《【書籍化】勝手に勇者パーティの暗部を擔っていたけど不要だと追放されたので、本當に不要だったのか見極めます》10 ルナの不安

微エッチなのでセーフ。いやアウフ。

※21/10/14追記

警告ったので大幅カットしました。

「おっと……あーらら、ついにこうなっちまったかぁ~」

でシーツにくるまったまま、隣で報告書のチェックをしていたルナが、思わせぶりにそんなことをつぶやいた。

つぶやくというには、ずいぶんと大きな聲だが。

「……なにか、おもしろいことでもあったか?」

聞いてほしいのだろうと思い、ヒドゥンは視線を向ける。

「おー、あったあった♪ あの――えーっと、あれ……ティナ、だっけか?」

「ティアナのことか?」

「あー、それそれ。そのティアなんとかが、スラムで十人以上にマワされちまったみてーよ。んで、パーティは崩壊寸前だってさ」

なかなかに衝撃的なことをサラリと言ってのけるあたり、ルナはもしかすると、そうなることを期待していたのだろうか。

そんなことを考えているヒドゥンを、ルナの不満そうな視線がねめつける。

「おい~、なんとか言えよ~。嫉妬しちゃうだろぉ~?」

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「……信用がなくなったとはいえ、あいつはなじみだぞ。あいつの両親にも、ずいぶんと世話になったんだ……気の毒だな、くらいには思うさ」

不服でふくらんだ頬を軽く突くと、むくれた顔はそっぽを向いた。

「ふーん、あっそ」

「どんな狀況だったんだ? あいつが杖を持っていれば、ごろつき程度じゃどうにもできないと思うが」

なんとか機嫌を直してもらおうと、髪やあごをやさしくでながら、報告書の容を確認しておく。

「……そんなの聞いて、どうすんだよぉ」

「ティアナでも勝てないほどの相手がいるなら、ギフティアのほうでも人員を強化する必要があるだろ」

「――あはっ、そういうことかよ♪」

仕事上の話だったことに気づいてか、彼の目がいつものように細められる。

「ま、そこは心配いらねーよ、ティアなんとかは丸腰だったらしいからな」

ティアナだ、と返すこともできず、ヒドゥンは思わず絶句する。

心配などではなく、純粋にあきれ返っての沈黙だ。

「はぁ……ひとりで出歩くなら、ロッドは必ず持ち歩けと言っておいたんだがな」

を使うために必要なものは、才能と、魔力と、発だ。

その発こそがワンドやロッド、スタッフなどの杖。

あるいは高額な加工を施された指ということになるのだが、一般的に好まれるのは、邪魔になりすぎず周囲からも目立つ、ロッドだとされている。

近に魔士がいるヒドゥンはともかくとして、実は一般的には、魔士という存在の詳細は、あまり認知されていない。

どのように魔を行使するのかがわからず、けれど威力だけは知れ渡っているため、場合によっては恐怖すら與える存在でもある。

ロッドはそのための、いわば威嚇用の武だ。

それを持っているということは、魔士かもしれない――そう思うだけで、相手は手だしをためらうことになる。

が使えないのに、護用にロッドを持ち歩くもいるほどだ。

「はぁ~ん? まぁ、あれだな――ヒドゥンが過保護にしすぎたんじゃね?」

「ああ……そうかもな」

ヒドゥンが護衛のような役割を果たしていたため、普通のなら気を配るの危険に、意識が向かなくなったのかもしれない。

定期的に、ひとり歩きするときはロッドを持つように言い聞かせていたが、それがかえって、そういった用意の自主を奪ってしまった可能もある。

「……いや、冗談だかんな? 本気にしないでくれよぉ、ヒドゥン~」

シーツにもぐり込み、腳に抱きつくようにすがりつくルナ。

その小さなを引っ張りだし、抱き寄せ、ヒドゥンは首を振った。

「いや、実際のところティアナだけじゃなく、ほかのメンツについても、俺はし過保護すぎたと思ってるからな」

知る必要はない、どうせ自分がいるのだから――。

そう思って勝手に暗部を擔った結果が、いまのパーティ崩壊なのだとしたら、たとえ彼らが傷ついても、現実を教えてやるべきだった。

信じてもらえないなら勝手にしろと、あのときは冷淡に思ったものだが、自分もずいぶんと意固地になっていたことがわかる。

追放という扱いをけ、ティアナを奪われ、彼に裏切られ――気にしてたまるかと思っていたつもりなのに、心の奧底では恨んでいたのだ。

だからこそ――いい気味だ、と。

昏いが、心の中で嗤っている。

「……ヒドゥン、大丈夫か?」

珍しくルナが、心配そうな表を浮かべ、顔を覗き込んでいた。

「え――あ、ああ……すまん、考えごとをしていた」

極力、聲にを乗せずに言ったつもりだが、彼には通じなかったらしい。

泣きそうに顔を歪め、けれど涙は流さず、ルナは黙って抱きついてきた。

「やっぱり……未練あんだろ? とりあえず、レイプしたクソどもは拘束してるから、報復くらいできると思うけど――」

「……未練はない、本當だ」

なだめるように彼の背をで、力した肢を橫たえさせ、のしかかる。

「そっちはギフティアのやり方で処分すればいい。俺は忙しいんだ」

「忙しいって、なに……んっ、ふっ……」

なめらかなで、頬や耳に幾度も口づけ、溫を移すようにを合わせた。

「ルナを安心させる役目がある。むさ苦しい男なんて、相手にできるか」

「っ……も、も~、なんだよそれぇ……ひっ、んぅっ……」

冷たかった彼が溫まり、しっとりと汗ばんでくるのをじる。

その溫かさと艶めかしさにれているだけで、ヒドゥンもより熱く、火照っていくようだった。

「う~わ……ははっ、そういう趣味かよぉ? 元カノのそういうの聞いて、興しちゃったってことかぁ……う~わぁ♪」

「……怒るぞ」

「いいぜ~、別に――んむっ、んっ……」

憎まれ口を叩くを塞ぎ、口腔を舐めかし、念を押すように告げる。

「俺が興するのは、お前が相手だからだ」

「んっ……はぁっ……だったらぁ、証明してくれよ……」

ルナが両腕を広げ、うようにばしてみせた。

そこへ吸い込まれるようにのしかかり、抱擁をけ止めたヒドゥンは、そのまま激しく、熱的に、繰り返し彼していく――。

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