《【書籍化】薬でくなったおかげで冷酷公爵様に拾われました―捨てられ聖は錬金師に戻ります―》予想外の壁があった
「だめかもしれない」
作業臺に突っ伏して、私はうめいた。
さっきは大丈夫だと思ったんだけど、が傾いてくると、てきめんに作業速度が落ちてしまう。
曇ってしまうとさらに、生速度が下がる。
「仕方ないよねぇ。だって太のが必要だもんねぇ」
そもそもの魔力石というものが、太のと月の、大地の力をじわじわと何十年もかけてためてできるものだ。
そんなわけで、強い魔力石を作ろうと思えば、ここに月のを溜め込んだ鉱石や素材を追加して作るのだけど。
アインヴェイル王國で今必要とされているのは、それなりの量の魔力を貯めた魔力石を、素早くたくさん作れること。
だから一番簡素でありながら、早くできる手段を取ったのだけど。
太のだけはいかんともし難い。
空を快晴にするだなんて、竜みたいなとんでもない強い魔か、大魔法が必要になってしまう。
それでもラーフェンにいた頃は、ある程度作れていたはずなんだけど。
「やっぱり霊か……」
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霊がいなくなって、空間魔力量が落ちてしまったアインヴェイル王國。
待機中の魔力をも取り込んで作られる魔力石には、そこもネックになってしまったみたいだ。
おかげで生時間が長くなること長くなること。
今の時間は、ディアーシュ様に見せた時の三倍もかかってる。
「これは……宣言した通りの數が揃えられないかもしれない」
私は焦りながら、同時進行で下準備を進めることにした。
のが弱いうちには、インクや紙や水晶への下書きをしておいて、太のが強くなったところで、一気に仕上げるという方法だ。
水盤も、もうし數がしいところ。
「でも三つが限度かな……」
並べればいいというものでもない。生するために、しではあるけれど私の魔力を使うのだ。
一気に減ったらさすがに倒れてしまう。
またしてもディアーシュ様に迷をかけるわけにはいかないのだ。
迷いつつ、水盤が予備でもう一つあったのでそれを錬金盤にし、明日のためのインクをいくつか作って水晶への書き込みを続けていると、とうとうが落ちてしまった。
呼びに來てくれたナディアさんと一緒に、ひとまず部屋に戻ることにした。
その日の夕食も、綺麗な灰と赤のドレスを著せてもらい、ディアーシュ様とお食事會となった。
(誰か、他に參加してくれないかな……)
無理なことを考えつつ、もそもそとご飯を口に運ぶ。
料理はおいしい。
らかいおに、赤いグレービーソースの酸味と甘みがほどよく、パンを口に運ぶ手が止まらない。
マッシュポテトの味付けも、ほんのりと甘くクリーミーでとても私好み。
あっさりとしたスープは飴でコクがあり、飲んでいるとすぐなくなりそう。
デザートのアップルパイはらないかもと思うけど、これが不思議とすいっといってしまう。
(私、太るかもしれない)
神殿生活をしていた頃より、明らかに食べている。
子供に戻ったとはいえ、私、あんまりき回っていないから、栄養が全部おになってしまうのではないかしら?
心配にはなるけれど、ご飯のおいしさのおかげで、気まずいながらも食べられないということがない。
ふっと食べることに集中してしまって、気まずさを忘れる瞬間さえあるのだ。
公爵家の料理人は、恐ろしくも素晴らしい人だ。
まぁ、我に返ると終わりなんだけど。
ディアーシュ様はとてもお行儀よく、綺麗に召し上がられる。
その年齢の男らしく、量はけっこう多い。
たぶん毎日のように剣の練習もしているんだろうし、お腹がすくんだろう。
なんて思いながら見ていたら、視線に気づいたディアーシュ様に言われる。
「どうした。足りないか?」
「いえいえ! 十分です!」
これ以上はお腹がきつくてらないし、必死で首を橫に振った。
「魔力石の作の方はどうだ」
「ええと、なんとかやっております」
私は作り笑いを浮かべて答えた。
お世辭にも順調とは言えない。今すぐ、伝えていた予定個數を変更するべきか……と思っているぐらいだ。
でもどうしよう。失されたくない。
(ただ失されるだけならいいんだけど、ディアーシュ様の場合は、今後ずっと冷たい目で見られそうで……)
捨てられなくても、怖い。
笑いかけなくてもいいから、らかい表ぐらいはしてくれるようになるかも。
そうしたら今よりは張せずに食事ができるようになるかも……というささやかな願いは、未來永劫消えるだろう。
公爵家の料理人の素晴らしい食事がついている時でなければ、胃の痛い思いと、後からくる空腹で涙することになる。
そんな私に、驚くほど優しい言葉がかけられた。
「無理はしないように。先日倒れたばかりだろう。それに魔法がうまく使えないのなら、魔力を作するような技は全て影響をけるはずだ。何か異常があれば報告するように」
私は目を見開いた。
ディアーシュ様って遠くの事も把握できちゃったりするの?
千里眼なの?
びっくりしたけれど、その言葉を逃す手はない。
「あ……実はこの國の漂う魔力の量がないようで、普段よりも時間がかかってしまうみたいで……」
言い訳のような言葉なので、口にするのも後ろめたい。でもディアーシュ様は気にされないようで。
「分かった。とりあえず一週間後に、できただけの量でいい」
「はい、ありがとうございます」
私は深くお辭儀をしながら、 彼のあだ名についてふと思う。
冷酷っていうのは、戦場で有能な指揮だったからだけなのかもしれない。
もしかすると戦績をやっかんで、冷酷公爵と言われた可能もあるかな、と。
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***マンガがうがうコミカライズ原作大賞で銀賞&特別賞を受賞し、コミカライズと書籍化が決定しました! オザイ先生によるコミカライズが、マンガがうがうアプリにて2022年1月20日より配信中、2022年5月10日よりコミック第1巻発売中です。また、雙葉社Mノベルスf様から、1巻目書籍が2022年1月14日より、2巻目書籍が2022年7月8日より発売中です。いずれもイラストはみつなり都先生です!詳細は活動報告にて*** イリスは、生まれた時から落ちこぼれだった。魔術士の家系に生まれれば通常備わるはずの魔法の屬性が、生まれ落ちた時に認められなかったのだ。 王國の5魔術師団のうち1つを束ねていた魔術師団長の長女にもかかわらず、魔法の使えないイリスは、後妻に入った義母から冷たい仕打ちを受けており、その仕打ちは次第にエスカレートして、まるで侍女同然に扱われていた。 そんなイリスに、騎士のケンドールとの婚約話が持ち上がる。騎士団でもぱっとしない一兵に過ぎなかったケンドールからの婚約の申し出に、これ幸いと押し付けるようにイリスを婚約させた義母だったけれど、ケンドールはその後目覚ましい活躍を見せ、異例の速さで副騎士団長まで昇進した。義母の溺愛する、美しい妹のヘレナは、そんなケンドールをイリスから奪おうと彼に近付く。ケンドールは、イリスに向かって冷たく婚約破棄を言い放ち、ヘレナとの婚約を告げるのだった。 家を追われたイリスは、家で身に付けた侍女としてのスキルを活かして、侍女として、とある高名な魔術士の家で働き始める。「魔術士の落ちこぼれの娘として生きるより、普通の侍女として穏やかに生きる方が幸せだわ」そう思って侍女としての生活を満喫し出したイリスだったけれど、その家の主人である超絶美形の天才魔術士に、どうやら気に入られてしまったようで……。 王道のハッピーエンドのラブストーリーです。本編完結済です。後日談を追加しております。 また、恐縮ですが、感想受付を一旦停止させていただいています。 ***2021年6月30日と7月1日の日間総合ランキング/日間異世界戀愛ジャンルランキングで1位に、7月6日の週間総合ランキングで1位に、7月22日–28日の月間異世界戀愛ランキングで3位、7月29日に2位になりました。読んでくださっている皆様、本當にありがとうございます!***
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