「でもこれ、魔力石だけじゃなくて全部に影響するんだよね？　きっと」

空間魔力のなさが、魔力石の作にまで影響するのだ。

魔力石よりも、もっと魔力が必要なアイテムが沢山あるんですが……。それも全部作れないってこと？

「今のうちに対策を考えないと……」

後になって、魔力石では魔との戦いが上手くいかないとか、他の問題が出てきた時に、困った事態になる。

その時に考えていては遅い。

「何かいい案がないかなぁ」

こういう時は、錬金に関する文獻なんかを漁りたいけど、公爵閣下が錬金を知らない國では、そんな本があるわけもない。

探そうとしたら、相當苦労するだろうし、一朝一夕では見つからないはず。

「そういえば、アレ、どうなってるんだろう」

ふと魔王の薬のことを思い出した。

効果は抜群だったけど、寶庫に長年放置されていたことを考えると、中の薬が作った當時と変わらないような処置がほどこされていたんだと思う。

それが可能な方法……瓶にがあるのでは？　と私は考えた。

金屬製のあの瓶の模様に、魔力が抜け出てしまわない魔力図でもあるのかもしれない。

見つけたら、今回のことにも利用できたりする可能はある。

「たとえば魔力を集めて、その魔力図で保存しておけば、他の作業をしている間に貯めておける。そうしたら、空間魔力の足りない分を補うために、使えるかも……」

私は瓶を見てみることにした。

ずっとポケットにれておくわけにもいかないので、鞄にれておいたのだ。

荷はほとんどほどいていたけど、どこへ行ったかな。

私はまず鞄を見て、そこにないので、瓶を並べるだろう心當たりを探す。

棚にはない。

あちこち見て回った末に、機の引き出しにれてあったのを見つけた。

「よしよし、これ、どうなってるのかな」

瓶の橫を見るけれど、魔力図みたいなのはあるけど、見たことのない形だ。

紙とペンを出して、分かる範囲で寫し書きする。

蓋の方には、何もなさそう。

「そういえば、中洗ったって言ってたけど、中に何かれたらどうなるんだろう」

保存されるんだろうか？

そんなことを考えつつ、蓋を開けた時だった。

――ポン。

もわっと煙みたいなものが立ち昇り、思わずのけぞった。

危うく椅子ごと倒れるとこだった。

私は煙が消えて行くのを見ながら、そっと立ち上がって一歩、二歩と後ろに下がったのだけど。

次に出てきたのは、意外なものだった。

――もちっ。

むにむにとした質の足が出てくる。

びる布素材で作ったぬいぐるみみたいな……。もしくは、ゼリーで作ったようなじに見える。ったらむにむにしたくなりそう。

は白。貓の球っぽいのも見えた。

やがて足が二つ出てくると、逆さまによじ登っているかのように、おと背中が見えた。

子供が長方形に単純化して描いたような。

そこからみょん、とびる二本の腕が現れる。

さらに首がどこにあるのかわからないけれど、これまたもちっとした頭が出て來た。

形は三角耳といい、目の形といい、顔の郭は絵で象的に描いた貓っぽいんだけど。

「何これ？」

見たことがない。

私の目の錯覚かな……。

疲れのせいで幻覚を見たのかと、自分の頬をつねってみた。

……痛い。夢じゃないらしい。

じゃあ何だろう。魔の一種？

でふわふわしていないから、じゃなさそう。とにかくむにむにした質。

そしてのろのろしたきを見ている限り、魔だとしてもそれほど危険ではなさそうな

？　しかも私にとって、脅威になりにくい小ささ。

「あぁ、やっと出られたな。ほんとうに待ちくたびれた」

ひとりごとを言い始めたけど、聲は人男のもの……？

けっこういい聲なんだけど、貓型の生きから発されるとものすごい違和が。

やっぱり白晝夢かな……。白晝夢だとしたら、なぜこんなものを見てしまったんだろう。

「……調べたらわかるかな」

を確認できたら、意外と枕っぽいじかもしれない。

だとしたら、私はいつの間にか眠っていたとわかるだろう。

「もし夢なら、自分の想像の産であるアレが、どこまで足がびるのか試してみたいし、この貓型のふしぎな形になった理由が見えてくるかもしれないわよね……」

興味が出て來て、手がワキワキしてしまっていたら。

「ぴゃっ！？」

飛び跳ねた貓型の生きは、瓶の後ろに隠れようとした。

しかし瓶の中から出てきたはずなのに、その貓型の何かの生きは二倍は大きくて、隠れきれない。

なのに瓶を盾にしてしゃがんだ貓型生は、私を非難した。

「ききき君は！　なんて極悪非道な奴なんだ！」

「しゃべった！？」

むしろそっちがびっくりした！

「いやいや。夢の登場人だってしゃべるわよね？　問題ないわ。ささいなことよ」

「ささいじゃない！　驚かせないように可い貓型にしたというのに、君はこんな可らしい生きの足をひっぱろうとか、なぜ思えるんだ！？」

「可らしい……？」

うん、まぁ。可いといえば可いかもしれない。

長靴を履いて二足歩行する貓の語的な、そんな可さはある。

「でも夢でしょ？」

私の夢がなぜこんなにも反抗するのか。

疑問に思って問えば、貓型生が反論した。

「夢ではない！　君は目を覚ましたまえ！　せっかく我が話しかけてやっているというのに……」

「げっ、じゃあ魔！？」

私は急いで逃げ、暖爐橫にあった火かき棒を手にして両手で持ち上げた。

こいつを使う。

魔に効果があるかはわからないけど、何かしら逃げる隙は作れるはずだ。

睨みつける私に、貓型生が慌てる。

「待て！　我は敵じゃない！」

「魔でしょ？　しゃべって同を引こうとしているの？」

「魔ではない！　お前を救ってやった薬を作った魔王だ！」