《無職転生 - 蛇足編 -》26 「たこ焼き」
私の名前は七星。
七星靜香。
別の世界からこの世界にやってきた子高生。いわゆるトリッパーだ。
現在は、來るべき日に備えて、ペルギウスの居城で時間を飛ばしつつ生活している。
はっきり言って、食っちゃ寢の生活だ。
最近はし太ってきたため、し運もしている。
ジョギングと、ストレッチ。
その他、シルヴァリルの指導をけて、格闘の訓練などもするようになってきた。
まあ、あまり才能ないらしいけど。
さて。
今日もまた、目覚めてから運をして、シルヴァリルに駄目だしをされた。
相手を毆る時は敵意や殺意をぶつけろ、とか。
あくまでダイエットでやっている私には、出來るはずも無し。
脂肪を燃焼させることしか頭にない。
とはいえ、運の効果というのは素晴らしいものだ。
一通りの日課を終えると、お腹はすっからかん。
グーグーと小気味の良い音を鳴らして、幸せな時間を要求してくる。
さて、今日は誰が來てくれただろうか。
何か持ってきてくれただろうか。
そう思いつつ部屋へと戻る。
すると、そこにいたのはルーデウスだった。
最近、彼の姿を見ると、ほっとする時がある。
さらに、ツンと香ばしいソースの匂いと、ふわりとした鰹節の香りが漂ってきた。
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見ると、テーブルの上には褐の球が山と盛られていた。
どうやら、たこ焼きらしい。
そうと分かると、口の中いっぱいに唾が溜まった。
「ごくり」
唾を飲み込みつつ、席につく。
はやく食べたい。
「おはよう」
「……ああ……おはよう……ナナホシ」
だがさて、ルーデウスが來てくれるとほっとするのだが、一つ殘念なことがある。
彼は時折、私に相談事を持ってくるのだ。
家でこんなことがあった、どうしよう、と。
もちろん、私も世話になっているだ。
出來る限り考えて、自分の考えを言う。何かの參考になればと思って。
だが、時に、とんでもなく重い話が混ざってくる。
そういう話の時にルーデウスは、死にそうな顔をして、死にそうな聲で挨拶をしてくる。今日のように。
さらに言えば、今日のルーデウスはテーブルに突っ伏していて、今にも死にそうだ。
今日は間違いなく、重い話がくる。
彼はのろのろとを起こすと、笑顔を作った。
「今日は、たこ焼きを作ってきたよ。ソースにマヨネーズ、鰹節の原材料は鰹じゃないけど、それっぽい匂いはしてるだろ? 中にってるタコは毒々しいだけど、実際に毒は無いから安心してくれ」
「……ありがとう。と、とても、味しそうね」
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「まあ、食べてくれよ。なかなかよく出來たんだ」
重い話が來る前に味わってしまおう。
そう思い、私は爪楊枝の刺さっているたこ焼きを一つ、口に運んだ。
作りたてではあるが、それでもし時間が経っているのだろう、熱々だが火傷するレベルではない。
香ばしく、ししょっぱいソースに、甘いマヨネーズ。
もちっとした外側を噛みちぎると、中からとろりとしたものが溢れでて、口中一杯に味が広がった。
味しい。
思わず二口目を口に運ぶ。
すると、とろりとした本の中に、コリッとした食があった。
タコだ。
私はタコの味をじ取れるほど繊細な舌を持っているわけではないが、しかしタコがあるのと無いのとでは、大きく違う。
タコなんて食べたのは久しぶりだ。10年ぶりぐらいじゃなかろうか。
なくとも、この世界に転移してからは一度も食べていない。
「ほふっ」
口いっぱいに頬張ったせいか、口からそんな音がれた。
息が鼻を通って出て行く時、ほのかにネギと紅しょうがらしき香りが殘った。
それが食を増進させ、次のたこ焼きに手がびる。
「うまいか?」
「味しい」
「そっか」
ルーデウスは自分でもつまみながら、たこ焼きを食べ続ける私を見ていた。
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食べられるのを見られるのは恥ずかしいが……でも手が止まらない。
それにしてもこのたこ焼き、懐かしい味がする。
なんというか、安っぽいのだ。
外がカリッとしているわけでもなく、恐らく山芋や天かすがっているわけでもない。
でも、懐かしい。
あ、そうか。これ、スーパーのフードコートで、お母さんにねだって買ってもらって食べた味だ。
縁日で食べた味だ。
決して、ほっぺたが落ちるほど味しいってわけじゃない。でもほんの數年前には、こんなものが食べられるとは思っていなかった。
もう二度と、食べられないと思ったこともある。
泣きそうだ。
「なあ、ナナホシ。食べながら聞いてくれればいいんだけど……」
あ。
「実は相談があるんだ」
ほらきた。
「……何?」
正直、聞きたくはない。
ルーデウスの持ってくる話は、私にとっては重すぎる。
私もこの世界に來て長いが、元の世界ではただの子高生でしかなかった。
家族関係の重い話をされても、ロクな返答は出來ない。
「実は……ルーシーが……」
ルーシー。
ルーデウスの長。
子どもたちの中で一番のしっかり者で、優秀な子だ。
そのルーシーが、一どうしたというのだろうか。
まさか、弟に手を出したとかじゃあるまい。
アイシャとアルスの件はすでに解決したということだが……。
重い話は、もう勘弁だ。
「こないだ、クライブ君を連れてきて、この人と結婚しますって言ったんだ」
クライブ君。
は、確かクリフの息子だったはず。
ルーシーにとっては、なじみだ。
確か、ミリスの方に引っ越したと聞いている。
今、何歳だったか。
「……ごめん、ルーシーちゃんって、今何歳?」
「18」
「クライブ君は?」
「16」
ああ、もう二人ともそんな歳なのか。
この間聞いた時は14歳だったはずだが……。
私がこういう生活をしているせいもあるが、時間が流れるのが早い。
確かこの世界では、15歳から人だ。
あの小さかった子も、知らないうちに立派な大人になったのだ。
ていうか、ルーシーちゃんはもう私より年上だ。この世界で過ごした年數を加算しなければの話だが。
いや……でも、ん?
「確か前に、ルーシーちゃんとクライブ君、付き合ってたって聞いたけど」
「うん」
引っ越ししたと聞いていたけど、でも流が続いていて、再會して結婚なら、別に変なことじゃないだろう。
ルーデウスが知らなかっただけで、當人同士では決めていたのかもしれないし。
なら、クライブ君側に問題が?
「じゃあ、クライブ君が定職についていないとか?」
「いや、ミリス教団の神父になったって。績も優秀で、ルーシーと付き合ってた頃も節度を持ってたし、立派なことだよ」
「……何が問題なの?」
私が知らないうちに、クリフやエリナリーゼと大げんかしたとか?
それなら、仲裁ぐらいは出來ると思うけど。
「いや、問題っていうか、なんか、俺だけ知らなくてさ」
「何を?」
「ルーシーの結婚についてさ……シルフィとかロキシーとかはもちろん、エリスにもちゃんと相談してたみたいなんだよ。でも俺には何も知らされてなくて、こないだ、イキナリでさ」
「それ、普通じゃないの? 父親への挨拶って、そういうものでしょ?」
私だって、きっとそうするだろう。
誰かと付き合っていることを、わざわざ親に報告したりはしない。
隠すこともないだろうけど、でも結婚するとはっきり決めるまでは、報告らしい報告はしないと思う。
「そういうものかな?」
「そういうものよ」
「じゃあ、それはいいんだけどさ……結婚するって言ってクライブ君を連れてきた時、俺、張り切ってクライブ君に今後の展とかさ、將來の目標とかさ、々聞いたんだよ。その答え聞いてさ、まだまだ考え方とか若いけど、しっかりしてるな、現実が見えてるな、クリフ先輩に似たんだなって心してたらさ、いきなりルーシーがぼそっと言ったんだよ。「パパから見れば、大したことなく見えるかもしれませんけど」って。冗談で言ったにしては、な~んか棘があるというか、不貞腐れてるようにじてさ、そんなこと思ってないのに……もしかして俺、ルーシーに嫌われてたのかな……」
ルーデウスは今にも泣き出しそうな顔をしていた。
もういい大人だというのに、なんでこんなけないのだろうか。
子供関係に関しては、數年前から、かなり自信がなさそうにしてるけど……。
「だから、ちゃんと子供と話しておけって言われるのよ」
「話してたさ。ちゃんと。うん……そのつもりだったけど……子どもたち、俺と話す時、なんか敬語で、固っ苦しくてさ……ララとクリスは別なんだけど……」
「ああ……」
こうして私と接しているとそうは見えないが、彼は家の中では厳格な父親で通っているみたいだ。
そうなると、子どもたちも萎するのだろう。
私の家はそうではなかったが、私の友人の家はそんなじで、父親には何も言えないと愚癡っていた。
考えてみると、私も中學の終わりぐらいから、お父さんとはあまり本音で話していなかったように思う。
別に、理由があったわけじゃないと思う。
ただの思春期だったのだ。
こっちは15歳から人だが、思春期は同じぐらいに來るのだろう。何もおかしくはない。
「なあ、ナナホシ、どうすればいいかな?」
「……今、私に言ったこと、そのままルーシーちゃんに伝えればいいと思う。クライブ君はちゃんと現実が見えてるいい子だって、幸せになりなさいって」
私の知る限り、ルーシーはルーデウスのことは嫌いではなかった。
むしろ、ルーデウスに期待してもらえるように、頑張っていたはずだ。
もちろん、何年も會っていないから、変わってしまったかもしれないけど。
「ああ、なるほど。うん。でもどうやって話しかけよう……やっぱお風呂かな?」
「お風呂って、冗談よね? 本気?」
「冗談です。ごめんなさい」
「食事時とか……いや、二人を食事にって、三人で話すのがいいんじゃない? そこで、ルーシーちゃんのいい所をちゃんと挙げて、自慢の娘だから、不幸にしたら承知しないぞって、クライブ君に言うのがいいんじゃない? 悪い點を挙げて、こんな娘だけどよろしく頼む、でもいいと思うけど」
「うん。そうだな、そうするよ。でもあんまり悪い點は言わない方がいいんじゃないか?」
「…………良い點も悪い點も、言ってあげた方がいいと思う。こういう時は、ちゃんとありのままを伝えないと。変にお世辭とか言っても、わかっちゃうと思う」
「わかった」
ルーデウスは、なんだか救われたような顔をしていた。
今回は、なんとか力になれたようだ。
結果がどうなるかわからないけど。
それにしても、なんで私はこんな、自分が経験してもいないことを、堂々と言ってるのだろうか。
自分が結婚する時、お父さんにそう言ってもらいたいのだろうか……。
……お父さんか。
どうしてるかな……心配してるだろうな……。
「あ、どんどん食べてくれ」
「はい」
ひとまず、それで辛気臭い話は終わったらしい。
ルーデウスも一緒になって、たこ焼きに手をばし始めた。
うん。
帰ったらたこ焼き、絶対食べよう。
できたら、お父さんと。
「ほう、今日は珍しいものを食っているな」
そんな事を思っていると、一人の男がテーブルについた。
白をベースにした豪華な裝にを包んだ、銀髪の男。
ペルギウスだ。
背後には、シルヴァリルの姿もある。
彼は、ルーデウスが何か料理を持ってくると、こうして現れる。
食家で蕓家の彼は、新しい料理に目が無いのだ。
「我も貰おうか」
「どうぞどうぞ」
ルーデウスがにこやかな顔でたこ焼きを薦めた。
ペルギウスはシルヴァリルが差し出したフォークをけ取ると、たこ焼きを一つ、頬張った。
「ほう……なるほど、安い味だな」
「庶民の味ですので」
「しかし、悪くないぞ……む、なんだ、骨のようなものがっているな。なんだこれは?」
あっ。
ペルギウス様、タコってどうなんだろう。
この世界でタコを食べるのって、あまり聞いたことない。
元の世界でも、西洋の人はタコを食べる人ってあまりいないって聞くし、そんなの食べさせられたと知ったら、怒るんじゃ……。
「グレートテンタクルです」
ルーデウスはあっさりとそう言った。
「グレート……テンタクル……だと?」
ペルギウスのきが止まる。
テーブルの上に盛られたたこ焼きを、凝視し、表が固くなる。
それを見てか、シルヴァリルの方も気配が変わった。
ペルギウス様になんてものを食べさせたのだ、という顔だ。
いや、食べると言い出したのは、ペルギウスなのだけど……。
「懐かしい名を聞いた」
しかし、ペルギウスはフッと表を和らげた。
懐かしそうに目を細め、フォークで用にたこ焼きを割り、中のものを取り出した。
うわ、見なきゃよかった。
緑だ。緑のタコだ。表面が赤で、切り口の部分が緑なのだ。
「確か、ラプラス戦役の最中、海を渡る時にグレートテンタクルに襲われて、その襲撃で食料が全滅したから、甲板に殘った手を焼いて食べたんですよね」
「ああ。ウルペンが言い出してな。このだ、絶対に毒があると思ったが、意外にも毒もなく、戦いの直後ということもあって、なかなかに味だった……だがそうか、また食べられるとはな」
ああ、どうやら大丈夫だったようだ。
ルーデウスは、かつてペルギウスがタコを食べたことがあると知っていたのだ。
いつしか、シルヴァリルの気配も平然としたものに戻っていた。
「シルヴァリル」
「はっ!」
「レシピを控えておけ」
「かしこまりました!」
ルーデウスは「そう仰ると思って」と言わんばかりに懐から紙切れを一枚、取り出して彼に渡した。
「今回はもちふわで作ってもらいましたが、外側をカリッと仕上げる手法も書いておきましたので、參考にどうぞ」
カリとろのたこ焼き。
あ、それ私も食べたい。
どうしよう、頼もうかな。
でも、頼むのもちょっと。なんか注文つけてるみたいで嫌だし……。
「ナナホシには、また次回にでも持ってくるよ」
「……ええ、お願い」
心を読む魔でも習得したのだろうか。
いや、心が読めるなら、娘のことで悩んだりはすまい。
私がわかりやすいのだろう。
まあ、付き合いも長くなったし、仕方ないのかもしれない。
しかし、し悔しい。
「ふん……シルヴァリル」
「はっ!」
「が乾いた。飲みを用意しろ。シオーヌのセカンドフラッシュだ。アスラワインを垂らせ」
「かしこまりました!」
と、気づくとペルギウスがお茶を用意し始めた。
「おっと、これは申し訳ない、気が利かずに」
「貴様はいつも一手抜けているぞ、ルーデウス・グレイラット」
「返す言葉もございません」
そうして見ていると、シルヴァリルが部屋に備え付けられていたティーセットをテキパキと用意し始めた。
時折アルマンフィが何かを運んできたとおもったら、あっという間に湯気の立つティーカップが三つ、用意されていた。
「どうぞ、シオーヌのセカンドフラッシュでございます」
私の前にも置かれた。
紅茶だ。
たこ焼きに紅茶。
確かに、ソースの味が口中に殘ってて、は乾いているけど……。
でも、ちょっと合わない気がする。
たこ焼きに合う飲みってなんだろうか。サイダー? コーラ?
「あれ? おいしい」
そう思って口に運んだ所、口の中に一陣の春風が吹き抜けた。
紅茶は、ソースやマヨネーズの強い味と干渉しなかった、むしろ味を助長してくれている。
ゴクリと飲み込むと口の中がサッパリして、鰹節の風味がほんのりと殘り、思わず次のたこ焼きを口に運びたくなる。
なんだろう、アンパンの後に飲む牛のような……。
「たこ焼きに合う紅茶があるとは……流石ペルギウス様です」
「ふん、當然だ。我は古今東西あらゆる食も網羅している。ただ腹を満たすことにしか興味のないバグラーハグラーとは違う」
ルーデウスが褒めると、ペルギウスが自慢気にを張った。
ルーデウスはお世辭が得意だが、でも、これは本當に凄い。
元の世界の食べと、この世界の飲み。
ちゃんと、合うものがあるんだ……。
昔は、そんなこと考えず、ただ元の世界の食べの味ばっかり求めてたな……。
「なんだったら、貴様の持ってくる料理、全て我が飲みを見繕ってやっても良いぞ」
「ああ、それは助かります。是非とも、今後の食生活の參考にさせていただきたい」
「ハァッハッハ! 良いだろう!」
ペルギウスが笑った。
何がツボだったのか、私にはわからない。
だが、シルヴァリルも機嫌が良さそうで、ルーデウスもほっとしている。
こうやって歓談しながら食べるたこ焼きは、味しかった。
「ごちそうさまでした」
たこ焼きを完食したのち、手を合わせてお辭儀をする。
タコのはドギつかったけど、味の方は中々よかった。
タコなんて食べたの、久しぶりだし。
満腹になる頃には、すでに夕暮れだ。
ルーデウスは、もう帰り仕度を整えている。
私の視點からだと毎日のように會っているが、彼にとってはまた來月だ。
「あ、ナナホシ」
「はい?」
「これ、追加で。またし思う所あったから。頼むよ」
最後に、ルーデウスは一枚の紙を手渡してきた。
四つ折りにされた、小さな手紙だ。
「ええ、必ず」
私はその容を見ない。
ただは出さず持っているお守り袋の中に、丁寧にしまいこんだ。
---
ルーデウスの帰りを見送った頃には、日はとっぷりと暮れていた。
私は寢室へと移しながら、今日のことについて考える。
最近、ルーデウスがここに來る頻度が減った気がする。
彼も年齢を重ねたことで、々と忙しくなってきたのだろう。
そう、年齢。
最初に出會った時から比べても、彼はかなりフケてきた。
彼ももう、35歳だったか。
ルーデウスの子供たちも、どんどん大人になっていく。
あの小さかったルーシーちゃんも結婚するみたいだし、時間の流れが早過ぎる。
いつしか、ルーデウスがパタっと來なくなってしまう日も來るのだろう。
なんだか、私一人、置いて行かれた気分だ。
いや、違う。
もちろんわかっている。
私は置いて行かれたわけじゃない。
逆だ。
一足先に、未來に行くのだ。
そして、元の世界に戻るのだ。
そうは思っていても、一抹の寂しさは殘る。
あと何度、ルーデウスやザノバと會えるのだろうか……。
「……」
私は、離さず持っているお守り袋をなでた。
中には、ルーデウスが元の世界の家族に屆けてしいと託してくれた手紙が、何通もっている。
何年かに一度加筆されるのは、彼が今でも彼なりに一生懸命、人生を歩んでいるからだろう。
私はルーデウスに、世話になった。
私の人生において、彼以上に世話になる人は、きっと出てこないだろう。
お父さんとかお母さんとか、そういう人と同じぐらいの相手だ。
この手紙を屆けることが恩返しになるかはわからない。
でも、もし帰ることができたら、確実に屆けよう。
そして、彼がちゃんと生きたことを、彼に助けてもらったことを、きちんと彼の家族に伝えよう。
「……じゃあ、お願いします。スケアコートさん」
「うむ」
そう思いながら、私はまた眠りにつくのだった。
サモナーさんが行く
リハビリがてらで。 説明を碌に読まずにゲーム始める人っていますか? 私はそんな傾向が強いです。 βテストを終え本スタートを開始したVRMMOに參加した主人公。 ただ流されるままにゲーム世界をへろへろと楽しむことに。 そんなゲーマーのプレイレポートです。
8 175崩壊世界で目覚めたら馴染みのあるロボを見つけたので、強気に生き抜こうと思います
仮想現実を用いたゲームを楽しむ一般人だった私。 巨大ロボを操縦し、世界を駆け抜ける日々は私を夢中にさせた。 けれどある日、私の意識は途切れ…目覚めたのは見知らぬ場所。 SF染みたカプセルから出た私を待っていたのは、ゲームのような巨大な兵器。 訳も分からぬまま、外へと躍り出た結果、この世界が元の場所でないことを確信する。 どこまでも広がる荒野、自然に溢れすぎる森、そして荒廃した都市群。 リアルすぎるけれど、プレイしていたゲームに似た設定を感じる世界。 混亂が収まらぬまま、偶然発見したのは一人の少女。 機械の體である彼女を相棒に、私は世界を旅することになる。 自分の記憶もあいまいで、この世界が現実かどうかもわからない。 だとしても、日々を楽しむ権利は自分にもあるはずだから!
8 198アサシン
俺の名は加藤真司、表向きはどこにでもいる普通のサラリーマンだが裏の顔は腕利きの殺し屋だった。
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『突然ですが、世界をゲーム仕様にしました』 何の前觸れもなく世界中に突然知らされた。 何を言っているかさっぱり分からなかったが、どういうことかすぐに知る事になった。 普通に高校生活を送るはずだったのに、どうしてこんなことになるんだよ!? 學校では、そんな聲が嫌という程聞こえる。 外では、ゲームでモンスターや化け物と呼ばれる今まで存在しなかった仮想の生物が徘徊している。 やがてそれぞれのステータスが知らされ、特殊能力を持つ者、著しくステータスが低い者、逆に高い者。 ゲームらしく、勇者と呼ばれる者も存在するようになった。 そして、 ステータス=その人の価値。 そんな法則が成り立つような世界になる。 これは、そんな世界で何の特殊能力も持たない普通の高校生が大切な人と懸命に生きていく物語。 ※更新不定期です。
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8 88拝啓、世界の神々。俺達は変わらず異世界で最強無敵に暮らしてます。
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