《【書籍化】薬でくなったおかげで冷酷公爵様に拾われました―捨てられ聖は錬金師に戻ります―》エピローグ2
そして私は四阿を離れて、ディアーシュ様の元へと移した。
私がすぐに來るとは思わなかったのだろう、ちょっと驚いたようだ。
「話はもういいのか?」
「はい。離れていても、家族であることに変わりはありませんから。見送りはまたその時にきちんとしますし」
だから大丈夫。
答えると、どことなくディアーシュ様がほっとしたようにじた。
「お前は……まだ王宮に居た方がいいだろうな」
姿が戻らないままなので、そうしたけれど、いつまでかかるかな……。
もしかすると、薬が切れてしまったのだろうか。
「あの、公爵邸の方々にはなんと説明を?」
「オイゲン達主要な人間や、お前が関わって來た者達には、薬のことをし変えて話した。の危険をじて、遠くから逃げる時にどうにか姿を変える薬を作ったものの、飲んだら子供の姿になってしまったようだ、と。どうやっても自分で戻せなかったが、ようやく効果が切れたらしいので、戻って來た時に驚くなと言ってある」
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「ありがとうございます。ええと……それで、怒ったりしていませんか?」
子供だなんて騙されていた! と思ったかもしれない。
事があったとはいえ、子供扱いしていたら……というのは、お互いに気まずいことではあるし。
だけどディアーシュ様は首を橫に振る。
「やたら大人びていたのは、そういうことかと納得した者が多いようだ」
それはよかった。
私はほっと息をつく。
「対外的にも、理由が必要になるだろう。年齢は違っても同じ顔と髪をしているのだから、関係があるとすぐわかるはずだからな」
「もう、なにか理由は用意されているのですか?」
ディアーシュ様はうなずいた。
「北へ行ってみたら、故郷が懐かしくて遠ざかりたくないリズを、マディラ伯爵家にて引き取ってもらったことにする。そして従姉が生き延びていて、『シェリーズ』という名の従姉の方を王陛下と引き合わせるために連れて來たとかな」
「はは……」
めぐりめぐって、私は元の名前になるようだ。
でも、理由としてはいいところだろう。
従姉ぐらいなら顔が似ていてもおかしくはない。
「それで……。王陛下から言われていてな」
「はい?」
珍しくディアーシュ様の歯切れが悪い。しかも、ちょっと視線をそらしがちに言われる。
「結局のところ、お前を保護できる立場の者が必要だ。そのために、従姉であるシェリーズに婚約者を変更してもらうと言われている。だが……」
ちらりと私の方を向いた視線が、なんだか申し訳なさそうだ。
「子供が婚約を破棄するのと、嫁げる年齢の人間が破棄するのでは印象も、影響も変わる。私が魔王のとなって消えるにしても、それまでに誰か適當な相手が見つかればいいのだが、婚約したままでは難しいかもしれない。嫌なら……他の方法を探すが」
なるほど。ディアーシュ様は建前の婚約のせいで、私に傷がつくのを申し訳なく思ってくれているんだ。
でも、他の方法か。
「何かいい案があるのですか?」
首を橫に振られる。
「適當な養子先もない。下手をすると錬金師だとバレた瞬間から利用されるだろう。だから次善の策は、王子殿下との婚約なんだが。あちらが子供なので、ここ二年か三年以なら婚約の解消をしても、そうおかしくはないだろう」
沢山考えてくれたんだろう。
私にとっていい方法を。そして王陛下とも相談してくれたんだと思う。
だけど私の答えは決まっていた。
「それなら、私はディアーシュ様にお願いしたいです。他の方との婚約は……嫌ですから」
思い切って言ってみた。
今はまだ、本気だとは考えてくれないかもしれないけど。
(婚約さえしてしまえば、ディアーシュ様は優しいから、ご自分から破棄なんてしない。その間に……計畫を進めるんだ)
まだディアーシュ様には言っていないけど、私はレド様に相談していた。
――魔王のとは、必ず必要なのか? と。
々魔法的な問題とか、世界の仕組み的に難しい部分があるようだ。
でも、代用できる何かを開発したり、今のの延命を図ることはできないか、一緒に考えてくれるらしい。
いつになるかはわからない。でも、きっと見つけてみせる。
そしたらきっと、魔王のは代々結婚はしなかったのだからと、結婚を考える必要のないことと拒否しているディアーシュ様も、悩まなくてはいけなくなる。
公爵家にも後継者は必要だ。
王陛下にだけ、レド様のことを省いて計畫を伝えると、大いに援助すると言ってくれている。
だからその時に、一番近い場所を陣取っておいて、逃げられないようにしておきたい。
そんな野をに返答した私を、ディアーシュ様はちょっと驚いたように見て……微笑んでくれたのだった。
これにて完結となります。長い間お付き合いいただきありがとうございました。
書籍の方にはその後話などちょいちょいありますので、ご覧になりたい方はそちらもどうぞ!
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