《【書籍化】勝手に勇者パーティの暗部を擔っていたけど不要だと追放されたので、本當に不要だったのか見極めます》12 和平調印

勢いで読んでいただきたいと思い直し、最後まで上げることにしました。21話まで、お付き合いください。

和平の調印式は、王國の王都で行われることとなった。

魔王を含めた魔族側の來賓は、誰もが紳士的に、そして理知的に振る舞い、人間たちへの友じさせている。

事前の告知、王直々の言葉、さらには厳重な警備も敷いたことで、王城へ向かう魔王たちに対し、悪意ある行を見せる者はいなかった。

や剣呑な視線は、別にしても。

「私の周知がいたらず、不快な思いをさせてしまい、心苦しく思っております」

「なに、わかっていたことよ。その上でここまで足を運んだのは、我々も未來のことを思い、それが有意義だと判斷したまでのこと」

王からの詫びをれ、魔王は約束していた土産をテーブルに並べた。

「こちらは、その誠意の表れとけ取っていただこう。ご確認めされよ」

魔王國にて研究された魔の生態と、それぞれの魔への対応策、被害を軽減する方策などが、いくつもの本にまとめられている。

「……まことに、痛みります」

「かまわぬよ。ただし、その知識をもたらしたのは誰かということ――そして、その知識そのものを。必ず、領土のすべてに言い伝えていただきたい」

そう口にした魔王から溢れだすプレッシャーに、王は肝が冷える思いだった。

「もちろんです。魔族が魔を使役しているなどという、誤った認識を広めてしまったことは、私たちと、先祖代々の過失……誓って、払拭いたしましょう」

「うむ、期待しておこう」

その言葉に魔王は満足げにうなずき、來賓の重鎮らも納得を示す。

ただ、王を除く人間側の同席者――大臣や一部の貴族においては、どこか不服のある態度を見せていた。

魔王はそれにれず、王もそれをたしなめることはしなかったが、すでに二人の間では、その點について報を共有している。

王派という、王の抱える腫瘍のひとつ――それが彼らのだ。

場合によっては魔王國に利用されるかもしれないそれらを、あえて曬すことで、王は信用を勝ち取ろうとしていた。

「期待しておるよ、王陛下。我が國にもいえることだが、大勢が集まると、どうしてもそこには濁りが生まれる……どちらの國にあったとしても、それは我ら両國の敵にほかならぬ」

「ええ……重々承知しております、魔王陛下。私たちは手を取り合い、共通の敵を排除することを誓わねばなりません。この和平は、その一歩になりましょう」

善なる民を救うため、その害となるものは除かねばならない。

中央が権力を有するのは、そうした必要悪となることも目的としている。

王派がそうと気づくこともなく、二人の約は立していた。

その中で読み上げられる條約を互いが認識し、署名と王印を押すことで、ついに和平が立する。

両國の悪が、すぐに改善することもなかろうと、知識の換以外では、不干渉が基礎となるものではあるが――。

近い將來の流と、可能な範囲での協力を誓われたこの條約は、千年と続く太平の基盤となり、後の世に語り継がれ、讃えられるのだった。

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