《【書籍化】薬でくなったおかげで冷酷公爵様に拾われました―捨てられ聖は錬金師に戻ります―》私にかけられた期待
至れり盡くせりの狀態に、私は思わず引いてしまった。
だって、大丈夫なんですかディアーシュ様は?
拾った他國人の子供に、あれこれ與えすぎでは? 養にでもするのか、というぐらいの好待遇なんだけど!
「公爵閣下があなたに期待している、ということよリズ」
たじたじの私に、アガサさんが優しく微笑む。
「あなたが作れるは、この國を救える可能がある。公爵閣下はあなたが創り出す功績に見合うを、今から前払いで與えようとなさっているのではないかしら」
「功績の、前払い?」
どういうこと?
首をかしげた私に、アガサさんが笑う。
「例えばね、うちの國であっても、貴族には「平民ごときなら、うちで働かせてやるだけで、ありがたがるはず」と傲慢に思う人間はいるわ。ただ表面を取り繕われたら、子供のあなたでは見分けがつかないかもしれない」
私はふんふんとうなずく。
つい先日、裏切られたばかりの私は納得する。
「そういった人間が、甘い言葉であなたに不利な取引を持ち掛けて來ても、そう簡単になびかないで済むようにしたいのではないかしら? たいていの人間は、閣下が雇った子供が、公爵家で貴族のように扱われているとは思わないでしょう?」
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たしかに。こんな貴族令嬢が暮らすような部屋を用意され、ドレスまで作ってもらっているとか、夢にも思わないだろう。
ただこれ、他の人に知られてしまった時に……公爵閣下が子供が好きな変人だと勘違いされないかしら?
噂を立てられた時に、公爵閣下がお怒りになったら困るなと、心配してしまう。
そんなことを考える私に、アガサさんは続きを語った。
「だから最初から公爵家よりも良い待遇なんて提示しないはず。だからこそ、あなたが他から話を持ち掛けられた時、相手の出した條件について立ち止まって考える余裕が生まれるわ。もっと良いを持っているのだもの。そういう余裕があれば、騙されなくなるわ。そして公爵閣下よりも魅力的な條件でも、満たされた生活をしていればこそ、子供を相手にそんな條件を出すのは怪しいとか、検討できるようになるわ」
「なるほど……」
アガサさんの話に、私は心した。
公爵閣下は、すごく先のことまで深く考えて、私にこの対応を與えることを決めたのだなと。
アガサさん達もそれに賛同しているのだから……。
(アインヴェイル王國の人というか、クラージュ公爵家の人達が良い人すぎる)
そういうことなんだろう。
目の前であっさりと人を殺してしまった公爵閣下は、まだ怖いけど。
ナディアさんがそこで付け加えた。
「そうそう。だからこの部屋で、良いを食べて楽しく暮らすといいわ。何か重要なを作る職人だって聞いたし、ゆっくり公爵閣下の庇護下にいるのが一番よ」
話を聞いていると、ナディアさんは相當ディアーシュ様を信頼しているらしい。
使用人にここまで手放しに信頼されている人というのは珍しい。メイド長や家令や執事という立場でもなければ、他に良い勤め先さえあれば、という人が多いだろうに。
ディアーシュ様は、巷でいわれるような冷酷な人ではないのだろうか……。
よくわからないなと思いつつ、私は「そうだ」とナディアさんに紙を渡した。
「すみません、これ、ディアーシュ様に指示されて作ったリストなんですけれど、お渡ししてもらえますか?」
錬金に必要な品のリストを、とりあえず片っ端から書いてみた。
ディアーシュ様がどこまで揃えてくださるかわからないけれど、全部揃ったら々なことができて嬉しいな。
ちらりとリストを見たナディアさんは、目を丸くした。
「ええと。もしかして、あなたって大金持ちだったの?」
言いたい気持ちは分かる。
寶石やら金やら銀やら、お金のかかりそうなものばかりだから。
「裝飾に使うような綺麗な石じゃなくて大丈夫なんです。それを作る時に出てくるクズ石とか、裝飾に使えない捨てるようなもので十分なので。廃棄するを貰ってくるだけなら、あまりお金がかからないんですよ」
なにせ砂粒と一緒の扱いしかできない代だから、ほとんどタダでくれる人もいる。薬一瓶と引き換えでもらうことが多かったけど。
「そうなの……?」
ナディアさんは不思議そうな顔をしながらも、紙をけ取ってくれた。
「今、水やお茶を持って來るので、待っていてね」
そう言ってナディアさんは退出した。
殘ったアガサさんは、私と相談しながら荷を片付けていってくれた。
「まだあまり荷がないけれど、生活していくうちに増えていくと思うわ。足りなくなったら、棚も増やしてもらうといいわね」
「そうしてくださると嬉しいです」
錬金に必要で、手元に置いておける品を保管するだけで、棚なんてすぐに埋まってしまうだろう。
一応、錬金の作業に使う部屋もお願いしてあるけれど(紙に書いた)、そちらに置ききれないとか、そういうことがあったらこの部屋に置くしかないし。
「でもかなり広い部屋なので、とてもありがたいです」
棚をたくさん置けるというのが素晴らしい。
「期待に応えられるように頑張りたいと思います」
私が作るものへの期待から、ディアーシュ様はこんないい部屋を用意してくれたんだから、ちゃんと結果を出したいなと思った。
するとアガサさんが、首を橫に振る。
「あなたはすでに大きな功績を立てているのよ。10人もの騎士や兵士を救っているんだから。私もまたあなたに救われた一人」
アガサさんは私の側に歩み寄って、そっと手を摑んだ。
「私の謝をどう伝えればいいのか……」
「あの時だって十分に、褒めてもらいました」
魔力不足で倒れてから、目覚めた後、アガサさんにはとても謝された。
「あれだけじゃ足りないわ。私はあの時、公爵閣下以外はみんな死んでしまうかもしれないと覚悟していたから。どうにかしてあなただけでも生き殘らせないと……って、それしか考えていなかった。なのにあなたが、運命を変えたの」
微笑んだアガサさんは、何度も言った言葉をそっと告げる。
「ありがとう。今生きているのはあなたのおかげ。そしてこれからもっとたくさんの人が救われると思えば、公爵閣下もこんな待遇だけでは足りないと思ってらっしゃるはずよ」
「わ、私はもうこれで十分なんですけど……」
ただでさえ、殺されかけたところを助けてもらったんだし。あげくに、ナディアさんには言ったけれど、全部揃えたらかなりの金額になるような品をリクエストしてしまった。
ディアーシュ様には結構迷をかけているような気がするのに。
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