首をかしげる間柄であった。

だが、今は違う。

尊敬の念はなくなったが、それでも、かつてはじなかった何かをじる。

しばらく會っていないが、もしかするとイゾルテと會っても、そうじるかもしれない。

い頃からの友人らしい友人がほとんどいないニナにとっては、珍しい覚だった。

「エリス」

「――そしたらルイジェルドが、いきなりそのペット拐犯を殺して……なに?」

「今度、子供を連れてイゾルテの所に遊びに行きましょ?」

そう言うと、エリスは目をパチクリとさせたのち、こくりと頷いた。

「わかったわ」

ジノは剣神になり、変わってしまった。

剣神があの様子では、剣の聖地もこれからどんどん変わっていくだろう。

今の狀況は、長続きしないはずだ。

ジノも、案外あっさり、他の誰かに倒されてしまうかもしれない。

それは、剣士として生きるものの定めだ。

剣士とは、不安定な生きなのだ。

でも、きっとこの友は長続きするだろう。

自分ははもう、剣士ではないのだから。

ニナはそう思うのだった。

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